第20話 放課後
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こんなに投稿を続けていられるのは仕事以外あっただろうか・・・・。(いやない)
高槻さんと茨木さん、この3人と遊ぶことが多くなった。
もちろん、メインは将棋だ。
僕が4年生の教室によく行くこと。
3人で行動していること。
その事はクラスメイトも気づいているみたいでいろいろ冷やかしてくる。
今日の放課後は、久しぶりに男の子4人で公園に遊びに来ていた。
ブランコやシーソーを一緒にやって、飽きてきたら鬼ごっこが始まる。
なんでこんなに面白いんだろうね。
鬼ごっこの途中、鬼から逃げている。
鬼はターゲットを絞っているらしく、僕は今のところ休憩だ。
一応、いつでも逃げられるように間合いは計っておく。
この4人のリーダー的存在のそうちゃんこと「山崎 創太」が近づいてきた。
二人で固まっておき、鬼が来たら左右に分かれて逃げようって作戦だろうな。
「たっちゃん、どっちと付き合ってんの?」
鬼が来る間そうちゃんに冷やかされる。
もちろん、向こうには他意はないんだろう。
にかっと爽やかな笑顔を差し向けてくる。
「まだ3年生だよ?」
と、口で言いつつ、少々僕の顔は赤いかもしれない。
「たしかに。でも、あの二人、4年生の間では人気らしいよ。当番や係の仕事もきっちりこなすし、町内会のソフトボールにもよく顔を出してるって」
「へ~、そうなんだ」
そういえば、あの二人について将棋以外のことはあまりしらないな。
ソフトボール、そういえばチラシを見たことがあるな。
習い事は勉強以外してないので、休日はママや妹といることがほとんどだ。
「で、なによりもきれいだしね」
「たしかに、いつもおしゃれだよね」
学校に来ている服もふたりともスカート姿でブラウスもくたびれた様子はない。
それに将棋教室にいくときは、また別の柔らかい印象をもたせる服を着ていて、学校の時より輝いて見える。
「まー、がんばれ」
と、鬼が近づいてきたので一緒に散らばる。
・・・・
日が暮れてきた。
5時を知らせる音楽が流れる。
「あ、もう時間か」
と、そうちゃんの一声。
「じゃあ、みんなそろそろ帰ろう?」
「「「またねー、バイバイ」」」
と、バラバラに解散していく。
今日も楽しかった。
今日の晩御飯はなんだろう。
次の日の昼休み。
もはや"いつもの"になりつつある4年1組の教室に行く。
「たっちゃん、よく来たね。早速一局勝負しよ?」
と高槻さんが誘ってくれた。
大会の次の日から二人からの僕の呼び名は”たっちゃん”になった。
僕の方は、まだお姉ちゃんという印象が強いので高槻さん、茨木さんと呼んでいる。
「お願いします」
一局が始まる。
茨木さんは二人の真ん中で僕たちの対局を観戦中だ。
いつものように僕の「居飛車」と高槻さんの「四間飛車」。
「船囲い」と「本美濃囲い」
僕から見て3筋から攻撃を仕掛ける。
「いつも同じだねー」
と高槻さん。
「それでもたまに勝てるよ?」
と、僕も負けてない。
大会が終わった後、二人にはまったく勝てていない。
「何かしてる?」
と聞いてみても、二人ともよくわからないらしい。
ただ、何故か強くなったとのことだ。
強くなった自覚はあるんだ、と思った。
確かに二人とも通っている将棋教室でもほとんど負けなくなって昇級が近い。
僕も将棋教室には土曜日から通うようになった。
高槻さんたち以外と将棋をたくさん指す。
高槻さん、茨木さんとは級が離れすぎて普段は対局ができない。
子どもが少なくなった時にようやく、「4枚落ち」で相手してくれる。
ん?
4枚落ちでも勝てないのに、なんで出会ったとき2枚落ちで勝てたんだ?
しかも、今はハンデなしの平手だぞ?
