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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
普段の日常と、ちょっぴりSF
69/138

ミミとネコヤナギ市でのユキ君

 あたしミミはベッドの上で目を覚ました。

 ここはホテル。横を見ると大きな窓がみえる。窓の外はライトアップされた海底が見える。


 ベッドから出て窓のそばへと歩みよる。


 昨日の夜。キラと一緒に食事に出かけてとてもおいしい魚介系の料理を食べた。


 そのあと、部屋に戻って、ライトアップされた海底のウニとかヒトデをしばらく見た後、ベッドに入り寝てしまったのだった。


 いい朝。海底なので、お日様などは見えない。時計の時刻から朝だとわかる。


 それに時間も経過していて、ウニの位置はまた動いている。


 あたしは身支度をしてから、キラが呼びに来るまで海底を見ていることにした。


 こんこん。ノックする音がした。


 海底を動くウニやヒトデを見ているうちにいつの間にかまた寝ていたようだった。


「はーい」ミミは返答をしてから立ち上がり、部屋のドアを開ける。


「準備できた?。結構寝心地が良くてね。だいぶお寝坊してしまったよ…」キラは言う。


「待ってて。すぐに出るから…」ミミはすぐに出る準備をしていたので、忘れ物がないかを確認して部屋を出る。


「ミミちゃんは良く眠れた?」キラは聞いてくる。


「うん。海底のウニとかヒトデを見てから寝たの…」


「そっか。ライトアップされている海底もきれいだし… いいホテルだよね…」とキラはミミに言った。キラにはおいしそうなウニとか考えていたことは黙っておこうとミミは考えた。


「今日はどうするの? ユキ君の情報は見つかった?」


「どうだろ。昼までに結構情報が集まるから、それまでの間。パープルコーラル市でショッピングはどう?。前に言ったサンゴが有名な町だよ…」キラが言う。


「うん。行ってみたい…」あたしはキラのお誘いを受けることにした。


☆☆☆


 遠いからTMRで移動するよとキラは言い、自動ドアをあけた。

 パープルサンゴの有名な町。お店の看板に『お土産』とか、『パープルサンゴを加工します』とか書いてあるお店がならんでいる。


「まずは朝食にしようか。ちょっと行ったところに、海底が見えるいいお店があるんだよ…」キラは羽でお店の方向を指さす。


「ああ。あそこね…」ミミはキラの羽の先をみた。シロを基調とするお店だ。ところどころ紫色の装飾がある。外観からパスタのお店のようだった。


 お店の中に入る。


「いらっしゃい。お好きな席へどうぞ…」店員の人が言う。


「結構混んでいたが、ちょうど海底が見える席があいていた」


 キラとミミは席に座る。


 窓からライトアップされた海底が見える。ホテルから見えていた海底とは違い、ムラサキサンゴがよくみえる。


「さて。メニューはテーブルに映し出されるから、自分で操作してね…」とキラは言って自分で動作させてみせる。


 多国語のメニューがテーブルに映し出される。自分がわかる言語が表示される。ミミはテーブルをタッチしてメニューをいろいろ見てみる。


 少な目の量で、魚介のと… ミミはページを変更していろいろ見てみた。すると、小ぶりの貝をつかったパスタが出てきた。それとパンが付け合わせになっている。これにしようかな。


 ミミは「これにしたいんだけど、注文はどうするの?」ミミは品物をキラに見せた。


「タッチしてマークをつけて… 僕がまとめて注文するから…」キラも品物を決めたようだ。


 店員の人を呼ぶこともなくテーブルに映し出された画面からキラとミミの分の注文をお店へ転送する。


 しばらくすると、店員の人が2人分のパスタを運んできた。


 魚介ベースのパスタとパン。スープパスタとパンの2つだ。


 自分が注文したしなものが目の前に置かれる。


「いただこう」キラが言う。


 いただきます。とミミとキラが言う。


 あたしは魚介のパスタのにおいをかいでみた。


「うーんいいにおい。おいしそう…」あたしは魚介のパスタをフォークですくって一口食べてみる。


 おいしい。魚介のだしがきいていてすごくおいしい。地球にはない、なにかの貝。


キラは「ああ。これもおいしい。魚介のスープをベースにしたスープパスタも当たりだよ… スープとパスタたべてみるかい?」キラは皿をちょっとミミの前にだしてきた。


 テーブルの食器をいれる小さなバスケットにスプーンもあったのでそれを取って、キラのスープをすくって飲んでみる。


「ああ。いいわね。これ。すごくおいしい…」ミミはスープをすみずみまで味わった。いい味。


 じゃあこっちのもと。ミミはキラに自分の皿を差し出す。


「ありがと…」キラはちょっとだけミミの皿からパスタをとり、食べる。


 いいねえ。とキラは言った。


 異世界。海底都市で食べる朝食。魚介がおいしい。この世界いいわね。とミミは思った。魚介がおいしい海底の世界。キラとか異世界を移動できる人に連れて行ってもらわないと来ることができない世界。


