ガス管の安全性
施工会社が決まり、解体工事がほぼ終了となった。建設工事に対する直接の抵抗手段は今のところ道路法しかない。しかし、トラックはすでに解体工事で認定を受けたと同じ下請けが使える。重機の搬入に関しても、一度許可を受けた実績を持ってしまっているから、審査の引き延ばしが難しい。
それでも、やはり道路法は有効性を持っている。工事会社が決まっても直ちに通行許可が申請できるわけではない。下請けを決めて、使う車両を決めて、車検証を添えて申請する必要があるのだ。結局彼らが申請したのは二月の末だった。この段階ではすでに、時間の戦いになって来た。あと一ヶ月、なんとか工事を遅らせたい。今回は住民側も必死だ。なるべく多くで市役所にお願いに行くことになった。ぎりぎりの駆け込みを行おうとするタワラコーベンの非道を訴え、慎重な審議をお願いした。しかし、ニ月二〇日にはタワラコーベンからの申請が市の道路課に届いて、これから二週間以上の引き伸ばしは無理な様だった。
審査に新たな理由を持ち込むことが必要なのだが、ここで丁度、北海道の北見市でガス漏れ事故が起こった。道路に埋めたガス管からの漏洩事故で死亡者が出る騒ぎになった。この原因が道路のガス管の損傷であり、除雪車の走行がその損傷を引き起こしたという報道もあった。百原にも、けやき公園に調整器が設置されているから、重機の通行経路にはガス管が設置されている。
使えるものは何でも使う。われわれも必死だ。さっそく道路課にこれを持ち込み、ガス管損傷の危険性をチェックせずに通行許可を出すことは出来ないと申し入れた。市民の命にかかわることといわれれば市も無視することは出来ない。ガス会社に安全評価をさせることになった。北見の事故はねずみ鋳鉄と云う材料を使ったガス管が応力割れを生じさせてしまったことで起こった。百原のガス管はさすがにねずみ鋳鉄ではなかったが、鋼管を使っており、現在のポリエチレンより古い仕様になっている。少なくとも安全評価のために再計算が必要である。
道路課がガス会社に強度計算を依頼したので、少なくとも計算結果が出るまでは通行許可が出ないことは確実だが、どうも三月六日には結果が出てしまう見込みと成った。これでは困る。
そこに、住民の中からまたアイデアが出てきた。解体工事の時に無理をして重機が通ったのだから、すでにガス管に損傷があるかも知れない。ガス会社に点検を依頼し、道路課には点検結果が出るまでは通行許可を出さないように伝えた。道路課としては、安全点検が行われるのにそれを無視して先に許可を出してしまうのでは、いかにも業者よりの行政になってしまう。また少し、ガス漏れ検査の結果を待たねばならないことになった。
ガス漏れ検査には住民も立会いガス検知装置を載せた手押し車を埋設管の上を押して行って調べた。装置は漏斗状の口を 路面にふせて空気をポンプで吸い込み、その空気の比重とか熱伝導率を測定するようになっている。ガスが天然ガスで(従って、実は、北見とは違って致死性ガスではないかわりに爆発性が高い)。比重が空気 より軽いので、この仕組みによって検知できるとのことであった。検知機の針をにらみながら道路を動かして行ったが、針は、当然といえばそうだが、漏れなしの位置の止まってまったく動かなかった。
検査終了まで許可を出さないことについて道路課は明確な回答をしなかったが、結局点検が行われた三月十二日まで国道事務所への審査回答を保留した。この時点では一日が大切だった。業者が通行許可証を手にしたのはおそらく三月十四日だっただろう。




