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南北朝時代の林田隠岐守に転生して南朝で戦います  作者: 林田力
南北朝時代の林田隠岐守に転生して南朝で戦います
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林田肥後守

幕府は上皇方の荘園を取りあげ、東国の御家人を配置した。朝廷の旧勢力が没落し、御家人が西国に勢力を伸ばす。この中で林田泰範は肥後守となり、肥後国に赴いた。肥後守になるための儀式はウンザリさせるものであった。まず肥後守補任状を受ける。肥後守補任状を受けたら、次に肥後守任官式を行う。肥後守任官式の後は、肥後守就任披露が行われる。ここで初めて肥後守に就任することになる。

肥後守に就任すれば、次は肥後守叙任式を行う。肥後守叙任式が終わると、今度は任命者に対する褒賞授与式が行われる。肥後守に任命された人物は、知行国主に対して感謝の意を示すために贈り物をする慣例になっている。贈物の内容は自由だが、大体は金銭か米俵などである。


林田泰範には一つの思いがあった。

「自分はもう二度と都には戻らないぞ!」

それが林田泰範の決意であった。都の貴族の多くは、自らの血筋を誇るあまり傲慢になっていた。彼らの多くは血統主義に陥り、自分たちの祖先の業績を誇りながらも、それを子孫に伝えることを怠った。


「林田様、お久しゅうございます」

「おお、これは、これは……」

林田泰範の前に姿を現したのは、林田氏の遠縁にあたる人物であった。

「本日はご挨拶のために参上いたしました」

「それはありがたいことですなあ」

「これからもよろしくお願いしますぞ」

「こちらこそ、よろしくお願い申し上げます」

林田泰範は深々と頭を下げた。

「ところで、そちらの方々は?」

「こちらは、私の家臣です」

「ほう……家臣ですか」

相手の顔色が変わった。

「失礼ながら、その方たちは武士ではありますまい。武士ではない者を家臣のようにして使うとは、あまり感心できませんなあ」

「いや、これは私のやり方なのですがねえ」

林田泰範は苦笑した。

「しかし、この者たちは、元は百姓とか商人でしょう。そのような者に侍烏帽子を与え、刀まで与えるというのはいかがなものでしょうかね」

「まあまあ、そう言わずに……」


林田氏は播磨国揖保郡林田郷を本拠としたから林田氏であるが、本拠地以上に九州で栄えた。今でも林田は九州に多い名字である。家紋は三つ蛇の目、入り山形、右三つ巴などが多い。筑前国下座郡林田村という地名がある。

本拠地よりも別の土地で栄えた点は甲斐源氏の武田氏も同じである。甲斐源氏の武田氏は源義清が常陸国那珂郡武田郷を本拠として武田冠者と称したことが出発点である。


林田泰範は播磨国揖保郡林田郷、さらには九州と本拠を移していったが、御園家の分家として近江国神崎郡御園にも拠点を残した。それが近江国神崎郡林田になる。鎌倉時代は広域の分散拠点支配は当たり前であった。それが西国と東国の二つの王権に分裂してもおかしくなかった日本をかろうじて一つの国家にしていた。さらに元寇という国難が日本という国家意識を人々に高めることになる。

南北朝時代以降の動乱の時代になると、遠隔地の拠点維持は困難になる。領主は領地の一円支配を目指すことになる。肥前の国人になった林田氏にとって播磨国揖保郡林田郷や近江国神崎郡林田は縁のない場所となっていった。同じ神崎郡の建部郷を本拠とした建部氏が江戸時代に播磨国揖保郡林田の大名になり、林田藩主になった。林田藩は幕末まで存続した。

近江国神崎郡林田は林田村となる。明治時代になると町村制の施行により、林田村は周辺の村と合わせて御園村となった。御園村は一九五四年(昭和二九年)に神崎郡建部村や八日市町などと合併して八日市市となった。八日市は聖徳太子の時代から毎月「八」の付く日に市が開かれていたとされる古くから交易の盛んな場所であった。

八日市市は二〇〇五年(平成一七年)に神崎郡五個荘町などと合併して東近江市となった。五個荘金堂町は近江商人発祥の地である。江戸時代の金堂村は農村であったが、農民は生活が苦しく、副業で呉服や綿などの行商をするようになった。


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