第15話 団体戦!⑥(予選3戦目ー1)
昼休みが意外と長かった・・・。
試合会場に戻った。
昼休憩の時間を使って、それぞれのチームが開いている将棋盤を使って練習している。
僕たちも彼らにならって将棋を始めた。
高槻さんと茨木さんが盤をはさんで、対面に座り駒を並べる。
高槻さんは次の試合でリベンジマッチができるかもと気合十分だ。
振り駒の結果、茨木さんが先手で対局は始まった。
二人とも四間飛車の戦法を選び、盤上は「相振り飛車」となった。
振り飛車を扱う時、囲いはだいたい「美濃囲い」が主流だけど、「相振り飛車」の場合は具合が違う。
美濃囲いは横の攻めには強いが、上からの攻めには少々弱い。
だから、相振り飛車のように自分の玉の前に相手の飛車がいる場合、違った囲いをすることがある。
それが「金無双」である。
名前は格好いいけれど、将棋の本によると囲いはあまり強くないらしい。
囲い方は簡単で「玉を銀の上まで移動させて、その横に金を二つ並べる」。
ただこれだけだ。
銀の位置は桂馬の上だったり、玉の下だったりするけれど、相振り飛車の場合では桂馬の上の方が多い。
理由は相手が上から攻めてくるから。
さて、盤面は進む。
金無双の弱点は玉から数えて、二つ目の金の前の歩、らしい。
僕は振り飛車をやらないからわからないけれど、二人にそう教えてもらった。
最終的にそこから崩せるよう、隙を見つけて歩を交換し、自分の歩を持ち駒に変える。
二人とも、守備に注意を払いながら、巧みに持ち駒を増やしていく。
そろそろ序盤から中盤にさしかかろうかという間合いだ。
序盤はなかなかに長いな。
とはいっても、休憩時間も限られているのでどちらかが攻めなくちゃなんだけど。
攻めるのは大抵先手の方だ。
将棋では一応「先手が有利」らしい。
だから、千日手の引き分けになった場合、先手と後手を入れ替えて指しなおすらしい・・・?
「いつもと同じ展開だね」
と茨木さんがいう。
「そうだねー、でも今日は負けないよ?」
高槻さんが返す。
「私もだよ?」
だいたい、自分が指す将棋というのは得意戦法があるのでだいたい似てくるね。
そして、対戦相手が同じである場合、どうしても同じ展開になりやすいんだ。
けれども、勝ったり負けたりする。
桜井先生に聞いたんだけど、同じ人でも同じ局面になることはほぼないらしい。
もちろん、僕たちは最初から最後まで手数を覚えていることはない。
けれども、序盤の数十手はだいたい同じになる。
それでも勝ったり負けたりする。
気が付かない間に負けた記憶がよみがえるのか、覚えてないけれど、この手はダメだと瞬間的に判断できる瞬間がある。
だから、同じ人と何回でも指して楽しいんだね。
と、二人の真剣さを見ながら、将棋教室のことを思い出していた。
そういえば・・・・
「奇襲は覚えておいた方がいいよ。出したい実力が出せずに負けて悔しい思いをするからね」
と、言われたなぁ。
だけど、奇襲ってよくわからないな。
暇があったら聞いてみよう。
「参りました」
と、高槻さんが頭を下げた。
休憩時間を気にしての攻撃が不発に終わったみたい。
「ありがとうございました」
茨木さんも頭を下げる。
「最後はちょっと無理攻めだったかな?」
と高槻さんは聞いた。
「えとね、実はここでこうしたら詰んでたよ?」
「えっ? ホントに?」
「うん、ここの金を銀なら、こうこうこう・・・でね?」
「うわー、ホントだ! もったいない!」
「練習でよかったね。それに雛ちゃん、休憩時間を気にしてくれてたでしょ。だったら、仕方ないよ」
と、二人で感想戦だ。
僕も二人の将棋を見ていたけれど、うまく攻めてるなーと思ったら、うまく切り返したり、そんな技術はどうやって手に入れるんだろう?とずっと不思議だった。
いつか使えるようになるといいなぁ・・・・
そうこうしているうちに休憩時間が終わった。
3戦目のアナウンスに試合場所の机に向かう。
向かい合った対戦相手は、3人とも男の子で僕たちより背が高い。
6年生かな?
顔つきは優しそうな感じだったのであまり怖くないな。
でも、きっと強いのだろう。
どこまでできるか、頑張ってみよう!
僕は後手になった。
「▲7六歩」「△3四歩」「▲7七桂」
始めてみる3手目桂馬跳ねに戸惑う。
けれど、知っていることは限られている。
「△8四歩」
と進めていった。
これはあとで教えてもらった、将棋指しならぜひ覚えておくべき戦法「鬼殺し」。
この時の僕は何も知らなかった。
ご覧いただきありがとうございます。
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なるべく、更新ペースは守っていきたいのですが、着られる夏服がなくて猛特訓中?なのです。
つまり、そういうことです。すみません。




