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短篇のつもりがちょっと長くなってしまったので4話に分けてます。完結まで出来上がってますので随時投稿します。
「なっ、お前たち!俺が誰だか分かっているのか!」
「そうよっ!公爵家の養子に入ったらあんたたちなんて全員死刑にしてやるんだから!」
夜会の会場で父に殴られた後、気がつけば地下牢まで運ばれていた。どうやら隣の牢にはノウミィが入っているようだ。
「ノウミィ?!ノウミィそこにいるのか?」
「ああっ、カプリッシユさまっ!わたくしはここです!助けてください!」
「いや、それは無理だな。何せ私たちは牢に入っているのだから。」
鍵かかってんだぞ?行けるわけなかろう。
「ノウミィ、そんなことよりも」
「今牢屋に入ってんだよ!何がそんな事だよ!」
な、なんだ…?隣にいるのは本当にノウミィなのか?あんな粗野な言葉が彼女から漏れるなんて。
「ノ、ノウミィ…?」
ハッと息を呑む音が聞こえた。
「ご、ごめんなさい、わたし、わたくし取り乱してしまって。」
啜り泣きが聞こえてきた。
「大丈夫だよ!ノウミィ!父上もちゃんと説明すれば分かってくださる。」
「でも、あんなに怒ってらして…」
それはそうだ。だって俺がノウミィと結ばれるのなら。
「それは公爵家を継ぐだなんて言ったからだよ。大丈夫、勘違いだと分かって貰えればすぐ牢屋からも出してもらえるよ。」
「え?公爵家に養子に入られるのですよね?」
「ん?いいや。公爵家を継ぐリリアローズの婿に入る予定だったんだ。」
「じゃ、じゃあ婚約を破棄したら…。」
「そうだね、もしかしたら余った男爵位くらいなら貰えるかもしれないね。」
「じゃあ貰えなかったら?」
「そうだなあ…侯爵領に行って兄上の補佐官でもするかなぁ。俺は、君と一緒だったらどんなところ…」
「あ?んああああ?!」
獣がいるのか?!恐ろしい咆哮のようなものが聞こえて来た!
「ノ、ノウミィ!大丈夫かい!どうやら近くに猛獣がいるみたいだ!出来るだけ牢の奥の方に逃げて!」
「んああ!?何が猛獣だ!ボケた事言ってんじゃねえぞ!」
「ひ、ひいい。の、ノウミィ…?」
どうやら猛獣ではなく怒ったノウミィだったようだ。
「公爵にもなれない!それどころか下手したら平民だってえ!爵位も金もないオマエに付いてくと思ってんのか!このクズ!」
ヒイッという小さな声を出した後、あまりの怖さに牢屋の奥の方で蹲って震えていたら声が聞こえてきた。
「そこまでだ。」
「父上…」
後ろにはリリアローズもいた。
「貴方たち、牢に入ってまだ2時間かそこらでしょう?仲間割れするには早すぎるのではなくて?」
「ち、父上っ!ノウミィが!ノウミィが何かに乗り移られてしまったんです!さっきから猛獣のような唸り声を!」
牢屋の前までやってきた父が呆れた顔で答える。
「多分乗り移ってないぞ。あれが彼女の本性なんだろうな。」
えっ、だ、だって今だって!
ガタガタガタっ!ガンッガンッ!うううぉぉぉぉ!
「唸りながら牢を破ろうとしています!あんなの!あんなの普通の令嬢にできるわけないじゃないですか!」
怯える俺をフン、とつまらなさそうに一瞥した父が言う。
「まあ良い。ある意味猛獣みたいなものだからな。とりあえずお前の嫌疑は晴れた。……という事にしてもらっても良いかな?リリアローズ嬢。」
リリアローズが後ろで頷いた。そして。
よく分からないが俺は牢から出してもらえた。
牢から出る時も隣からは猛獣の唸り声がしていたが、俺が父に
「ノウミィは?!ノウミィは出られないのですか?!」
と尋ねたら、人の啜り泣きが聞こえてきた。
「ううっカプリッシユさまぁっ、わたっわたくし怖いわっ!わたくしもっ!わたくしも連れて行ってくださいましっ!」
「ああっ!ノウミィ!やっと正気に戻ったんだね!父上!今のノウミィなら人を襲う心配もありません!一緒に」
「連れていけるわけないだろう!此奴は公爵家の乗っ取りを画策しておったんだぞ!」
公爵家の乗っ取り?
「ははは、父上何を仰ってるんですか、ノウミィがそんな恐ろしい事…」
ガンッガンッ!牢を激しく蹴飛ばす音が聞こえる。
「なんだよっ!このボンクラ!愛した女の一人牢屋から出せねえのか!使えないなっ!死んじまえっ!!」
ああ、ノウミィ。ノウミィ……
前作と設定丸被りなんですけども、登場人物が全く違う役柄だったりします。
同姓同名の違う話かなーくらいで読んでいただけると嬉しいです。




