第19話 おとーたんと将棋②
ご覧いただきありがとうございます。
昨日のPVは一昨日の約3倍。
変わったことはしておりませんが、ご覧いただいている方が増えていることはとても嬉しいことです。
今日はおとーたんと会う日だ。
最寄りの駅で待ち合わせをして、おとーたんの実家に向かう。
妹と手をつなぎながら、駅の方へ歩いていく。
いた。
おとーたんだ。
「おとーたん!」
妹と二人で走っていく。
小学校3年生だからおとーたんは恥ずかしいのは知っている。
だけど、僕の記憶の中に残っているのはおとーたんなのだ。
「おお、おはよう。元気にしていたか?」
「「うん!」」
妹と元気に返事する。
切符を買って、おとーたんを真ん中に僕と妹の3人で手をつなぎプラットホームへ向かう。
電車の中のゲームと道中のお菓子とジュースが楽しみだ。
これは妹も同じみたいで、おとーたんと保育園であったことをたくさんお話ししながら電車を待つ。
電車に乗る。
僕はスマホでゲームだ。
妹は大きいタブレットでテレビに出てくるキャラクターのゲームをしている。
今日はおとーたんのスマホにあった将棋をちまちまとやっていた。
おとーたんはいつも僕や妹のゲームの姿を見る。
今日は将棋をしていたのでかなり驚いたみたいだった。
「たっちゃん、将棋のルール覚えたんだ?」
「うん、10級だよ。この前、大会に出て1つ勝ったんだ!」
とぽちぽち言わせながら話した。
「おお、それはすごい。それが終わったらおとーたんと一局やろうか」
「うん、やりたい!」
いまやってる勝負をやめて、アプリでおとーたんとやり始める。
妹もおとーたんと相手してほしいのか、こちらをちらちら見ている。
「先手はたっちゃんね」
「うん!」
知っている戦法を指す。
この感じなつかしい。
一緒に住んでた時はルールは知らなかったけれど、おとーたんは何も言わなかった。
今はルールを知っているけれど、おとーたんはどうしてくるのか。
僕の指し方に合わせておとーたんは指してくる。
僕が攻めれば、おとーたんも攻める。
僕が玉を囲おうとすれば、おとーたんも玉を囲う。
準備はできた。
【棒銀】いってみよう!
おとーたんは、棒銀について、何も対策をしてこない。
なすがままに僕の飛車先が突破できた。
飛車成までできた。
これは僕がかつような・・・?
おとーたんをみる。
おとーたんは嬉しそうだ。
突破された筋を見捨てて飛車を真ん中に寄せる。
なるほど!
突破されるのは予定通りだったのか!
今の筋からは逆の所におとーたんの玉はいる。
いくら龍になったところで、守備の駒に阻まれて、玉に近づけない。
香車、桂馬を取り込んで戦力をアップさせる。
その数手でおとーたんは真ん中から歩を突きだして攻めてきた。
(駒があるから大丈夫)
少し悩みながらも、頑張って受ける。
危ないと思ったところもあったけれど、おとーたんはその瞬間、他の場所から駒を補充していた。
おとーたんはやっぱり強い。
いつ負けてもおかしくない、てプレッシャーをずっと与えてくる。
けれど、指し手は優しくて、怖いんだけど怖くない。
そんな何とも言えないオーラを盤上に感じる。
僕がまた攻勢をかける。
おとーたんは少々悩んでいる。
そして指した。
守らず攻めてきた。
僕からすればよくわからない手だったけれど、お互いに攻めあう。
(まずい)
おとーたんが攻めてきた理由は10手後にわかった。
このままでは僕が先に負ける。
あわてて、僕は持ち駒を使って守る。
おとーたんは頷いた。
そして、一手を指してこう言った。
「これでたっちゃんが詰ませればたっちゃんの勝ち。できなかったらおとーたんの勝ち」
盤上を見てよくわかった。
僕の玉は逃げられない。
意を決して、おとーたんの玉を詰ませにかかる。
すぐに駒を置いてしまうと失敗したときに取り返しがつかない。
ゆっくり考えて、詰みまでのイメージを重ねる。
(よしできた)
そのイメージを大事にして一手一手丁寧に指していく。
その一手一手をおとーたんは頷きながら指していく。
そして、
「参りました」
とおとーたんは言った。
「たっちゃん、強くなったな」
僕はとても嬉しくなった。
「うん!」
と答えた。
「将棋は会話だよ。一生懸命に指す。その楽しさを知ったんだね」
とおとーたんは言った。
「これからたっちゃんは将棋を教えることがあるかもしれない。自分より強い人には本気で指して負けるといい。やりはじめた子なら、うまく負けて、勝ち方を教えてあげて。そうすると、友だちがもっと増えるよ」
「わかったよ。強い人には全力で、弱い人には詰みを教えてあげる、だね」
「そうそう、教えるときは言葉ではなく、盤上でね」
そう話しているうちに
「次は私がしたいー!」
と妹が割り込んできた。
「よしよし、やろうか。おとーたんとたっちゃん、どっちがいい?」
「たっちゃん!」
「えー、僕、次は違うゲームがしたい」
「よしよし、じゃあ俺とやろうか」
「いやー、たっちゃんがいい!」
「電車降りたら、ご褒美あげよう!」
「じゃー、おとーたんでいい」
「よし」
電車から降りるのにもう少し時間がかかりそうだ。
今日も楽しい一日になりそうでよかった。
次はいつ、会えるんかな?
おとーたん。
それまでもっと強くなって、もっと褒めてもらおう!
ブックマーク、評価、感想、ありがとうございます。
ブックマークももうすぐ2桁、評価も見える形でしていただけるようになり感無量です。
モチベーションが高まります。
重ねて、お礼を申し上げます。




