キューピッド
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俺が「君」を好きだと自覚した5日後に君は死んでしまった。
何もしてあげられなかった。
「君」を守りたかったのに。
「君」に笑顔をあげたかったのに。
空気感染も接触感染もしない病は、どんなに俺が願っても俺に感染する事はなかった。
「君」も俺も微妙な年齢だったのだろう。
そして「君」は感染し、俺は感染しなかった。
「和葉、ダブルデートしようぜっ。」
「は??つうか誰とするのさ?」
「和葉と雪だろ、で、俺と早苗ちゃん♪」
「なんだ、うまくいったのか。
良かったな。
お前、意外と奥手なところあるからな〜。」
まだ連絡先交換しただけだよっ、だから頼む!なんて言われたら断れないのが俺。
「じゃあ、一応雪に聞いてみるけど。
雪と付き合ってるわけじゃないから断られたら諦めろよ?」
「頼む!恩にきるぜ。」
満面の笑顔で晶は次の講義に向っていった。
俺も雪も次の時間は講義がない。
手短に用件だけをメールで送る。
すぐに返信があり、見るとイマドコ?の文字。
カフェテリア、とだけ返すとスグイクとの返信。
のんびりコーヒーを飲んでいると、雪がホットココアを手にやってきた。
「で、何?ダブルデートって。
早苗と晶、うまくいってるの?」
にこにこしながら聞いてくる。
どうやらダブルデートという言葉には抵抗がないようだ。
「まだ連絡先交換しただけらしい。
晶のやつ、あれで意外と奥手だからダブルデートに誘うのが精一杯みたいなんだ。
で、雪が嫌じゃなければ4人でどこか行かないか?」
「うんっ。わーい、キューピッドだ♪
どこに行こうか?
楽しみだね♪」
「晶はどこでも喜ぶから、早苗ちゃんに行きたいところ聞いてみて貰えるか?」
「オッケー。
次の講義、早苗と一緒だから聞いておくね。」
よろしく、と返事をし、その後は雑談に変わった。
夏にはバーベキューがしたいとか、花火がしたいとか。
しかもメンバーがダブルデートの4人。
晶が振られるとは考えてもいないようだ。




