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クラスから追放された最弱の俺。最強スキル【コピペ】で成り上がる。  作者: あーる


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7

翌朝、硬いベッドの上で目を覚ました。


 粗末な木賃宿の部屋には、壁の隙間から朝日が細く差し込んでいる。


 昨日の戦闘と慣れない寝床のせいか、体の節々が軋むように痛む。


 宿を出る前に、もう少しスキル【コピーアンドペースト】について調べておこう。


 まずはクリップボードだ。


 昨日までにいくつかコピーしているが、不要になったデータを消す方法はあるのだろうか。


 俺は部屋の隅にあるガタついた木の椅子へ触れ、


「コピー」


 と念じた。


《[木の椅子]をコピーしました。クリップボード容量:8 / 10》


 次に、頭の中でクリップボードの中身を一覧表示するよう念じる。


 すると、半透明のリストが浮かび上がった。


【クリップボード】


 石ころ

 張り紙のテキスト情報

 銅貨

 簡易なカゴ

 依頼票の地図情報

 ポポ草

 ゴブリンの棍棒攻撃パターン(予備動作)

 木の椅子

(空き)

(空き)


「おお……」


 内容まで確認できるらしい。


 試しに「簡易なカゴ」を選択し、「削除」と念じる。


《[簡易なカゴ]のデータを削除しました。クリップボード容量:7 / 10》


「できた」


 なら、もう必要のないものも整理しておこう。


 張り紙のテキスト情報。


 それから、金策には使わないと決めた銅貨。


 二つを削除する。


《クリップボード容量:5 / 10》


 これで余裕ができた。


 次に、腰に差した錆びた短剣へ触れ、その「切れ味」という特性をコピーできないか試してみる。


(コピー!)


《現時点では、概念的な特性のコピーはできません》


「やっぱり無理か」


 物質や文字情報、単純な動作パターンとは勝手が違うらしい。


 最後にMPを確認する。


 昨日使った分がほとんど回復していた。


 どうやらMPは時間経過、少なくとも睡眠を取れば自然に回復するようだ。


 これも覚えておこう。


 宿を出た俺は、屋台で硬いパンを一つ買い、それをかじりながら冒険者ギルドへ向かった。


 ギルドの扉を開けると、受付には今日もエマさんがいた。


「おはようございます、ソウマさん! 今日も依頼ですか?」


「ああ。そのつもりです」


 俺はFランクの依頼掲示板へ向かう。


 視線を走らせていると、一つの依頼が目に留まった。


「下水道の巨大ネズミ駆除:巣食う巨大ネズミ(ドブネズミ・大)の討伐。一匹討伐につき銅貨2枚。鋭い牙は別途買い取り可」


 巨大ネズミか。


 ゴブリンよりは弱いかもしれないが、数が多い可能性もある。


 下水道という閉鎖空間も厄介そうだ。


 だが、報酬はポポ草採取よりいい。


 戦闘経験を積むにも悪くない。


「よし、これにしよう」


 俺は依頼票を剥がし、エマさんの元へ持っていった。


「あら、ネズミ駆除ですか。昨日ゴブリンを倒したソウマさんなら大丈夫だと思いますけど……下水道は暗くて迷いやすいですから、本当に気をつけてくださいね。あ、松明は持っていますか?」


「松明……いや、持っていないな」


 買う金も惜しい。


 そうだ。


 俺は以前どこかの店先で見た、ごく普通の松明の形を思い出した。


(コピー!)


《[記憶内の松明(未点火)]をコピーしました。クリップボード容量:6 / 10》


 成功だ。


 記憶からのコピーは、やはり単純な構造の物ならできるらしい。


 人目につかないようにペーストを実行し、手の中に松明を出現させる。


「……っと、今ので大丈夫だ」


 エマさんは少し驚いた顔をしたが、それ以上は何も言わなかった。


「火は、あそこのランプから少しだけ借りてもいいか?」

「ええ、どうぞ」


 ギルドの隅に置かれたランプから火を移す。


 さらに、エマさんに下水道の入口や注意すべき構造について説明してもらい、その情報をコピーした。


《[下水道の詳細情報]をコピーしました。クリップボード容量:7 / 10》


 これで道に迷う危険も多少は減るだろう。


 準備を整え、俺はエマさんに見送られてギルドを出た。


 下水道の入口は、街の外れの人目につかない場所にあった。


 苔むした石造りの階段が、暗い地下へと続いている。


 階段を下りていく。


 ひんやりとした湿った空気。


 鼻をつく悪臭。


 松明を掲げると、石造りの通路と、濁った水が流れる水路がぼんやりと浮かび上がった。


(ここが、下水道か……)


 俺は慎重に、その奥へ足を踏み入れた。

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