#67
おばけ屋敷で地獄を味わって、そのあと俺は敷地内にある屋台や見せ物を回った。射的や輪投げにお菓子釣りで遊んだり、うまいもんたくさん食べたり、そんな感じで。だけど楽しい時間なんてあっという間に過ぎるもの。高校に入学して最初の文化祭も気付けば終わっていた。執事喫茶も好評をいただいて終わったのだ。役者冥利に尽きますって感じだね。
「もしもーし!」
文化祭が終わった帰り道、俺は家に電話をかけた。出るのは誰だろう。お父さんかな、お母さんかな? それとも――ルミかな?
「あれ、アニキ?」
電話のお相手は俺のかわいい妹であるルミちゃんだ。髪型は茶髪でツインテールで、なかなかかわいいんだぜ。その長い髪の毛でモフモフしてみたいんだぜ。あと何でか知らねぇけど将来有望なんだぜ。しかも胸が順調に膨らんできているときたもんだ。またいつの日かスリーサイズを測ってみたいと切実に願う――。
「ルミか! いいか、今から言うことちゃんと父さんや母さんに伝えてくれよ」
「はいはい、子供じゃないんだからさぁ……それで、何か用事あるの?」
ルミのやつと来たら妙にぶっきらぼうな態度で接してくる。そうか、反抗期なんだな。だからこんなに兄に対する態度がとがっているわけだ。
「このあとね、エリカんちで文化祭の打ち上げやるんだ」
「へえー、打ち上げかあ。それ終わってから帰ってくんの?」
「ああそうだ。ちょっと遅くなるって言っといて」
「はぁい」
ルミに伝えるべきことをしっかりと伝え、通話を終えた。うしろで待っててくれた友達――氷室リョウと橘アヤさん、そして神永さよりさんの方に振り向いて歩いていく。エリカんちまで歩きながらおしゃべりする算段なのだよ。
「マサキ、遅くなるって言っといたか?」
「うん、ちゃーんと言っといたぜ」
「なら大丈夫だなっ」
ちょっとクールでカッコいい雰囲気のこいつが氷室リョウ。ロン毛で女子にモテモテ、本人も逆ナンにノリノリで答えるノリのいいやつさ。
「そうだ、リョウ。おじいちゃんが言ってたぞ。男に必要なもの――それはストイックさ。モテる男はハードボイルドでなければならない! ってね」
「なんだよ、オレがチャラ男ってかー? でもお前のじいちゃんカッコいいこと言うじゃん」
「へへっ」
リョウがにやつきながら俺の肩を叩いてきた。頼むからそうやってさりげなくしたり顔を浮かべんのはやめなさい、だんだんムカムカしてくるから!
「それで電話の相手誰だったの? お母さん?」
「違うよ、うちの妹」
「妹さんかー。確かルミちゃんだったかしら?」
「へへへ、かわいいよー。そりゃあもう橘さんと同じくらい」
「ちょっと、お世辞言ったって通じないんだからねー! もうっ」
青い髪に緑の瞳をした橘さん。割と大人びた彼女だが、意外と照れ屋さんなんだよね。すました笑顔もまたかわいいぜっ。
「ねーねー、今度、みんなでマサキくんの家に行ってみない? なんだか楽しそうだし」
「えっ、神永さんそれホント?」
「うん。だって友達だもん、一回くらいは行ってみたいんだよねー」
「ちょいちょい、いつなら空いてたかなー……うーん」
一応知ってると思うけど、念のために。いま話してるのは神永さよりさんだ。髪がめちゃんこ長くて地面まで届きそうなくらいあるんだ。それで眼は赤くて肌は白魚みたいに透き通っていて、下手すればうちの学校の女子の中でも屈指の美人さんなんだ。個人的には、生徒会の三ノ宮さんや保険医のエリノ先生と並べてもいいぐらいだね。
――あれ、誰かいないような? まあいっか、あいつは打ち上げ来ないって言ってたしそっとしておいたやろうっと。誰のことかって? まあ、敢えて言わないでおくよ。彼のプライバシーの侵害になってしまうからね。
「さーて、エリカんちまで競争だー! ビリは置いてくぞー!」
「いいなそれー、速さなら自信があるぜ!」
「負けないわよー!」
「私だって!」
「よーい、ドンッ」
――さあ、エリカんちまで競争だ! ちなみに結果は、一番が神永さん。二番がリョウで三番が橘さん。そしてビリは――俺でした。皆まで言うなッ! 悔しいからッ!
更新頻度が低くなってきてごめんなさい><
いや、ホント…^^;