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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
再びカザー星系とのやりとり
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カザー星系の部下といやがらせ(4)

「君たちに伝言だ」見たことがないネコがキララの前で言う。


「ねえ。誰? この子」

 見た目は普通のぶちの入ったネコ。


 ネコは地面をタッチして言う。

「首輪に入っている紙を読め。そしてみんなでポイントAA3へ来るのだ。と言っている」


 ネコはキララを見る。


 ユキが一番近くにいるので、首輪のところについている小さいポーチを開く。

 中には紙が入っていた。


 紙の他に古い鍵も入っていた。ユキは見つからないように紙と一緒に鍵を取る。


 そして…紙をひろげる。


「お前たち。よくも妨害してくれたな。我々の計画は遅れをみせている。よって、話し合いをしたい。ポイントAA3まで来るように…なお…人数はいつものメンバー全員で来てもよい。

あと…このネコに報酬の煮干しをあげてくれ…以上だ」


 と書いてあり、カザー星系のマークが透かしで入っていた。


「にぼしね… 家にあるね…」ユキは自分の家へと向かう。


 ここは幼稚園のそば。

 ララちゃんを迎えに行ったあとの帰り。


 ララちゃんは後ろからネコに手をのばしてネコを抱っこする。


 にゃー

 ばたばたするネコ。


「このにゃんこ。少し毛がごわごわしている。お年寄り?」


 ばたばたとするネコ。


 ユキの家へとついてから、ユキは家の中へ入り、ミミちゃんのにぼしを本人に断ってから持っていく。


「はい。にぼし…すこし多めだよ」

 やさしいユキ君はにぼしをあげる。


 ララちゃんは地面にネコを下す。


 ネコは地面をタッチして言う。

「こら。わしを抱っこするな。抱っこは嫌いじゃ…

それからにぼし。ありがとな…この時代のにぼしは好きじゃ…」


 はぐはぐとにぼしを食べてから…ネコは

地面をタッチして「じゃあな。まってる…」


 さらに地面をタッチして丸い模様が地面に浮かび上がりネコは未来のカザー星系へと帰って行った。


「さて。とうとうボスのおでましだね…慎重にいかないとね…前のようなことはないようにしないと…」


「うん」


 ララちゃんが「キラお姉ちゃんのようにならないでね」という。


「うん」キララはララちゃんの頭をなでなでする。


「作戦会議をしよう」キララは家の中へと入り、みんなに連絡することにした。


☆☆☆


 みのるお兄さんとヒメルの家。


 キララがみんなに言う。

「さっき。これをネコから受け取った。おそらくカザー星系のボスからの伝言。

ポイントAA3へ来いって…日時は指定されていないけど…おそらくクロの時代だろう…

いつも行っている未来の年代のおそらく…地球でいう8月31日の13時かな?」


 ミミちゃんが…「ねえ。なんで日時までわかるの?」キララに聞く。


「それはね…紙の裏に地球での日時が書いてあった…

それっぽく言っただけ…」


 なあんだとミミちゃんが言う。


「ねえ。いつ出発するの?」ララちゃんが言う。そしてララちゃんが日記をポケットから取り出す。


キララが「そうだね…明日の朝かな。ちょうど明日は土曜日だけど学校休みだし…」


「えー。それ困るなあ。俺たちは学校だぞ…」

 みのるお兄さんが言い、ヒメルはうなずく。


「午前中だけね…」


「じゃあ午後一にしよう…TMRで移動するからあっという間だし…」

 キララはみんなに言う。


「じゃあ。学校まで迎えに来てくれ… カバンを家へ置いて…そのまま行くと楽かな」

 みのるお兄さんが言う。


「そうね…お昼はどうするの? キララちゃん達は食べてくるんでしょ? あたし達はまだになりそう…」

 ヒメルはみのるお兄さんの膝の上で言う。


「じゃあ。未来でいったんお昼を食べて…それからポイントAA3へ移動でいい?」

 キララはヒメルとみのるお兄さんに聞く。


「いいわよ…」


 というわけで出発の日時がきまった。


