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五十九話 反応が道端の石ころに近づいた


読んでいただきありがとうございます。諸事情により1週間ほど更新ができなくなります。


その後はまた更新していくので読んでいただけると嬉しいです。

 



「ん……ん……?」


 頭がぼーっとする。どうやら机に突っ伏して寝ていたようだ。

 時計を見ると夕方5時過ぎだ。


「きゅい!」


 手元を見るとエマが鳴いていた。

 頭を軽く撫でると気持ちよさそうにしている。

 手を甘噛みしてくるのでご飯が欲しいのかと思い炎纒を発動する。


 小さな口で頑張って食べている。


(こいつかわいいな……。守ってあげたくなる魔物だ)


 見てるとこっちまでお腹が空いてきた。



「母さん、今日のご飯は?」


「もうすぐできるから手伝って」



 エマから手を離すと


「きゅい…!きゅい!?」


『この飯は私のだ!とりあげるんじゃねぇ!』みたいな慌てっぷりだ。手を戻すと


「きゅい〜!」


『ご苦労さん!』と言われてるみたい。

 しょうがなくエマを右手で持ち左手で食器を運んでいく。

 ご飯ができてからも離れることはなかった。腕の上でたたずんでいる。

 ご飯を食べ終え、お風呂に入ろうとする…が。


「きゅいっ!きゅいっ!」


 どうやらご飯が終わっても俺から離れたくないらしい。


「食べ残しですらおまえは解放してくれないのか?俺はおまえのエサ…だが飼い主でもある。わかったか?」


 伝わっているか怪しいが一応言っておいた。


「きゅい!」


 返事してるから伝わってるだろ。…よし。


「エマ、この家は母さんが一番偉いんだぞ。次に俺だ。その次がエマで最後があれだ」


 指を指したがエマはまだ目が見えないのでわかっていないようだ。


「おい。変なこと吹き込むな」


「母さん、お風呂入る間エマ預かってて」


 そういいエマを離れさせようとするが


「きゅい!?………きゅいっ!」


 どうしても離れたくないみたい。


「おまえ強欲だな。今は腹減ってないだろ」


「違うわよ…。たぶんエマはなぎのことお父さんだと思ってるんじゃないかしら?」


「え?俺エッチしてないのに?」


「……そうよ。あなたはエマのお父さんよ」


 まじか。彼女いない歴=年齢の俺。エッチしたこともないし結婚すらまだだというのに……お父さんになってしまった。


「……おまえ俺と一緒にいたいのか?」


「きゅいっ!」


『あったりめぇよ!』って言ってるのだろう。


「そうか…。そこまで言うなら仕方がない。おまえの初めてをもらうぞ。いざ!浴場へ!」


「きゅきゅい!」


「……大丈夫かしら?」


「……不安だな」


 そう呟く両親だった。



 お風呂に入れるのは不安だったが猫みたいに水が苦手とかはなく普通に気持ちよさそうだった。

 身体をぬるま湯で洗ってすぐにお風呂からは出た。

 タオルで体についた水を拭いている時に気づいたが少しだけ体毛が生えてきていた。成長すればこれが鱗になるのだろうか。


「はやく大きくなれよ」


 まずは目が見えるようになるといいな。


 猫は生後7〜10日ほどで目が開く。

 竜がどうかは知らないので魔力を与えることしかできない。

 明日渋谷ダンジョンで魔石を取るつもりだが……エマが食うかどうか。


 ベッドに横になっているとお腹に上ってきて寝息をたてはじめた。言いようのない安心感みたいなものがある。


(これが子を見守る父親の気分か)


 そう思うとエマのことが愛おしく感じた。








 翌朝、御子神さんに電話をいれてきてもらった。

 両親と挨拶を済ませてから渋谷に向かった。

 今日はエマの詳細鑑定を本部でしてもらうのと魔石の回収。さらにはエマのスキルがわかればその検証をしようと思っている。


 ハンビルの駐車場で降ろしてもらいダンジョンまでは歩く。

 ダンジョン周辺は車など立ち入り禁止だからだ。

 歩いているとやはり目にとまるようで



「奥崎だ」 「手に乗ってるのエマちゃん!?」「かっこいいと…可愛い」「…あんなイケメンなら彼女はいるんだろうな…チッ。ゴキブリみたいに集まってくるな」



 などなど聞こえてくる。


 一言申したい…。



(彼女できたことねぇんだよ!!!だいたい女性をゴキブリに例えてるやつに彼女ができるか!!しっかり自分の言動を考えろばかやろぉ!!)


