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13 [店は臨時休業中だが順調なカザミ5]


「こっちにきて、もう何年も経った様な気分だ」


初めてロロアと出会った草原にきている


空は紅く染まり、夕暮れが訪れていた


その紅い光に照らされるように、俺の前にはレンガで作られた床がある


「行くか」


俺は初めての拠点を後に、大森林に向かって歩き出した


高く聳える木々が、風に揺られてざわざわと葉音を奏でている


すでに夜が訪れ、光玉無しでは暗くて歩けない


「こんな場所をロロアは一人で歩いてきたのか」


どんな思いで、こんな暗い場所を歩いていたのか

一人で寂しく、怖ろしく、それでも歩き続けていたのだろうか


「あの子は強い子だ」


トトを思い、歩き続けていたに違いない


双子の再会を思い出すと、なんだか誇らしい気分になる


「ロロアと出会って、救われたのは俺の方だろうな」


俺は一人ではないと思えるだけで、心が満たされる


常時発動(パッシブ)にしておいた探知察知に赤い光点が現れるが、近くまでくると俺を避けるように離れていく


よくロロアは魔物に襲われなかったものだ、あのケットシーが何かしていたのだろうか


ケットシーが現れたら、あの日何があったのか聞きたいものだ


「大きな木だな」


他のどの木よりも高く、太い木が視界に入った

その木には祠のような穴が開いており、人が一人入れるぐらいの空間が開いている


「子供の頃、こういうのを見つけると胸が躍ったな」


なんだか懐かしい感情が溢れてくる


祠を覗くと、中に小さな動物らしき物が見えた


葉を敷き詰めて作られたそれは、どうやら巣穴になっていたようだ


よく見ると小さなキツネの子供たちが、身体を寄せ合いながら眠っている


一匹が気配に気づいたのか、眼を覚まし耳をピンと立て、顔を上げて警戒しているように見えた

俺は他の子狐を起こさないよう静かにその場を去る事にした

キツネは夜行性だったか、親狐は狩りにでも行っているのだろうか


黙々と歩き続け、けっこうな距離を歩いてきたと思うが、まだ開拓村は見えてこない


「今日は歩き通しで疲れたな」


夜も深まり、そろそろ店に戻るかと考えていると、常時発動パッシブにしていた探知察知に青い光点が浮かんでいる


開拓村に着いたのかと思い、俺は光点に向かって歩みを進めた


「妙だな・・・」


開拓村と聞いていたので、それなりに人が移住していると思っていたが、青い光点は三つしかなく、その光点の後方には無数の赤い光点が現れていた


「行けばわかるか」


俺は身体強化を施して跳躍し距離を詰めていくと、少女が二人、暗い森の中を走っている


「魔物から逃げているのか」


俺は二人の前に姿を現した


「きゃっ」


突然眼前に現れた俺に驚いたようだ


「俺は人だ、魔物じゃない」


「早く逃げないと・・・

お兄さんも早く逃げてください」


「何があったんだ」


「・・・お姉ちゃん」


少女の影に隠れるように、小さな女の子が顔を覗かせた


「大丈夫よレレイ」


姉妹のようで、俺に逃げろと言った少女は姉のようだ


「魔物に襲われたのか」


「村にゴブリンの群れが押し寄せ逃げ出したのですが・・・」


そうこうしている内に、魔物の群れが視界に映った


魔物も警戒しているようで、不用意に近づいてはこないが、一定の距離から矢が放たれた


「物理結界」


結界に弾かれた矢が周囲に散らばっていく


「これは・・・」


「結界を張った、この中にいれば安全だ」


俺は結界から出て、矢が放たれた方角に向かい駆け出した


弓を構えるゴブリンを見つけ、そいつの首を刎ねると、小さな火の玉が飛んできた


「魔法も使うのか」


光玉を無数に創り出し、周囲を明るく照らし出すと、ゴブリンの群れの中央に杖を持ったゴブリンが見えた


弓を持ったゴブリンは周囲に散開しているらしく、木の陰から俺の様子を窺っている


一塊になっているとは魔法を使えるゴブリンがそんなに大事なのか、それとも魔物にも格差があるのだろうか


「雷薙ぎ」


刀を横に薙ぎ、雷の閃光を飛ばすと、それに直撃したゴブリンから周囲のゴブリンに雷が伝わり、黒い煙を上げた

一塊になっていたゴブリンは、魔法を使うゴブリンも含めて黒焦げとなり、その場に倒れこんだ


「あとは弓のゴブリンか・・・【天雷】」


刀の切っ先を空に向け業雷を放つと、空で弾けた雷が弓を持ったゴブリンたちの頭上に降注いだ


グギャーッと悶える声がしていたが、探知察知で周囲を確認しておく

赤い光点は全て消えている


全部で二十体ほどだったか、ゴブリンは緑色の肌をしていたが、血は赤かった


「もう大丈夫だ」


姉妹の方に戻ると、姉と妹が地に両膝をつけて頭を下げてきた


「お願いします、村にはまだ友人がいるんです

助けてください」


「フロアお姉ちゃんを助けてください」


「村とは開拓村の事か」


「・・・はい」


「ちょうどいい、案内してくれ」


二人に連れられて村の近くまでくると、村のあるだろう方角から煙が上り、周囲を赤く照らしている


「火をつけられたのか

どうやら村に何人か残っているようだが、ゴブリンの数が多いな」


「どうか、フロアを助けてあげてください

私たちを逃がすのに、ゴブリンと戦ってくれているんです」


「わかった、まだ村には多くのゴブリンがいる

ここに隠れていろ」


二人を村から少し離れた木の陰で待たせ、俺は村に向かって歩き出した

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