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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
普段の日常と、ちょっぴりSF
71/138

艦隊とファーストコンタクト。それに怖い話…

「異星人とのコンタクトなんだけど…」キララは話しだした。


「それって、パラニウス星系の話?」ミミアがキララに聞いた。


「いや。ちがうよ。ナトラ星系の話。今から話すよ…」ときららはみんなを見た。その後、一人掛けの椅子に座ってから話し出した。


「ちょっと昔の話なんだけどね。200の艦隊と20000人をひきつれて、ある星系にファーストコンタクトをかけた人たちがいたんだ。


目的はその惑星の資源の一方的な採掘と採掘に必要な労働力。抵抗したら惑星の生態系を変えてしまう威力がある兵器を使うこともあったみたいだよ。でね。艦隊を30だけ惑星に着陸させて、乗組員を惑星に上陸させて労働力を確保しようとしたんだ。


ある艦隊の隊長が、その惑星の原住民に言われたんだ。

『お前さん方。この惑星は呪われている。死人が動き出すのを見ることになるだろう。あの月が半分以下になる前に出ていくのじゃ…』と…


隊長は『何をばかなことを言っているんだ。あほか…さあ、行くんだ…』

と原住民に言い、40人ほどその村から連れ去って採掘現場まで連れていった。

その後、労働力として、女子供も含めて働かせたんだよ…」


「なにそれ、ひどい…」ミミちゃんは言う。

「うん。ほんと。あたしだったら連れていかれる前に足を思いっきり踏んでるわね」とラミちゃん。


キララは「だよね… でね。とある夜。月が半分以下になったころ。体の弱い子供が高熱を出して倒れたんだ。

それがきっかけでね、その村の人たちは夜眠りから覚めず。次の日の朝になっても起きて来なかった。


息もしていなかったから、全員死亡したという報告を、その地区を担当していた上官が上の人に報告したんだ。


そのあと地区を移動したんだけど、みんな一晩働かせたあと、次の日にはみんな起きてこなくて息もしていない状態になったんだ。


どの地域の担当者からも同じ報告が上がるようになった。その状況を艦隊の総司令官が聞いて。総司令官が、現状を確認するために惑星へと降りた。


原住民は倒れて動かなかった。総司令官は足で蹴ってうつ伏せに倒れていた子供の表情をみたんだ…

『ほら見ろ。ただの疫病か伝染性のある流行病なんじゃないか? お前たちの体に疫病の病原菌がついていたのだろう…』

後ろを振り返り総司令官は部下に言った。


『そうでありますか? 念の為検査はしているのですが、我々が知っている病原菌はみつかりませんでした』


『ふむ。では我々が知らない未知の病原菌の可能性がある』


『なるほど…』と部下はちょっと考え込んでから、総司令官を見た。その後部下の顔がこわばった。

部下は言った『あ。あの司令官殿…』部下は司令官の後ろを見て言った


『なんだその顔は… 後ろだと?』総司令官は後ろを見た。


さっき倒れていた子供は立ち上がっていて、ゾンビのようにこっちのほうへ歩いてきていた…

『ひっ』部下が言った。総司令官は『生きていたのか…』と言い総司令官は一歩下がる。

総司令官に触ろうとしていた子供。別の部下は『汚い手で総司令官殿に触ろうとしたな…』と言いながら部下は子供をつきとばした。


どさっ。音がした。子供は倒れて、動かなくなった。


『ふん。行くぞ…』総司令官は部下をつれてその場をあとにした。


☆☆☆


宇宙船の中に戻ってから一晩が過ぎた。


子供を突き飛ばした部下は高熱を出し。次の日には朝起きてこず。息もしていない状態だった。


医者は『何かの疫病か毒にやられたんでしょうか?』と言った。艦隊の科学者もその場に呼び出されて調査をさせられた。


 子供を突き飛ばした部下は、目が白目になって動かなくなり、息もしていない状態になった。


 それからだよ。周りにいた人達なんだけどね。同じように高熱を出して、次の日には白目をむいてしまい。また息もしていない状態になったんだ。

 その日の夜。倒れて動かなくなったはずの原住民たちが立ち上がって歩いてくるという情報が入ったんだよ…」きららは一人掛けのテーブルに置いてあったマグカップを手に取って喉を潤した。