対局中にこんな考えが浮かぶ。
「たっちゃん、集中してないねー」
と、茨木さんからするどいご指摘。
「ごめんなさい」
とすかさず謝る。
「あはは、遊んでるんだから謝らなくていいよ。で、何を考えていたの?コイバナ?」
「えっ?」
と思わず引きずった声を上げた。
「え?図星?」
と、茨木さんの目がキラキラと輝く。
「もう、優ちゃん! 今、勝負中」
水を差された高槻さんがちょっと怒った。
「あはは、ごめんごめん。そんなに難しくない局面でたっちゃんの手が止まったからね」
対局に集中する。
ん~、強い。
駒組はたくさん対局することでだいたい覚えた。
序盤はいつも同じ形になる。
将棋の戦法の本通りだ。
でも、本と違って結果は勝てない。
なんでだろう?
「参りました」
僕は頭を下げる。
「ありがとうございました。へへー、今日も私の勝ちだね!」
と、かわいい笑顔をみせる高槻さん。
思わず視線を外してしまう。
「この一手から流れが悪くなっちゃったね」
と、茨木さんが教えてくれる。
少々の時間の感想戦だ。
「で、たっちゃん。対局中、誰のことを考えていたの?」
と、高槻さんが少し低い声で尋ねてきた。
ちょっと怖い。
「誰って、高槻さんと茨木さんのことだよ」
「え?私たち?」
二人は驚く。
茨木さんの目の輝きが更に高まる。
「コイバナ、はわかんないけど、二人に駒落ちや平手で勝ったことあるけれど、将棋教室では4枚落ちでも絶対に勝てないのはなんでだろう?って」
それを聞いた二人はお互いに目を見合う。
「あはははー」
と二人とも大きな声で笑う。
「なるほどねー、将棋教室は負けると昇級できなくなるから、手を抜いていないの」
と茨木さん。
「そうでないときは、将棋の面白さを知ってほしいから、ぎりぎりの一手を指しているのよ。言っとくけど、それも手を抜いていないわよ。たっちゃんが明らかな悪手を指したら勝ちに行くんだから」
と高槻さんが続く。
「どういうこと?」
僕はよくわからないので改めて尋ねる。
「初心者のうちは「勝ち方」がどうしてもわからないからね。まずは勝ち方を知ってほしいの。」
「将棋の面白いところは確かに勝つことだけど、それ以外も知ってほしいんだ」
高槻さんと茨木さんが交互に話す。
「自分で悩んで相手の玉を詰ませる。この面白さに気付いてもらうことで将棋の面白さがやっと普通になる」
「普通?」
高槻さんの声に合わせる。
「そ、教室で私たちも先生にこうやって指導してもらったのよ」
茨木さん。
「じゃあ、普通の次は?」
と話の続きを求める。
「一緒に指すってこと。ことばを交わさなくても、相手が次どんな一手を指したいのか、たくさんイメージする。将棋はゲームだから、人と指したら楽しいよ」
高槻さんが言う。
「たしかに、一人でやるよりこうやって二人と指す方が楽しいね」
「でしょ?」
高槻さんが笑う。
「楽しむためにはルールを知る。でも、ルールを覚えるのは大変。だったら、将棋しながら覚えてもらおうってね」
「高槻さん、すごいね。お姉ちゃんだ」
本当にすごい。
そんなことを考えながら僕と相手しているなんて。
「たっちゃんだけだよ。こうやってつきあってくれるの」
「そうそう、手を抜いていないのに手を抜いてるって思われて離れていっちゃった」
茨木さんと高槻さんがいう。
「だから人気なんだねー」
「人気? なにそれ」
と高槻さんが笑った。
「友だちが言ってたよ? 当番や係の仕事をきっちりこなすし、ソフトボールにも参加してるって」
「んー? そんなことみんなしているよ? 人気ならこの前の大会にたっちゃんにでてくれるようお願いしないよ?」
茨木さんが返す。
「それにきれいだって」
「きれい? そんなこと言われると照れちゃうなー。でも、友だちが言ってたんだよね? たっちゃんはどうなの? 私と優ちゃんってきれい?」
と、高槻さんがニヤニヤしながら聞いてくる。
茨木さんも視線を僕にロックして逃がさない。
「あ、えとね。き、きれいだと思う・・・・」
と、目線を下に外してもじもじしながらそう答えた。
「「かわいー!」」
と、二人のハーモニー。
「たっちゃんからそういわれると嬉しいね。ありがとね」」
高槻さんが僕の頭をなでてそう答え、茨木さんはきゅんきゅんしている。
なんか、よくわからないけれど恥ずかしい。
そうこうしてるうちに昼休みの予鈴が鳴った。
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