☆☆☆


 ララちゃんは日記に出発の日時を書いた。


 当日の朝。


 がばっ。

 ユキとキララが寝ている布団の上になにか大きくて重たいものが乗る。


 ん。


 ユキは目をさます。


 うさ耳。


 この体の大きさは…きっと。

「ねえ。ちょっとねえ」僕は大きな体をおしのける。


「なあにユキ君」ララお姉さんが突如家の中の廊下へTMRで自動ドアを開けて不法侵入してきた。

 そしてまだ寝ているユキ君の上に乗ってきた。


「暑いし…重いし…それに急なんだよ…」


「えー。いいじゃない…寝ているユキ君ならだきついても避けないし…」


「寝ているときはだめ。本気で嫌いになるよ…」


「えー」ララお姉さんは寝ていて、まだ起き上がってないユキ君の頭に自分の顔をくっつけて、もふもふする。


「うわぁ」ユキは押しのけようとする。


「ふっふっふ。ユキ君の力で押しのけることできるのかな…」ララお姉さんは乗ってくる。


「重いって」

 こんなことをしていると…キララが目を覚まし…言う。

「異世界のキラに頼んで、ララお姉さんが寝ているときにユキ君が存在しない異世界へ連れて行っておいてくるよ…」という。


「えー。それは困る… キララちゃんのいじわる」

 ララお姉さんはユキ君の布団の上で正座して座る。


☆☆☆


 寝ぼけたララちゃんが部屋に入ってきた。

「またきたの? ユキ君をいじめちゃだめ」

 ララちゃんはユキ君にぎゅっと抱きつく。


 うさ耳がユキの顔にあたる。


 ユキはララちゃんの頭をなでる。

「ねえ。幼稚園児の子に守られちゃったね…」キララもララちゃんの頭をなでる。


「ねえ。しょうらいのあたし。しょうぶ。あたしの方が役に立つように動くから…」

 幼稚園児のララちゃんは未来から来たララお姉さんに指をつきつける。


「え? なに? あたしと勝負するの? あたし自身なのに?」


「そう。こんな大人になりたくないから勝負するの…」


 ララちゃん。また大人の自分と喧嘩しようとしている。


 ララお姉さんは…「いいわよ…大人になったあたしと勝負なんて…全力でいかせてもらうわね…

あたしが勝ったらユキ君を思う存分にもふってから…未来へ連れて行っていいのよね?」


「だめ。もふるのだめ…お兄ちゃんがいやがるから…

あたしが勝ったら思う存分ユキお兄ちゃんになでてもらう。そしてこれ…

高級ニンジンセットかってもらう… あなたに…」

 びしっと指をララお姉さんにつきつけるララちゃん。


「げっ。この高級ニンジンセット6万円もするんじゃない…高い…

まあいいわよ…買ってあげる。ただしこのセットはあたし自分のご褒美にするから…

ララちゃんにはあげない…」


「あたしが勝ってもくれないの? そんなの反則」

 ララちゃんはララお姉さんの耳をひっぱる。


「いたた。わかった。わかった。ララちゃんが勝ったら全部上げる。そのかわり負けたら。

あなたがどんなに泣いてもあげないから…」


「うん。しんけんしょうぶ」

 ララちゃんが言う。


「約束ね」

 ララお姉さんはララちゃんに約束する。


 ユキは小声で…

「ねえ。本気で幼稚園児と勝負する気だよ…このうさ耳お姉さん」

「ほんとだね…面白そう… ララちゃんが勝ったらおもしろそうだね…」


「あ。ねえ。言っておくけど…あなた、ララちゃんを手伝ったらダメよ」

 ララお姉さんがキララに言う。


「え? ダメ? 幼稚園児だからハンデとか?」


「だめ」ララお姉さんは拒否する。


☆☆☆


 こんなやりとりから始まった。


 クロの時代へと移動する。

 そしてこの時代の食べ物屋さんでラーメンを食べる。


 そして…出発。


 カザー星系。ポイントAA3。地上の古びた倉庫があるところ。


「ねえ。本当にここなの? きったない倉庫ね…」ミミちゃんが言う。


「ほんと…」ラミちゃんも道路におちている空き缶みたいなものを蹴って遠くへ飛ばす。


「行くよ…」キララは… ユキ君。ミミちゃん。ラミちゃん。ララちゃん。ララお姉さん。ミケア・ミレイちゃん。シマ君。みのるお兄さん。ヒメルに言う。シロとソラ。しんたろうは用事があって来られないとのことだったからこのメンバーだ。