ミミアは何かを思い出したのかぶるるっと体を震わせた「それでどうなったんだ…」ミミアは言いながら、さりげなくユキ君の近くまで歩いていって、隣に腰掛ける。

ミミアは両腕をユキ君の両脇にまわして、ひょいっと持ち上げて、ミミア自身の膝の上にのせた。そのままミミアはユキをぎゅっと後ろから抱きしめた。


「あー何しているの。ユキ君は私のものなんだからね…」キララは一人掛けの椅子から立ち上がり、ユキのところまで歩いていって、ユキを挟んでミミアの反対側座り、狐のような尻尾をユキの脚の上にのせる。

「まあ。いいじゃないか… ユキ君も怖くなってきたんだろうし… お姉さんがぎゅっとしてあげるから…」とミミアはさらにぎゅっとユキを抱きしめる。


「いいよ。膝の上に乗せなくても。僕は子供じゃないし…」ユキはキララの顔をみて、キララの狐耳をやさしく触った。


「ねえ。ミケアちゃん。こっち」シマ君は自分の太ももをぽんぽんと叩いた。

ミケアちゃんは「子供じゃないんだからね…」と言いながら、立ち上がりシマ君の膝の上に座った。シマ君もミケアちゃんを後ろから抱きしめた。

「やっぱりふるえているね…」シマ君はミケアちゃんに言った。

「シマ君もね…」ミケアちゃんは、シマ君に抱きしめられながら言った。


「ねえ。ミミちゃん。こっちおいで…」ララお姉さんは膝の上をぽんぽんと叩いて、ミミちゃんを呼ぶ。

「子供じゃないんだからね。でもちょっと寒くなってきた。しょうがないわね…」ミミちゃんはララお姉さんの膝の上に座る。そしてミミちゃんをぎゅっとするララお姉さん。


 幼稚園児のララちゃんはすでにラミちゃんの膝の上。ラミちゃんはララちゃんを抱っこしている。

 膝の上に座らせて抱っこ状態だ。


「ねえ。続きはどうなったの?」ミミちゃんがキララに聞いた。


「うん。でね乗組員の全員が精密検査を受けたんだけど病原菌は見つからなかった。でも未知の成分が大多数の乗組員から見つかったんだ」とキララ。


「へー。怖いわね」とミアが言う。

「うん。確かにな。私も似た話を聞いたことがあるぞ。でどうなったんだ…」ミミアがキララに聞く。


 さらに話し出すキララ「そのうちに、遺体安置所に動かなくなった人達を移動したんだけど、だれもいない遺体安置所から音がしたり、うめき声が聞こえるようになった。そして、無事な人も具合が悪くなったり、めまいがしたりして倒れてしまう人も出てきた」キララは自分のしっぽを触りながらみんなを見た。


「やっぱり怖いわね…」ミミちゃんが言う。後ろのララお姉さんも「うん。ほんと…」ミミちゃんのネコミミ娘の体をさらにぎゅっとする。そして気を紛らわすために、ララお姉さんはミミちゃんのネコミミをなで始めた。


「怖い?」シマ君はミケアちゃんに聞いた。


「うん。でも大丈夫。シマ君が後ろから優しく抱きしめてくれるから…」とカップルは体を密着させて気をおちつかせる。

 

