美鈴の想い
私はター君のおデコにキスをした。
「さすがにファーストキスはもらえないね。」
頭を優しく撫でた。
「帰るね…おやすみ…」
私はター君の家を出てそのまま夜道を歩き続けた。
「あ、この道はター君がお漏らしした所。あそこは私が転んでケガをしてター君におんぶしてもらった所…」
「ほんっと小さい頃からずっと一緒だったな…」
色々な思い出がいっぺんに蘇ってきた。
「たーくーん。」
私は大泣きをしてしまった。
泣きながらなんのあてもなく只々歩き続けた。
近くに公園があった。少し疲れたのでベンチに座り休憩することにした。
「はぁ…」
はっはっはっ
「え、何!?」
激しい息遣いが聞こえてきた。
「こわっ。幽霊?」
「はっはっは、あら?美鈴先輩?」
「きゃー!」
「ギャーー!なんでござるか!!いきなり!!」
「なんだあんたか。ビックリさせないでよ!変質者かと思った!こんな時間になにしてるわけ?」
正体が田中で少しホッとした
「ひどい…。それはこっちのセリフでござるよ!泣いてるし。どうしたでござるよ?」
「別にあんたには関係ない。あんたは何してたのよ?」
「拙者はあの祭りの事件以来、ランニングにシャドーボクシングをして身体を鍛えているでござるよ!いざという時、ルリリンになにかあったら助けられないでござるからな!」
「あんたってすっごいシスコンよね?でも、田中はすごいよ。自分で自分を変えようとしている…私が1番何も変われてなかった…小さい頃からなにも…」
「話が見えないでござる。でも、変わってないなんて事は無いでござるよ?人間は成長するたびに変わって行くものでやんす。」
「うん…。ありがと。私は…」
私は田中に教えてしまった。誰かに話を聞いてもらいたかったのかもしれない。
「えー!?ブタミ氏に!?」
「秘密よ!」
「だ、誰にも言わないでござるよ。でもブタミの野郎め。あいつは自分の姿を見た事あるでござろうか?100%モテないのに!もったいないこんな可憐な美女をフるなんて!」
「はは…ありがと。私はター君のお姉ちゃん的な存在で誰より一緒に居たから安心してた部分がある…でも私はター君にずっと誰よりも甘えていたんだ…」
「そうでござるか。最近のブタミ氏は変わったでござる。それも美鈴先輩が居たからでござるよ。誰よりもきっとブタミ氏は美鈴先輩に感謝しているでござるよ。」
「そーかな…?急に告って困らせたりしちゃったし…ター君には好きな子居るの分かってて…。」
「茜殿でござろう。」
「知ってたの!?」
「見てれば分かるでやんす。ハッキリ言って幸せな悩みでござる。人に好かれて悩めるのはその人の事が大事だから悩むでやんす。
あいつは困って考えこむくらいが丁度いいでやんす‼︎」
「あははは、そーかも。私はさすがに今は辛いけど、ター君の変わっていく所は見守りたい!隣の家のお姉ちゃんだから!」
「そうでやんす!そうでやんす!きっと美鈴先輩にも素敵な男性が現れるです!目の前に居ますけど。」
「それは無理。」
「チキショー!!良い雰囲気と思ったでござる!」
「ありがと!あんたと喋ってたらスッキリしてきたわ。明日私行けないけどター君よろしくね!じゃあ帰るね。ありがとね田中!」
少し潤んだ瞳で美鈴は優しく笑って帰った。
「女神……惚れ直したでござる」




