#1
第一話『嵐を呼べるかどうか分からん男』
俺は刃野マサキ。
俺はくだらない争いと残酷な殺し合いと醜い小競り合いばかりのこの世界が嫌いだ。
幼い頃テロに巻き込まれて父と母を失い、妹は交通事故で亡くなった。
今となっては、高校生活だけが俺の心のオアシスだ。待っているのは、誰もお呼びじゃない『虚無感』だけ。
――そうさ。俺の友達は、孤独感と寂しさだけ……
「そのモノローグが嘘だ」
「――っ……ぐわっ……! な……何故だ、何故お前に分かったんだ、リョウ!? これがブラックなジョークだって!?」
「さあ、な?」
――まあ、アレだ。さっきのは、嘘です。ちょっとラノベ臭い嘘のナレーション入れちゃったね。俺は刃野マサキ。今年から六波羅商業高校に入った1年生だ。ちょっと紫っぽい黒い短髪に、どんなヤツでも俺の魅力でしびれさせる青い瞳の、ラーメンつけめん、ぼくイケメン!
容姿はそれなりで、成績もまあまあ、かな? 真面目でクールできれいでかっこいい。それが俺なのさ。
ちなみに六波羅商業高校は近畿地方の琵琶湖の近く――にあるんだよ。分かるかな? ここがある町は、近畿地方でも有数の大都市なのだ。っていうか、県庁あるから、首都。駅は――京都とかに比べてショボイかも。
「マサキさー、お前脳内で中学生が流しそうなナレーション流してて楽しいの?」
「ハハハ! 何、気にすることはない。ケセラセラだよ」
「あ゛~……ケセラセラじゃねぇだろ。jk……」
黒髪のロン毛でちょっとニヒルなこいつは、氷室リョウ。漢字で書くと『氷室 涼』だ。一見クールな一匹狼だが、本心はお人好しのいい奴なのだ。まあ不断は生意気だけどな!
はじめまして、作者のSAI-Xです。
お時間がおありの時に読んでいただけると幸いです。何卒よろしくお願いします。