 キララはいったん、ユキの胸に自分の頭をよりかからせる。ちょっとだけすりすりと狐ミミをユキの体にこすりつけてから、頭を離す。


 ラミちゃんは、幼稚園児のララちゃんの頭の上にラミちゃんのあごを乗せる。そしてほっぺたをうさ耳になすりつける。


 みんな密着している。きららはみんなのほうを見てから続きを話しだした。

「さらにその後…もっと怖いことが起こったんだよ…」


 ユキはぶるぶると体をふるわせた。

「お姉さんがついているわよ…」とミミアが言った。


「ねえ。ミミアお姉さん。お姉さんも怖い? 体が震えているよ…」ユキはミミアと密着しているのでミミアの体がふるえているのがわかる。


「まあ。あることを思い出したんだ… で。どうなったんだ…」ミミアはキララのほうを見る。


「遺体安置所に運ばれた人達が、あーとかうーとか言葉にならない声を出しながら、安置所から廊下にでてきて、身近な人にもたれかかるように触ってくるんだよ…」


「げっ。それって…ゾンビ?」ラミちゃんはぶるっと体をふるわせた。


「うん。そんな感じ。でね。総司令官は艦長室へ逃げ込んで船と艦隊をこの惑星から引き上げるように指令を出したんだよ。でもね。衛星軌道上で艦隊のエンジンが突如調子が悪くなって、立ち往生したの… 総司令官は他の艦隊に連絡をとった… そのとき宇宙空間が見える窓の外を見たんだ…

するとね……」とキララが言ったときだった。


「ぎゃー」ララお姉さんが悲鳴をあげた。

 みんなその声にびくっとなった。

 至近距離で悲鳴を聞いたミミちゃんは、猫しっぽをピンと立てて尻尾の毛が逆立っている。

 ミケアちゃんとシマ君はきつねのような尻尾の毛が逆立っている。


「ああびっくりした… まだだからララお姉さん… 怖いのはきっと次よ…」ミミちゃんはララお姉さんにさらに密着する。


 幼稚園児のララちゃんは、いったん立ち上がってからくるりと180度向きを変えて、ラミちゃんの膝の上に座った。つまり向かい合わせだ。ララちゃんはラミちゃんの胸の中に顔を埋めた。


 ミアは1人で椅子に座っていたが… 怖くなったのかララお姉さんの隣に座る。そしてララお姉さんの頭をなでた。

「あたしのほうが年下なのに… ほら… ララお姉さん。大丈夫?」ミアはララお姉さんに聞いた。


「うん。ちょっとびっくりしただけ… あたしの背中を誰かが触った気がしたから…」とララお姉さん。


キララは続きを話し出した…「うん。窓の外に、惑星上で蹴っ飛ばした子供の顔が見えたんだよ…

そして… 総司令官はもう一度目をこらしてみてみたんだ。見間違いじゃないのかと…


でも違ったんだ。よく見ると子供の他に大人の人も多数。宇宙空間に漂って、ゾンビになったような人がうめきながらこっちを見ていたんだよ… 宇宙空間だから生物はいないはずなんだけどね…」とキララが言った後…


「あぎゃー」またララお姉さんが悲鳴をあげた。


またびくっとなるミミちゃん。ラミちゃん。ミケアちゃん。シマ君。ユキ君。キララもだ。


「なんなの… 余計怖いじゃない… どうしたの?」ミミちゃんは真上のララお姉さんの顔を見る。


ララお姉さんは「窓の外に人の顔が見えた気がしたから…… ん?  でも今はいないみたい…」


「なによ… さらに怖くなっちゃったちゃない…」ラミちゃんは幼稚園児のララちゃんをさらにぎゅっとした。


 ユキはキララの手を握った。

 キララは続きを話し出した…「総司令官は… 悲鳴を出さないようにのみこんでから… やっとのことで無線機のところまで行って… 艦隊に命令をだしたんだ… この星系から離脱すると…

でもほかの艦隊も原因不明のトラブルで艦隊を動かせなかった… でもね。やっと30分ぐらいしてから艦隊が動き出して… 空間移動は使えなかったんだけど… 惑星の遠くまで逃げることができたんだ… そして窓を見たら… さっき窓の外に見えていた子供やゾンビのような人達は見えなくなったんだ… でね。船内にいた白目をむいてうめき声を出しながら歩いていた人も、惑星から離れたら倒れて動かなくなったんだ…」