 ミミとキラは朝食を楽しむ。


☆☆☆


 食事をすませて、お店を出る。お店を出た後にちょうど、お土産屋さんとかアクセサリーの加工をするお店が開店していた。


 キラとミミはお店を見て、イヤリングを加工してくれるお店を見つけてあたしはいろいろ見ていた。


「プレゼントするよ…」キラはあたしが気に入って見ていた紫サンゴのイヤリングをプレゼントしてくれるらしい。


「ありがと。あたしからも帰ったらお礼しなくちゃね…」とミミはキラに感謝してイヤリングをもらうことにした。


 お昼までの時間。この町にある博物館に行くことにした。


「この世界の海洋生物を展示しているんだ…」キラは建物の前まで歩いて行って建物を羽で指さす。


「へー」あたしミミはキラの後からつづいて建物に入る。


 いろいろな展示がある。水族館ではなく博物館。実物は海底にいるので、標本とか実際には見られないものを展示している。


 そのなかで「あ。これ。さっきミミちゃんが朝食べた魚介の貝だよ…」とキラが言う。


 なんとなくアサリとシジミの中間ぐらいの大きさの貝の写真と標本の展示を指さすキラ。


「へーこれがそうなの? 地球にはいないのよね…」あたしはキラに聞いた。


「うん。残念ながらいないよ。美味しかった?」キラが聞いてきた。


「うん」ミミはキラに食いしん坊なんじゃないかと思われるのが気になった。


「あ。こっちは僕が食べたスープパスタに入っていた貝が展示されているよ。へーこんなのなんだ…」キラはかがみこんでじっと見る。


 その姿を見てミミは思った。キラとの距離を近く感じた。


☆☆☆


 博物館の内容は結構盛りだくさんで、いろいろな展示を見ていたらお昼になった。


 キラのTMRで元々の町へと移動して、広告を出している会社へ移動して、ミミはまた最初にキラを待っていた待合室で待つことになった。


 5分後。ばたんとドアをあけてキラが入ってきた。


「ユキ君が見つかったよ… さっそく移動しよう…」キラはなんか落ち着かない雰囲気だ。


 壁にTMRで自動ドアの映像を表示させてドアを開ける。

 自動ドアで開けた空間の先はネコヤナギ市。


 キラは住宅街へと移動させた。


「この近くにいるの?」あたしミミはキラに聞いてみた。


「うん。たぶんね…」キラはあたりを見回す。


 2人であたりを歩き回ることにした。


 しばらく道を歩いていると、お店から出てきた一人の人。


「あ。ちょっと」キラが言ってから走り出した。


 あたしもキラの後を追いかける。


 走り寄ってくるキラを見て、お店から出てきた人が立ち止まって言う「あ。あれ? どこかで見たことがあるような…」と首をかしげて思い出そうとする子。


 ユキ君だ。どうみても16歳になったユキ君に間違いない。あたしミミは思った。


「あのさ。行方不明になった知人を探しているんだけど…君の名前は?」キラがユキ君に似た人に問いかける。


「僕はユキという名前なんだけど… あれ? 君。僕の知人に似ているんだよね… ずっと前。記憶の遠いどこかで… えーと。うーんと…」と考え出した。


「僕の名前はキラというんだけど… 何か覚えていることある?」キラはユキ君にさらに歩み寄る。

 そして5秒ぐらいした後…


「あー。思い出した。キラ… そう。君はキラだね。それにしても結構年上だね…未来のキラ?」

 ユキ君はキラの顔とか背中の羽をみて言う。


「じゃあ質問するよ… えーとね…」キラが言う。誕生日プレゼントにもらったものとか、近所に住んでいたおじいさんのことを聞いているみたい。近所に住んでいるおじいさん。あたしの世界では引っ越して別の人になっているんだけど、キラの世界ではまだ住んでいるみたい。


 誕生日プレゼントにあげた品物を2つ確認しているキラ。


 それを見てキラの羽が上下するのを見たミミ。


 ちょっとの間2人だけで話をしている。


☆☆☆


「ちょっと待ってて。ユキ君の元の世界へ送っていくから… その前にこの世界の人とあいさつをしてから…」

 とキラが言った。雰囲気からキラの世界のユキ君ではなかったみたい。


 この海底都市で居候になっているユキ君。いっしょに住んでいた家のおばさんに挨拶を言い、元住んでいたところがわかってお別れになるということをおばさんに言う。


 おばさんとユキ君は2人で抱き合って、お礼をおばさんに言うユキ君。


 部屋にあった小さい荷物を持ってくると言って、ユキ君が家の中に入って言った。


「ねえ。あのユキ君はキラの世界のユキ君ではなかったの?」あたしミミはキラに聞いた。


キラは「… うん。そうなんだけど… 実はね。僕が誕生日プレゼントにあげたキーホルダー。色違いだったんだよ。そのほかは想定していた回答と一緒だった。だからかなり僕の世界のユキ君と近いことがわかったんだよ… これで確信したよ… この世界の近隣にユキ君がいると… あのユキ君を元の世界に送り届けてから、状況を聞いて。その情報からさらに異世界へと移動して探すことになりそうだよ… この世界とはお別れかな…」キラが言う。


