#8 異次元共有
偶然の一致
見知っている者達の有り得ない現象として成立している世界がオーリカ王国のようだ。
菫青のいる世界は六大陸とされている地球だ。
ユーラシア、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリア、南極。
その中でもユーラシアをアジアとヨーロッパに分割して七大陸とする説もある。
海洋も太平洋、大西洋、インド洋と大陸によって遮られてはいるが、海洋はつながっているので海はひとつだ。
同じ地球にあって、大地はひとつ、海もひとつ、どれだけ偏った地形なのだろう。
人間時間で考えれば一年に数センチの大陸大移動も気の遠くなるほどの年月が掛かるはずである。
何億、何十億、何百億は宇宙にとってはどれだけの時間の経緯なのだろう。
まぁ、宇宙は時間を気にする必要のない空間ではあるが。
時間を気にするのは人間だけだ。
それは長い年月変わらないことなのだろうか。
「疑問ばかりだわ」
「この世界はキンセイが信じられないと思うことが現実として成り立っているわ。きっと、私がキンセイのいるべき時代に行ったとしたら、同じ質問をするかも知れないわね。それで、先の質問の魔法使いになりたいのかってことだけど、魔法使いになりたいと思うわ。全ての人々を幸せにしたいもの。でも、それには自分が幸せでいなくては他人を幸せになんて出来やしないわ」
自分を幸せに出来なくて何が他人を幸せに出来るのだろう。
そう云うことかと菫青は一理あると納得する。
「そうね。アタシも同感だわ。一番身近かな人間である自分を傷付けるなんてあってはならないわ。そんな人間が他人を幸福になんて出来ないわね。アタシもそう思う」
菊花の意見には賛同出来るものがある。
自虐していては自分だけではなく周囲の人間も幸せにはならない。
意識は伝播する。
口に出さずとも負の感情を知らず知らず受け取ってしまう。
「そうね。キンセイの前向きな姿勢はいいわね。地球は長い年月の間で次元上昇しているけれど、それでも、全ての人間の意識も上昇している訳ではないから、中には負の感情に囚われて底辺を彷徨っている人もいるわ。そんな人達を救う役割を私はしているの」
「えっそうなの?」
驚きを隠さず驚愕の声をあげる。
「うん。そうだけど、ヒーリングが必要な人々は多いのよ。そんな人達の癒やしのお手伝いをしているの」
名前も同じで職業も同じな菫青の母親との共通項の多さはとても他人とは思えない。
「うちのママもヒーラーなの。パパと一緒に癒やしの旅で世界中を飛び廻っているわ。偶然の一致にしてもすごいわ。キッカがママに思えてきた」
『偶然の一致』シンクロニシティとも云われる必然的な現象のひとつである。
何か状況変化が訪れる時など、シンクロ率の頻度はアップする。
「あはは、キンセイみたいな娘がいたら人生もっと楽しくなるわね。さぁ、そろそろ行きましょ、うちはすぐそこなの」
姫巫女達の舞はまだ続いていたが菊花は菫青を促す。
「ええ」
菫青としてはまだ舞姫達の美しく舞い踊る姿を観ていたいと思う気持ちはあったが、菊花に促されるままその場を後にした。
「すぐそこ」と菊花の云う通り一~二分進んだところで歩みが止まった。
「ここよ。この店の二階を間借りしているの」
「えっ?ここって!」
店舗らしき看板を見て菫青は驚きの声をあげ、信じられない面持ちで菊花に視線を合わせた。
next soon →#9
シンクロニシティ