「うん。うん。それで…」ミミアがキララに言った。


「その星系から離脱して2時間がたったころ… 白目をむいて動かなかった人が立ち上がったんだよ…」


「ひぃぃ…」ララお姉さんが言う。


キララは「安心して。ララお姉さん。白目をむいていた人は実は生きていたんだよ。惑星の何らかの力で、白目をむいて呼吸もしていない状態になっていただけ… 頭がぼーとしている。めまいがする… と言いながら顔色もだんだん良くなってきた人達… 総司令官も再び窓のそとを見ても何も見えない。ただ、宇宙空間が見えるだけ…」


ミミアは「そうか… きっとあれだな… 我々でも原因は分かっていないんだが… 惑星付近の地磁気か、電磁波か、脳に影響がある外来からの刺激で、幻覚を見たり、白目をむいて息がしていないようになる影響が出たんだろう… 息をしていないように見えて、実は非常に浅く呼吸をしていたんだろう… おお。怖い。私も若いころ似た経験をしたものだな… それを思い出した…」


「うん。たぶん。そういうものだったんだよ… でね… その話が広まってからは異星人とのコンタクトも念入りに計画をたてて実施するようになったんだ。もちろん。その艦隊や総司令官は総司令官独自の判断で、惑星の資源を奪ったり、強制労働をさせたりしていたのがばれて、宇宙刑務所に入って、二度と出てこられない刑を受けた…


その後。その惑星にも調査が入ってね。さっき見たファーストコンタクトをしてきた種族が、今話した星系のナトラ星系とも国交を結ぶことにしたんだ。不正な異星人との来訪を避けるためにね…」


「なーんだ。そうだったのか… でも総司令官が宇宙船から窓の外に見えたものは全部幻覚だったの?」シマ君がキララに聞いた。


「うん。それはね… 未来での図書館の新聞にあった記事によるとね… 宇宙クラゲ。と言われている発光物質が宇宙空間に固まって漂っていたのを見間違ったものだよ。たまにあるよ… 怖い話をした後にそれを見ると幽霊に見えるってやつ…」キララはシマ君に言った。


「僕はまだ宇宙クラゲを見たことがないよ… 前のキララとの旅行のときとか…」ユキはキララのしっぽを触りながら言った。


「うん。そうだね… でもね… 本物の宇宙クラゲもいるんだよ… 宇宙空間に巨大な水槽を設置して… 宇宙に浮かぶ水族館のようなものだね… ってあ。あー。いいかも。そのアイデアいただき…

」と最後はキララが独り言を言った。


「ねえ。怖い話は終わった?」幼稚園児のララちゃんは涙目でキララに聞いた。


「うん。幻覚だって話だよ… 本物のゾンビや幽霊じゃなかったんだよ…」キララは立ち上がって、幼稚園児のララちゃんの近くまで歩いて行って、ララちゃんの頭をなでた。


「あたしの頭もなでて…」大人のララお姉さんも涙目でキララの方を見ている。


 しょうがないと言いながらキララは大人のララお姉さんのところまで歩いて行ってララお姉さんの頭をなでた。幼稚園児のララちゃんとララお姉さんは同じ表情でキララの顔を見た。


 キララは大人になっても変わらないんだと思った。


「さて… こんどはこの世界のファーストコンタクトのニュース番組でも見る? いろいろな情報がとびかっているよ…」とキララは話題を代えた。


 安心したのか、幼稚園児のララちゃんはこっくりこっくりと、ラミちゃんの膝の上でいねむりをこき始めた。


 ミケアちゃんも安心したのかシマ君にもたれかかって目がうつろになっている。


「今日はお開きかな… 明日にしよう…」キララはみんなに声をかけて、みんなが使うベッドへ案内をした。



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