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旅への手順  作者: 蒼穹月
15/22

-11-

ティルが怒った瞬間。僕とライ君とルック君は部屋の隅に退避した。

ティルって、怒るとお母さんや先生みたいな説教魔人になるのだ。巻き込まれたくないなら逃げるに限る。三十六計逃げるにしかず。この為に作られた言葉じゃないか、ってたまに思っちゃう。

ティルの迫力にびびって、口をパクパクさせるアークさんとリアさん。

そんなアークさんとリアさんに、次々と説教を繰り出すティル。

流石、魔人!妖精だけど!

アークさんとリアさんは、たまらず水道から出る水の如く、泣きながら凄い勢いで僕の方に近寄ってきた。その顔は、ちょっと気持ち悪恐い。

ていうか、僕を巻き込まないで欲しい!

僕は、慌てて離れようとしたけど、その前にアークさんに羽交い絞めで捕まっちゃった。

「すすすすみみみませせん!魔法教おし教えて下さいいいいい!」

意味理解困難ですぅぅ!

「まだこっちの話は終ってないわよ!」

うわあああ!ティルが凄い形相で来た!

「わ、分かったから向こう行ってぇ!」

何とか離れようとしてるんだけど、アークさん、実は馬鹿力の持ち主だぁ!離れてくんないよぅ!

「話の途中で急に何処かへ行くんじゃない!いい?用がある時は、必ず一言断りなさい!そんな事は、旅人以外でもやるのが礼儀ってものでしょう!

トニーも!こっちの話が終って無い時は、こっちを優先する様に相手に言いなさい!」

うわーん(泣)!とばっちりだぁ!

ライ君とルック君はいつの間にか何処かに行っちゃってるし。ずるいぃ!

「あ、あの、あの!

い、今は魔物の事を話し合う方が先じゃないですか?」

ナイスフォロー!リアさん!

ティルはギラッとリアさんを見ると、

「術の教えを請うって事で決まったのでしょう!なら、問題はありません!」

キッパリ言った。

うわーん!魔人節が止まんないよぅ!

「あ、あの、あの!

私は一分一秒でも早く、術を教わる方が今は懸命ではないかと思います!」

ナイス食い下がり!リアさん!女の人って諦め悪い人多い気がするの!とても感謝したいって、今始めて思えたかも!

「ぬ~。そうね・・・。

で。術が得意なのはどっち?」

取り敢えず、魔人は納まったみたい。

本当に!心の底から良かった!

「私です!」

ガッツポーズを付けながら、勢い良く名乗りを上げた。

ふぅ。やっと話が進むよ。

「それじゃ、リアはトニーと外で練習して」

テキパキと指示を出す。僕達は逃げ出すように外に出た。

「あんたはまだよ」

再び魔人顔で、一緒に出て行こうとしたアークさんを、捕まえる。

ちっちゃいティルに引き摺られてるってことは、魔法使ってるな(汗)。

つまり。・・・本気だ。ティル。今日は別の場所で寝させてもらおう。

リアさんも、アークさんを生贄の如く、見捨てて早足で部屋から離れた。

部屋からは、アークさんの悲痛な叫びが聞こえる。気がする。

僕達は早速外で特訓を開始した。

やってみると、意外にもリアさんは飲み込みが早く、これなら徹夜で猛特訓すれば何とか使えるだろうと、さらに特訓に勤しんだ。

「へー。こりゃ、リアの方は旅出ても何とかやってけんじゃねーか?」

先に避難していたライ君が、リアさんの頑張ってる姿を見ながら言った。

「うん。そだね」

僕が同意すると、ライ君はくすくす笑った。

「こりゃ、アークはお荷物だな。力はあるみてーだが、技術がねぇ。その内尻に敷かれ始めるぞ」

うん。そんな感じ。

でも僕は、リアさんの失敗のフォローに出たから口に出せなかった。

日が昇るころ、何とか使える位になったから、僕達はいったん寝る事にした。

起きて、朝食を食べる頃にはすっきりした顔のティルと、げっそりした顔のアークさんもやって来た。やっぱり徹夜だったね・・・。

食べ終わってから、リアさんの提案通り、アークさんが亡骸の搬送、ライ君、ルック君はその手伝い、同時にリアさんが術を使い、僕とティルは監督さんをする事になった。

その前に、火を消す必要があったから、僕とティルとルック君とリアさんで、今日一日消火活動した。街の人達の中にも術を使える人は手伝った。他力本願しようとしていた人達に、ティルが活を入れてからだけど(汗)。

相変わらずルック君の召喚獣、リック君の水技は凄い。

リック君は大蛇の様な姿に鋭い牙と鳥の様な足と魚の様なヒレを持つ獣。目のあたり何かは丸くてキョロキョロしてて可愛いけど、不用意に近づくと鋭い爪で引っ掻かれるから要注意なんだ。

ほとんどリック君が火を消してくれた。そして僕達はほとんどリック君の水技に見惚れていた。

「消火は終ったわ。問題は明日ね。

今日はゆっくり寝て、明日に備えるわよ」

という訳で、あっという間に一日が過ぎた。

今日は忙しかったもんなぁ。明日はもっと忙しくなるねぇ。

リック君の雄姿を思い出しながら、僕は眠りに落ちた。



ずがああああん!!!

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