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「改めて聞く。メアリージェに何をしていた?」


「…何してたって…告白、ですかね?」


「っは?ふざけるな。メアリージェは俺の婚約者なんだぞ?」


「兄様、婚約破棄したんですよね?だったら僕が彼女に告白しても、プロポーズしても、兄様には関係ないじゃないですか?」


「あ、あれは、こんにゃく破棄で…!婚約破棄ではなっ…って、プロポーズだと!?駄目だ。絶対に駄目だぁぁ!!!」



フローズン様がフィアルト様の黒いフードを引っ張っていって、今、二人は私達から遠い所で何かを言い合っています。

…全く聞こえない。何を話しているんだろう…

私が二人をボーッと見ていると、姉さんが私に肘でつついてきた。


「いや~モテまくりじゃないの!姉さんちょっと羨ましいっ…フックフ…」


姉さんが口とお腹を押さえて笑いを堪えている。…私は姉さんに何が起こっているのか問いただしてみることにした。


「…姉さん。笑ってるよね…?」


「―ッい、いいえ~?わ、わたーしは、笑っていませんことよぉ?…ーブッハや、やっぱり無理だわ(笑)ウヒッヒ…妹に隠し事はできないわね…」


そう。姉さんは嘘をつく事が苦手なのだ。隠し事をしていると、すぐにニヤニヤ笑ってしまう。この状況を聞くには、十分すぎる人物だ。


「…あの二人は、何で喧嘩?してるの?もしかして、…いや、みるからにそうだけど…私が何か関わってる?」


私は恐る恐る姉さんに尋ねた。私は、咄嗟に今までしてきたことを思い出した。

…私が何か悪いことをしたのだろうか。もしかして、相談にのった時、私が強引に姉さんを探しにいったから?それとも、ひっそり姉さんとフローズン様の事を見ていたことに怒って…?いや、でも、もしかしたら…


「メアリージェ・ソプラノリア。我が妹よ。」


「ぇ、は、はいっ」


私が考えていると、姉さんに()の私の名前を、ハッキリと呼ばれた。姉さんは笑いが収まっていて、真剣な眼差しで、私を見てきた。


「…貴方は、過去も今も何も悪いことをしてないわ。むしろ、フローズン様の恋を勘違いしているようだけど、助けようとしたんでしょ?…昔のこと、まだ根に持っているのね?」


え?勘違い?何か間違ったの!?私…でも


「…それ、は…」


私は手をギュッと握りしめた。時は、転生前に遡る―

****


…私は、恋をしていた。高校生一年生の、春だった。


『これ、君のでしょ?落としたよ。』


満開に咲いている桜を背景に、彼は、私の落としたハンカチを拾ってくれた。つい、…じっと顔を見つめてしまった。他の男子よりも、キラキラと、輝いて見えた。


『…大丈夫?』


「あ!あー、ありがとうございます!」


…一目惚れしてしまった。胸が締め付けられて、幸せなような。ふわふわしていて、心が温かくなった。

彼のことを姉さんに聞くと、姉さんと同じクラスの人だった。

姉さんは、私の恋を応援してくれた。喧嘩とかもして、一人っ子が良かった…って思った時もあったけど、やっぱり、姉さんは優しくて頼りになる。


だけど、やっぱり、恋には終わりがくる。

放課後、私は、同じ部活の女の先輩に呼び出された。


「あの…先輩?」


『あのさ、貴女好きな人いる?』


突然、そんなことを聞かれた。…いるけど、別に先輩に言わなくてもいいと思うし…


「いえ、いません。」


『嘘。いつも、彼と一緒にいるじゃない!』


「っそ、それは」


好きだから。一生懸命彼に話しかけてた。だけど、思ったその声がでなくて。すると、女の先輩に胸ぐらを掴まれて、怖い形相でこう言われた。


『大体あんた、一年生のくせに彼の回りにチョロチョロいて!!目障りなのよ。彼から離れてよ!』


…悲しかった。私は、恋をしてはいけないのだろうか。いや、そう思うよりも、辛かった。

一緒に帰る約束をしていた彼と姉さんが、私を探しに来てくれて、私を庇ってくれた。けれど、心の傷が深くて、立ち直れなかった。私はしばらく放心で、涙も出なかった。


その時、私は恋から一歩引いてしまった。恋はもうしないと。でも、恋愛で困っている人がいたら、私みたいに悲しい思いをしないように協力しようと思ったのだ。

****


「昔の…あの時のことは、あの女が悪い!元々クラスの中で性格悪い奴だったし…。あなたは何も悪くないのよ。…だから、ね。自分のことを責めないで」


「―っでも。」


「もー!貴方は、自分のことを低く見すぎてるのよ。今回だって…あ!おっとと…コホン。言っちゃ駄目だったんだった。私の自慢の妹なんだから!もっと自信を持ちなさい!!!」