☆☆☆


 半開きの扉から古い倉庫の中へと入る。


 みんな倉庫の中へ入ると、明かりが自動的に点灯した。


 キララ達。倉庫の奥まで到着する。

 奥にはスクリーンがあった。仮設で設置するタイプのものだ。


 例のネコがいた。


 ネコは床をタッチすると、スクリーンに映像がうつった。

 そしてボスとミミアの姿が現れた。


「良く来たな…こんなところで悪かったな…ここしか用意できなくてな…」

 ボスは豪華な椅子に座る。


 横にミミアが立っている。


 キララは一歩前へと出る「ところでこんなところへ呼び出して…どうしたのかな?」

 とだけ言う。


「ほう。心当たりがないのかな? 我々の計画をさんざん邪魔しているだろう…

その時代の地球の各地に6憶の自動ドアを設置する計画だった。

けれどもどうだ。600万の自動ドアしか設置できていない…しかも…

設置した自動ドアの累計は1憶だが…そのうちのほとんどが動作不良だった…

これはどういうことかわかるかな?」


 ボスは言う。

「さあ。準備不足でないの? 予算ぎりぎりで切り詰めて…悪い部品を使ったんじゃない?」

 とキララ。


「ふん。わしたちの部下はどうなったと思う? Bのミッションを頼んでいた3人組は2週間前から行方不明だ。お前たち知らんか?」

 ボスが言う。


「さあ。しらない」キララはそれだけ言う。


「しらんか。まあいい。あと…Cのミッションを頼んでいた人がいたが、ハッキングは完璧と言っていた。たしかにわしも調べたが、問題がないようだった。だが…地球のニュースを見たか?

どこにも…地球へ彗星がぶつかるという報道はやってないんだが…

何をしたのかね…」

 ボスは穏やかに言う。


「さあ知らない…Cのミッションの人。ミスっていたんじゃないの? 何かを…」

 キララは言う。


「そうか… お前たちは何も知らないんだな…それは本当だな? ウソだったらひどいぞ…」


「しらない」キララはそれだけ言う。


ボスはキララの答えを聞いてから「そういえば時間だな…」とだけ言い、続けてボスは机の上のデバイスに向かって言う。

「おい。時間だぞ。やれ…」


 それだけ言う。


「ねえ。何をしたの?」キララが言う。


ボスは「ふん。教えてやろう…もう手遅れだしな…」とだけ言い、何かを押して画面に映し出されている映像をもう1つ増やした。


 見慣れたもの。

 地球を宇宙から見た映像だった。


「ねえ。これ地球よね」ミミちゃんが言う。


「そうね」ヒメルが言う。


「そうだ。地球だ。今現在のな…そして…もうすぐで地球は壊滅する…」

 ボスは言う。


「か。壊滅ってなによ」

 ララお姉さんが言い…そして

「それってどういうことなの?」とミミちゃんも怒って言う。


「ふん。教えてやろう…地球へ彗星がせまっていると警告したのは意味があった…我々が地球の周りをめぐっている彗星の軌道をちょっと変更したのだよ…たった今…あと40分ぐらいで衝突するのだよ…

