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ドリームショップ ~あなたはどんな夢を買いたいですか?~  作者: はしたかミルヒ
ケース1:お金持ちになりたい(ノボル編)
12/109

第十二話

 ■■■


 カラ~ン!


「いらっしゃいませ~! ドリームショップへようこそ!」

「はぁ、はぁ、はぁ……良かった。まだあって……」

「『まだあって』って失礼しちゃいますわね! この店は絶対に潰れませんから!」


 ドリームショップの店員、夢子がノボルの発した言葉に対して頬を膨らませた。


「……? って金子様??」


 手を膝に乗せ顔を落とし息切れをしているノボルの顔を夢子が覗き込む。


「あ、そうそう! 金子様の未来の世界はどうでございましたか? ご満足いただけましたか?」

「三万……」

「はい?」

「三万円……返してほしい……」

「と言う事は……」


 夢子が考える暇もなくノボルは夢子にあれを差し出した。


「この小瓶返せば、三万円返してくれるんでしょ?」

「そうでございますが……金子様の将来の夢はお気に召されなかったと言う事でしょうか……?」

「……確かに俺の夢は叶っていたけれど、現実になって欲しくないこともいっぱいあったから……」

「しかし、この夢を放棄すれば、金子様のプロ野球選手になってお金持ちになる夢は、もうそう簡単には叶わないと思うのですが……よろしいのですか?」

「もう叶わないって、俺が自力で努力すれば叶うだろ?」


 ノボルは夢子をまっすぐな瞳で見つめた。


「まぁ、確かに自力で努力すれば夢もかなうとは思いますが、現実は結構厳しいものがあるんじゃないかと。もし仮にプロ野球選手になれたとしましてもその内億万プレーヤーはほんの一握りの選手だけですからね。才能も物を言いますでしょうし……」


 夢子は店内を上を向き歩きながら人差し指を顎に当ててそう答えた。


「やってやるさ……夢は自力で叶えたほうがおもしろいからね」

「ほう……なるほど金子様……」


 そこでピタっと立ち止まりノボルの方を見て微笑む夢子。


「夢の液体には頼らないってことでよろしいのでしょうか?」

「こんなのに頼らなくても自分で夢を切り開くさ」

「承知いたしました。では夢の液体の料金、三万円をお返しいたします。三万円を金子様にお返しした時点でこの液体の効力は抹消されます。本当によろしいのですね?」

「うん」

「では……」


 そう言うと夢子はふわふわと踊りながらレジへ向かった。そしてアンティーク調のレジスターから三万円を取り出し――――


「ではお返しいたします」


 ノボルの前に差し出した。ノボルはゆっくりと手をのばす。そして――――


 ガシッ!


 ついにそのお金を受け取った。


「金子様、またのご来店をお待ちしております!」


■■■


(俺は自力でプロ野球選手になってやるんだ……絶対に!!)


 そう決心しながら街中を颯爽と走り出すノボル。そしてとある野球場に向かった。

 グラウンドでは小さな野球少年たちが練習をしている。


「優太! もっとボールをよく見るんだ! そう! 今のスイング良かったぞ!」


 その野球少年たちを熱心に指導している人――――


「北村監督!」

「ん? おっ! ノボル! どうしたんだ?」


 ノボルは監督のもとへ、監督はノボルのもとへ近づく。


「北村監督! 今日は大事なお願いがあってここに来ました」


 そう、ノボルは北村監督にあるお願いをしにここにきたのだ。


「どうした? 改まっちゃって!」

「俺、やっぱり、やっぱり野球がしたいです! だからあの……」


 北村監督に頭を下げながら自分の思いを伝えるが肝心なことがなかなか言えない。しかし監督がノボルの言いたいことを察した。


「俺は嬉しい。お前の口からまた野球がしたいなんて言葉が聞けて本当に嬉しい」


 そして監督がノボルの肩を抱きこうノボルに伝えた。


「俺はお前を見込んでいる。絶対に日本一のピッチャーになれるはずだと。だから俺はお前に……」


 ノボルはゴクリを音を立てながら唾を飲む。


「投資する!」


「と、投資?」

「あぁ。お前を日本一、いや世界一のピッチャーにするために必要とあらばどんなことでも援助したい! だからノボル! 遠慮なくお前が大好きな野球を続けてくれ!」

「監督……」


 ノボルの目から涙がポロポロと溢れる。


「なーに泣いてんだ? その代り、必死で頑張れよ!」


 ノボルの肩をしっかりとつかみ笑みを浮かべる監督。


「ありがとうございます!!」


 感情を抑えきれずノボルは監督の胸の中で泣いた。


「俺の方こそありがとうだよ、ノボル……」


■■■


「ふ~ん、さすが金子様。これなら本当に将来の夢が叶うかもね……」


 水晶玉を見つめニコリと笑みを浮かべる夢子。


「じゃぁ、金子様の本当の未来を見てみましょうか……」


 そう言うと両手を水量玉の上でくるくると回しながら夢子はなにか呪文のようなものを唱える。すると水晶玉からノボルの未来の映像が映し出された。


「おぉ! なるほど……これはこれは……ホント人生色々ですわね! フフフッ」


■■■


 ノボルは夢の中で茜に教えてもらった住所を思い出し次に向かう先は父親のもと。そう、父親と仲直りするために……

 早く、親父と仲良くしたい。俺をこんなに可愛がってくれている親父に俺は精いっぱいに感謝の気持ちを言いたい!

 そしてノボルは父親のアパートにたどり着き涙の再会を果たした。


「親父!!」


「ノボル!!」


■■■


 そして九年後――――


「茜!」

「待った?」

「いや、俺も今来たばかりだから」

「良かった。ノボルが怪我をしてからなかなか抜け出せなくて……ごめんね和夫さん」

「怪我は早く治るのか? 息子にはたっぷり稼いでもらわないといけないからな。ハハハッ」


■■■


 水晶を覗き込む夢子。


「金子さまの夢、『プロ野球選手になってお金持ちになる』叶うには叶いましたけれどね……これから金子様には幸せになっていただきたいですわ。フフフッ。おっと、また一人迷える子羊ちゃんが来ましたわね」



「何のお店だろう……入ってもいいのかな……ねぇ、お姉ちゃん、一緒に入ってみない?」

「え? 嫌よ! なんかこの店、なんか不気味じゃない?」

「そうかなぁ。でもなぜだろう? この店に惹かれる感じがするのよ……」

「んっもう! じゃぁ、アンタ一人で入ってよね。私、先帰るから! じゃぁね!」

「あっ、お姉ちゃん!」

「お姉ちゃん、行っちゃった……でもやっぱり気になる……よし、入ってみよっ!」


 カラ~ン!


「いらっしゃいませ! ドリームショップへようこそ!」

どうもはしたかミルヒです。

最終話(第十二話)を読んでいただき誠にありがとうございます!

ケース1:お金持ちになりたい ノボル編がついに終わりました!いかがでしたでしょうか?最初の設定ではお父さんと仲直りしてハッピーエンドで終わるつもりだったんですけど、なんかそれじゃぁつまんないよな...って思いましてこんな終わり方になっちゃいました...(苦笑)

次回はケース2:アイドルになりたい ゆかり編 をお送りしたいと思います。ケース2は来月にはアップしようと思いますのでまたその時に皆様にお会いできるとうれしいです!!

ではまたお会いしましょう♪

ミルヒ

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