姉さんは胸をドーンっと張って、ニシシッと笑った。

…ね、姉さん…………って


「何~格好つけてるの!」


私は、姉さんの頬っぺたをむに~っと引っ張った。


「ふわぁみゅっ!ちょ、ちょっほらめてぇ!いふぁいいふぁい!」


私と姉さんは笑い合った。


「だけど……ありがとう」


ちょっとだけ、心がホッコリした。…あれ?姉さんがボヤけてきた。おかしいな。目が熱い。


気づくと、私は泣いていた。あの時、泣けなかったからだろうか。何だか、開放されたような気がして。

姉さんは、私を何も言わないで抱き締めてくれた。…本当に、こう言う優しさは、昔と全く変わっていない。




「…とにかく、一切合切メアリージェに告白するな。あれはこんにゃく破棄なんだからっ、て…メアリージェ、どうした!?な、何故泣いてるんだ…?まさか…、ミアルント。メアリージェに何かしたんじゃないだろうな?」


フローズン様が、フィアルト様との話合いが終わったみたいで、こちらに近づいてきた。私は手で涙を拭って、フローズン様に向き直った。


「…アルレント伯爵令嬢は、何もしていませんわ。それよりも、(わたくし)は、フローズン様に、お伝えしなければならない事があるのです。」


「え…」


私は一つ深呼吸をした。


「…今回は、フローズン様とアルレント令嬢との会話を、お邪魔して申し訳ありませんでした。」


そう、謝らなければ。好きな人と一緒にいる幸せな時間を、邪魔してしまったから。…フローズン様は、とても良い人だ。だから、幸せになってほしい。…私のように、恋を諦めることをしてほしくない…。


私がとった行動に目を見開いたフローズン様は、あちゃ~と言わんばかりに頭を抱えた。


「っ、メアリージェ。ちょっと、来てくれないか?」


私は、フローズン様に手を掴まれて、少し強引に引かれ連れて行かれた。


****


「あの、フローズン様?…ど、どうかなされましたか?」


しばらく彼に引っ張られていってから、フローズン様が足を止めたので私が話しかけると、クルリとこちらを向いた。妙に怖いオーラが、彼に纏っているように見える。


「その、俺は…メアリージェに謝らなければならないことがあって…実は、俺の好きな人は、アルレント伯爵令嬢じゃないんだ…そして、こんにゃく破棄…もとい、婚約破棄も、本気でしたかった訳じゃない…すまなかった!」


勢いよく頭を下げられてしまった。私は思考が追い付かずえ?え?と戸惑う言葉しか声にでなかった。


「で、…では、なぜこんなことを?」


「そ、その…気を引きたかったんだ…俺は恋愛に関してはうとくてな…本当に愛してる人を自分に振り向かせたくて…」


私はキュッと心が引き締められた感じがした。もしかして、もしかしてって、そう思った。


「そ、それはいったい、誰なのです?」


するとフローズン様は、恥ずかしがりながらも優しい笑顔で答えてくれた。


「それは…」


フローズン様の口がゆっくりと開いて。彼の声で呼ばれた好きな人の名前は、私の耳に響き渡った。

そして、私の中で、温かいものが広がった。あぁ、この感じは…

私は、笑顔で、彼に返事をした。涙が一粒落ちたのは、きっと気のせいだろう。だって、今、こんなにも幸せな時なんてないのだから。


****


「…いやぁ、あの二人、私たちを忘れて置いてラブラブしちゃってるわね~。でも、フローズン様には、ビシッと言ってあげないと絶対に告白しないタイプだったわね。」


「…そうだね。」


「…それで?あの子には、告白できたの?…前世では言えなかったんでしょ。」


「いや、彼に邪魔された。あー、後少しだったんだけどな」


「…まさか、貴方(・・)もこっちに転生してたなんてね。最初に知った時、ビックリしたわ」


「それはこっちも。でも、良いんだ。彼女が幸せになってくれれば…ね」


二人はいつまでも、遠くで幸せそうに笑い合っている二人を見守っていた。

「…え?こんにゃく破棄?なんですかそれ?」


を読んで下さった方々、ブックマークをつけて下さった方々、感想を下さった方。本当にありがとうございました!(●`・∀・´)○))


( ´;д;)。oO(まさか、こんなに沢山の方に見て貰えるとは…!)


4話の投稿が遅れてしまってすみません(´-ω-`;)ゞ

フローズン様がこんにゃく破棄を告げた理由や、リピルント様が何者なのか…ということは、この小説には書かれていません!


( 作者´∀`)Σ⊂(゜Д゜ 読者様)なんでやねん!


と突っ込みたいとは思いますが…この真相は、現在、『え?こんにゃく破棄?なんですかそれ?ー姉さんー視点』という題名で連載させて頂いていて、そちらの方でゆっくり更新できればなと思っています!こんにゃく破棄シリーズからとべますので良ければ是非!


(もしかしたら大体予想できる方もいると思いますが…(笑))


それでは、改めて、ここまで読んで下さってありがとうございました!


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