彗星の速度をブラックホールを使用した技術で引っ張てな。加速させているんだ。地球への衝突まで10分前の距離になったら通常の速度へ戻す。もう終わりだ…」


 それを聞いてみんな「なっ」と言い、言葉を失う。

「ねえ。キララ。これって…本当なの?」ユキはキララに聞く。


 キララは「ちょっと待ってて」と言い、自分のTMRデバイスを操作する。

 あれ? キララはTMRデバイスを操作しながら手間取っている。


「ふん。今頃気が付いたか…お前たちのTMRは妨害させてもらった…使えないはずだ…」

 ボスが言う。


「くっ」キララが険しい顔をする。


「あ。あたしのもダメ」ララお姉さんもTMRを操作するがあきらめる。


 ボスは言う「まあ。お前たちのTMRが使えないなら証拠をつかめないのは仕方がないが…

彗星は本当の話だ。しばらく見物とするか…そしてお前たちはどこにいると思う?」

 ボスはキララに聞く。


「何って。古い倉庫の中…」キララは後ろを見る。

 どう見ても倉庫だ。


「まあ。少し前は古い倉庫だった。今は違うな… そこはカザー星系の主惑星の衛星軌道上にいるぞ」

 ボスは言う。そしてもう1つの映像を横に表示させた。


 見覚えのある倉庫。それが宇宙空間へ浮かんでいる。

「あれって。この建物? ぼろぼろの倉庫?」

 ユキが言う。


 そして…ボスは言う「まあ。古い倉庫に見せかけたコンテナだよ…外観だけな…

わしとお前たちが話しているうちに、静かに発射させたのだよ…われわれの科学力をみくびったな…

もうお前たちはそこから出ることもできん」


「くっ」ララお姉さんが言う。

 ララお姉さんは自分のTMRを操作するが…使えないことをもう一度みる。


「しばらくご歓談だな。その倉庫の中には古い椅子を置いておいた。それと自動販売機。飲み物もタダで出るようにしておいた。ささやかな贈り物だよ…最後のな… いったん切る。そして…残り10分になったらまたつなぐ…」


 ぶっと映像はきれた。


「何よもう…」どんどんどん。ララお姉さんは足で床をどすんどすんふんづける。


「床がぬけたらどうするの」ラミちゃんが言う。


「まあまあ。ねえ。キララなんとかならない? これは予想していた?」

 ユキが聞く。


 キララは「いいや。彗星の話は全くノーマークだった。地球の付近にはその時期に近づいている彗星はなかったはずだから…きっと不可視にしてブラックホールの技術をつかって急速に遠くから大きい彗星を持ってきたんだね…」


「そう…」ラミちゃんはそれだけ言う。そしてため息。


「ララお姉さんなんとかならない? ララお姉さんのTMR。管理機能がついているんでしょ」

 ユキはララお姉さんに聞く。


 ララお姉さんはユキ君のそばへ行き、言う。

「えーとね。ダメ。認証用の通信が届かないのよね。本人かを確認してやっと使えるの。

普通なら一瞬で確認されるんだけど…10秒ぐらいだんまりしてから、ダメと表示されるの。

だからお手上げ…」ララお姉さんは両手とウサ耳を上にあげてお手上げの姿勢をする。


「ねえ。あたし達の世界へ行ったん移動してからだとどうかな?」ミケア・ミレイちゃんが言う。


 シマ君はポケットの中に手を入れる。

「あれ? ない。置いてきちゃった」シマ君はミケア・ミレイちゃんの世界へ移動するTMRをポケットに入れていたが、置いてきてしまったようだ。


「そそっかしいなぁ」ミケア・ミレイちゃんもポケットを探す。

 ん? ミケア・ミレイちゃんはポケットに手を入れて探したあと「あれ? あたしも置いてきちゃった? ないの…」


 どうやら…この場所から移動できるものを持っている人は誰もいない。


 少しの間。作戦会議をすることにした。

 どうするか。ボスのすきをついて、TMRを使えるようにして…

 それとも説得?