 悪態ついたやつに彼女いたらびっくり。俺と何が違うんだって話になるから考えない。


 一部の人間には珍しがられるが最近は


「奥崎じゃんか!探索頑張れよ!」「奥崎さんこんにちは!」「今日もいけてるな」「今度写真撮ってくれ」「…例の写真何階層にいたんだ?」



 など、探索者からは気安く話しかけられることが増えた。例のツイートで俺も健全な男子アピールがうまく働いたおかげなのではないだろうか。

 ただ…女性から話しかけられることは滅多にない。


 俺は小声で


「38階層です。もう倒してしまっていませんが」


 と言うとみんな泣き出した。おもに男だけだが。

 膝から崩れ落ちている男どもを放っておき本部に入る。受付に向かい



「すみません、この竜の詳細鑑定をしてもらいたいんですけど…」


 そう言うと受付嬢は息をのみ口を開いては閉じてを繰り返していた。


「しょ、少々お待ちください!」


 たぶんエマの可愛さにやられたのだろう。公私混同せずに仕事を全うした彼女のポイントは高い。


 少し待つと奥から中年男性がやってきた。

 前回のアダマンタイトと同じ人だ。



「この竜を鑑定ですね?」


「はい、お願いします」



「…っ!……すみません。名前と種族、レベルとストックしか見ることができません」


 なるほど。どうやら鑑定メガネだからそれだけしか見れないと思っていたが詳細鑑定でもだめなようだ。


 考えられるのは


 ステータスとスキルがまだない。それか鑑定妨害系のスキルを持っている。もしくは………映されない。


「すみません、ストックっていうのはなんですか?」



「すみません。ストック11と書いてあるだけでそれ以外のことは何も…」


「…わかりました。ありがとうございます」



 本部を出てダンジョンに入る。


 このストックというもの…心当たりがある。



 40階層に転移し41階層におりる。41階層は岩が所々にあるフィールドだ。


 100mほど先に反応があり向かうとそこにはゴーレムがいた。

 鑑定メガネで見ると


 岩ゴーレム

 Lv43



 とでた。

 さっそく黒鬼で飛斬を飛ばし、胴体を真っ二つにする。動かなくなったが……


「…光にならないな。まだ生きてるのか?」


 警戒しながら近づいていくと2mほどの距離で岩石を飛ばしてきた。


「奥の手ってやつか?」


 体を少しだけ右に逸らして避ける。

 斬鉄で斬り刻むが消えない。


 徐々に岩同士が近づいていき合体する。

 元どおりになる前に斬鉄で斬るが。



 埒が明かないため弱点がないか触って探す。

 復活しそうになると殴って粉々にする。

 少し力を入れて殴ると人間の胸あたりに固い岩があった。これが動力源なのかゴーレムはその後光になって消えた。

 魔石を回収して


「エマ、この魔石食べれるか?」


 口元に持っていくと鼻で匂いを嗅ぎ始め…パクリと食べた。


 ぺっ!


 食べたが吐き出した。吐き出された魔石は色を失っており透明の石みたいだ。手に持ってみると砂のようになった。


 鑑定メガネでエマをみると



 エマ

 種族 白竜

 Lv1


 ストック12


 とでた。

 あたりだ。どうやらこのストックは今までに食べてきた魔力のことらしい。何回ご飯をあげたか覚えてないがだいたい10回ぐらいだと思っていたのでこの予想であっていた。

 …ゴーレムの魔石より俺のあげた魔力の方が強いと思うが…一度あげると1増えるみたいだ。


 試しに炎纒を発動して食べさせる。鑑定メガネでみると13になっていた。確定だろう。

 あとはこのストックを何に使うかだが……


 げぷぅ…


 満足そうにしている。

 頭を撫でてあげる。



(どうしたものか…。だめもとで聞いてみるか)


「エマは何か出来ることはあるか?」


「きゅい?」


 …伝わってなさそう。

 これからはエマに積極的に話かけようと思う。人間の赤ちゃんも周りの言葉を聞いて覚えるし。異世界で竜は魔物の王なんだ。言葉ぐらいすぐにわかってくれるだろう…………。


 レベル上げについてもよくわからない。魔力を与えても上がらないし俺が倒しても上がっていない。エマが倒さないとレベル上がらないんだろうか。


「…先は遠いな。頑張って強くなろうな」


 まずはゴブリンからだろう。瀕死まで追いやったらエマの出番だが…目が見えるようになるまでは待機だな。エマの安全面を考えるとダンジョン探索もできない。誰かに預けることができればいいが…。


 一度エマを地面に置き少しだけ離れてみる。


「きゅいっ!?きゅい!!きゅい!!」


 めっちゃテンパってる。

『てめぇ何離してんだコラァ!』

 っていってるのだろう。


「エマ」


 そう呼ぶと小さな足と手で必死に駆け寄ってくる。可愛い。


 手でエマを撫でる。


「きゅい……」


 ちょっと拗ねた感じに聞こえた。


 今は自分の頭を俺の指に擦り付けている。マーキング的な?『一生はなさねぇぞ』的な?


 エマが心許す存在ははたしているのだろうか。



 ダンジョンから出てハンビルに入り24階の部屋に行く。エマの目が開くまでダンジョンには行けないから時間を潰す必要がある。





読んでいただきありがとうございます。


もし、この作品が面白いと思ったら下にある評価を押していただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新楽しみにしています
[一言] エママジかわたん!
[良い点] エマ可愛いエマ可愛いエマ可愛いエマ可愛いエマ可愛いエマ可愛いエマ可愛いエマ可愛いエマ可愛いエマ可愛いエマ可愛いエマ可愛いエマ可愛いエマ可愛いエマ可愛いエマ可愛いエマ可愛いエマ可愛いエマ可愛…
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