#3
「あっ、エリカか。どうしたの?」
「この封筒、あなたのお母さんかお父さんかのどっちかに渡して、お金入れてもらってきてね!!」
集金の封筒をとてもかわいらしく渡してくれた彼女の名は、山科エリカ。俺の隣のクラスである、1年D組に通う女の子だ。とてもマジメで一途で優しくて、それでいて明るい健気な子。
不真面目なことが大嫌いで、不しつけな輩には容赦ない制裁を浴びせるのだ。また、生徒からは大人気で信頼も厚い! とくに男子にはね。でも、女子にも女子で大人気だぜ。
彼女には、実はこの学校で保険医をしているお姉さんがいる。その名は、山科エリノさんだ。すごく美人で優しく、天然なところもある天女のごときお方だ。また今度、じっくり紹介しよう。
「あ、ああ、分かった。じゃあな~!」
「絶対、忘れないでね?」
さて! そんなエリカと別れたところで、俺達は帰路につくとしよう。
―――通学路―――
俺は六波羅商業高校へはバスと電車を使って通っている。家から遠いんだよな。電車は何とかなるけど、バスは朝イチの6時58分を逃すと銀行前のバス停で待つしかない。――みんなも想像してみりゃあ、分かるはずだ。経験者なら尚更分かるはず。
結構大変なんだよ!? 暇なんだよ!?
ついついケータイをガチャガチャしちゃうくらい暇なんだよ!?
「なあ、レン」
「なんだい?」
「さっき、何の本借りてきたんだ?」
レンと合流した俺とリョウは、早速彼が何の本を借りたのかを訊ねてみた。
「へへっ、何だと思う?」
「ゲームの攻略本!(キリッ」
レンは筋金入りのゲーヲタだ。ゲームソフト、ましてや攻略本なんてうっかり貸しちゃったら返しそうにない。そのまま借りパクさ。まあ、俺も人の事言えないんだけどネ……。
「ブッブー、はずれ」
「……マジでェ?」
「なん……だと……?」
リョウも俺もこれには驚いた。いや待て、冷静に考えてもみよう。そもそも、だ。
ガッ コ の 図 書 室 に
ゲー ム の 攻 略 本 な ん ぞ
置 い ちゃ い ねぇ ー ! ! !
実はエリノさんとエリカさんを間違えていました。
ご指摘ある前から気付いてはいたのですが……なぜ直さなかったし。
そんな自分がはずかしいいいいいいいいいいッ