「ねえ。おトイレ」ララちゃんがユキの服の裾を引っ張る。


「おトイレ行ってくるの?」ユキは聞く。


「一緒に来て…」ララちゃんが言う。


「うん。しょうがないな…」ユキはララちゃんと一緒にトイレに行く。


 しばらくユキ君とララちゃんはトイレから戻って来なかった。


 それから10分ぐらいしてからやっと戻ってきた。


 あっという間に時間が過ぎた。


☆☆☆


 いきなりボスの映像が映し出された。

「ご機嫌いかがかな? さてと…君たちに言っておくことがある。

面白いものを見つけたんだよ…見るかね」

 ボスは何かのボタンを押した。


 ボスの映像の横に映し出される映像。

 そこにはしんたろうとシロ。そしてソラの姿。

「くそっ。またやっている。何度も修正してもまた、改変されている… ねえ。キララはなんて言ってたっけ?」

 としんたろうが言う。

「えーと。この機械をとりつけろって…」


「ああ。そっか。これか…これを付けるともうハッキングされないんだな…よし…」


 という映像が流れた。


 キララは「ちっ」それだけ言う。


「Cの任務を任せていた人にだな。隠しカメラを仕掛けてもらうようにわしから頼んでいたのだよ…

キララの名前が出てきたな…

お前たち。何も知らないと言ってたな…

ひどいぞと言ったな…どうなるかわかるな…

お前たちが立っている床。細工をしておいたのだよ…そこから一歩も動かないようにしろよ…

危ないからな…」

 ボスはデバイスを操作し、ボタンを押した。


 すると… がこっと。倉庫の床が外れ落ちて行った。

 じゅ。外れて落ちた床がすぐに融ける。

 みんな立っている床は50cm四方。それ以外の付近の床は外れて下へと落ちて行った。

 床がないところから下が見えて、あかあかと煮えたぎる何かが見える。


 みんな…ぎょっとする。

「なにこれ…」


「ちょっと…危ない」

 みんな青ざめた顔をする。


「くっくっく。床がないところは溶けた金属だ。熱さを感じないと思うが、床の上には特殊なバリアを設置していてな。触ったら通り抜けるが熱だけは遮断するようになっている。

触れればひとたまりもなく燃えるであろう。1人ぐらい落ちてみてはどうだ?

すぐに灰になるだろう…」


「くっ。これはひどいな。みんなバランスを崩さないで…」

 キララはみんなを見ながら言う。


「ボス…ひどいわね…みんな死ぬかもしれないのよ」

 ララお姉さんが言う。


「なあに。そこにそのまま立っていれば問題ないだろう。ちょっと疲れるかもしれないが…」

 ボスは時計を見る。そしてボスは続ける「それにだな。地球。見物しないかね。彗星が落ちていくのを…」

 カメラ映像がきりかわった。彗星のすぐ後ろからの映像。

 前には地球の姿。


 もうすぐ近く。

 そしてみるみる地球の姿が大きくなる。


 もう目いっぱい地球の姿が見える。

 地平線も見える。


 そして彗星のまわりに煙とか水蒸気がたちのぼり、だんだんあかあかと燃えて行く。


 一瞬ざざっと映像がとぎれた。

「これはまずい…」キララが言う。


「何。本物なの?」ユキが言う。


「うん。一瞬ざざっと途切れたよね。大気圏の中に入ってとぎれたの…もうすぐでつくと思うけど…」


 キララが言った後、キララの言うとおり映像が表示される。


 そしてどんどん地表が近づいてくる。


 カメラ映像だけ横からの映像にだんだんと切り替わっていく。


「あれはカメラだけ真後ろではなく、横から映すようにしているのだよ… 見たまえ… もうすぐで都市の上空だ」


 海外の都市。

 近くに海がある。


 だんだん地表の建物が見えてくる。


 そして…


 どどお。


 地面に衝突した。


 大きなクレーターが海岸近くの町の真ん中に衝突する。


 大きな粉塵がまきあがる。


 あたりは見えなくなった。


 衝撃波がまわりへと広がる。


 衝撃波は上空の雲を押しのける。


 そして…だんだん粉塵が広がり空を覆い始める。


「見たか。今現在の地球だよ…これは異世界の出来事でも…仮想現実の出来事でもない。

現実の出来事だよ…

もう終わりだな…

周りの都市の人達も衝撃波であっという間におだぶつだな。空へと広がったチリも世界中に広がり、太陽光が遮られる。氷河期が訪れる。地表の人達は死に絶えるだろう…」


 ボスがそう言ったあとだった。

「あっ」ユキが声をあげた。


 キララがユキ君のほうを見ると、なぜかユキ君がバランスをくずして足の先が床から足を踏み外し、倒れそうになっていた。


 きっと地球のことがショックでめまいにより、くらっと来たのだろうか。


 キララにはユキ君が倒れて行くのをスローモーションで動いているように見えた。


「ユキ君」

「ゆ…」

「ユキ君。あぶな…」


「あー」


 そのままバランスをくずして…ユキ君はキララのほうを見てから…

 落ちて行った。

 じゅ。という音が聞こえた。

 あっという間にユキ君の姿はなくなった。


 キララは一瞬わからなかった。


 ユキ君が立っていたところ。そこには誰も立っていない。


「な。なによこれ。ねえ。ねえ」

 ララお姉さんが大きな声を出す。


 それを見ていたボス。


 そして…

「終わったな。じゃあ床のほうを戻しておいてやるか。落ちたら危ないしな…」

 と言い。ボスはボタンを押す。


 倉庫の床は元に戻っていく。


 ただし…この場にはユキ君がいない。


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