紫陽花
村の中は、紫陽花の花が沢山咲いていた。ピンク、白は、もちろん人気の紫系もが多く。
更には、ガク咲きより丸く花を付ける手毬咲きが多い。田畑の脇沿いに紫陽花を並べて植えた七瀬さんは、ある年急に花数を増した。
「今年の七瀬さんの紫陽花は、見事じゃね。」と声をかけると
「沢山挿し木をして増やしたんだよ。いつも適当に土に挿していたんだけど、数年前、新しい土で挿したら、何本も根が出てね。」
「紫陽花は、挿し木が出来るとは、聞くけどなかなか上手くいかないだよな。」
「条件が合うとしっかり成長するんだわ。」
道端の立ち話は、途中からの参加者が増えていく。
「生前、おふくろが可愛がっていたウチの紫陽花、去年も今年の花が咲かないんだわ。」
「紫陽花は、今葉っぱつけてます?」
「葉は、あるんだよね。」
「紫陽花は、花が終わったらすぐ切り戻しをするんです。」
「あぁ、いつだか教えてもらったから、そうしたんだ。」
「その後切ると、翌年の蕾を切り落とす事になるんだわ。」
するといつの間にか現れた女性が、
「藤さんとこの奥さん、きれい好きだから、よく庭の手入れしておるね。紫陽花も切ったじゃない。」
「しのぶさんよく庭の掃除しておるから。伸び放題は、大嫌いだわ。」
「そっか、うちの女房が、いらん事しておったか。」
「うち以前、大きな紫陽花の半分を6月の花後に切り、8月になってから残り半分を伐採。すると翌年、半分が早咲き、残りが遅れて咲いてくれるので長く楽しめましたよ。」と七瀬の提案は、面白い。
「早咲きとのんびり咲きかぁ。いいだね。」
「うちは、前水色の花だったが、今年は、ピンクだよ。どうしたんだか。」
「土の性質が花色に影響するんですよ。
植え付け前にピートモスや鹿沼土を混ぜて、土を酸性にしておくんですよ。そうするとアルミニウムが吸収されて、アントシアニンと結びついて青くなるんです。」と七瀬は、すらすら説明をした。更に
「そういえば、コーヒーかすを根元にまくのも良いって書いてありました。土のpHを下げて、青色が綺麗に出るそうですよ。
ただ、湿ったままだとこの時期カビそうですね。」
「何やら難しいですね。」
「難しいから咲いた時、可愛いのだな。」
「人間の好みで紫陽花も大変だわ。」
それぞれの感想がでる。
「花言葉も気の毒で『移り気』とか『浮気』などあるしね。」
「でも紫陽花は、ドライフラワーにしても楽しめますよ。」
「ドライフラワーも上手く乾けば、長く飾れるなあ。」
七瀬の紫陽花談義は、エンドレスだった。
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