「そうなんだ…」あたしミミはキラのその言葉をきいてさみしくなるなぁと思った。


☆☆☆


 この世界のユキ君と一緒にクロユリへと戻り、広告を出していた会社へと向かう。

 成果があったので報酬を払い、あたしとキラ。そしてユキ君はユキ君がいた元の世界へと移動することにした。


 海底都市から一気に普通の地球のあたしが住んでいる町に似た場所へと移動する。


 町中の喫茶店。いったん喫茶店に入り情報を聞き出すことにした。


 喫茶店の椅子に座る。


 あたしの世界にもこの喫茶店に似たお店があることをミミは思い出した。


 キラはアイスコーヒー2つとユキ君のためにオレンジアイスティーを頼む。


 しばらくして注文の品物が運ばれてきた後にキラは話し出した。

「ねえ。行方不明になったときのことを覚えている?」


「うん。コンサートの帰り、自動ドアを通り抜けたら別の場所ではなくて灰色の空間だったんだ…

その後、別の光が見えてドアをとおり抜けたんだけど、別の異世界だったよ。そこが海底都市だったんだ… その後2年ぐらいあのおばさんのところで暮らしていたんだ…」ユキ君は話し出した。


「そうなんだ。ところで君が海底都市へ移動する前に何か見なかったかい? 別の自動ドアとか… 空間の歪みとか… そう… 例えば逆さまに見えるドアとか… 緑色の空が見える世界とか…」キラがユキ君に聞く。


「あっ…」ユキ君が言った。


「何か思い出した?」キラは身を乗り出した。


「うん。たしか。ドアの外に夜の世界があって、空にリングが2つある衛星が見える世界があった。見たことがなかったから通り抜けなかったけど…」ユキ君が言った。


「あー。あー。あれかな…」キラが考え出した。


 あたしとユキ君は考え出したキラを見て、同時にアイスティーとオレンジアイスティーへ手を伸ばして飲む。


 グラスを置いた後、キラが言った。


「うん。わかった。ありがと。僕の世界のユキ君もきっとそうだと思う。僕が探しているユキ君は君が持っているキーホルダーと色違いなんだ。だから… あの世界とあの世界の間の世界へ移動して探せば…」と途中からキラの独り言になった。


☆☆☆


 ユキ君は自分の元々住んでいる家までキラのTMRで移動する。


 ユキ君は自分の家の玄関まで歩いて行く。


 途中。反対側の道から見たことがない、オオカミのハーフの子が歩いてきた。


 その子は手にスーパーの買い物袋を持っていた。


 ばさっ。買い物袋を落とす子。


「ねえ。あ。あ。あ…」言葉にならない感じで歩み寄ってくる子。


「キララ…」ユキ君はその子に向かって言う。


ミミはひょっとしてキララ? と思った。この世界ではキララはオオカミのハーフの子?


 オオカミのハーフの子はユキ君の目の前まで歩いて行って、じっと見た。そしてひざががくっとなって、ひざまずいた。


「あはは。ユキ君だ。ユキ君だ…」腰がぬけてしまったようだ。

 この世界のユキ君を見てキララが腰を抜かす。

 16歳になったユキ君は優しくキララに手をかして立ち上がらせる。


 あたしミミは2人の様子をちょっと離れたところから見ていた。


「ありがと… 本当にありがと…」ユキ君はキラの方に歩いてきてお礼を言う。

 男2人で、海外ドラマのハグのように抱き合う2人。男の友情。

 感謝しきれない感じのユキ君。


「良かったね。僕は自分の世界のユキ君を探しに戻るよ…その前にミミちゃんを元の世界に帰さないとね…」とキラが言った。


 ユキ君とキララ。2人で手をふっている。


 あたしとキラは自動ドアをくぐってこの世界をさる前にもう一度ユキ君とキラを見た。2人手をふっている。


 あたしはキラのTMRの自動ドアをくぐった。


☆☆☆


 ここはあたしの世界。

 自分の家の中に入る。


「あ。ミミちゃんとキラもどこかに行ってたんだ…」シマ君とミケア・ミレイちゃんはあたしの家の居間にいて、荷物を隣に置いたままの状態だった。


「うん。キラの手伝いで、異世界へ行っていたの。海底都市だったよ…」あたしミミは言う。


「そうなんだ」2人。シマ君とミケア・ミレイちゃんはさらに仲良しになっている感じだ。


「ところで急なんだけど… 僕の世界のユキ君がいる有力な情報が見つかってね。この世界から離れることにしたんだ… それでね。シマ君とミケア・ミレイちゃんにはこれ」と言い、キラは2人に何かのデバイスを手渡す。


 そしてキラはあたしミミにもデバイスをくれた。


「これは?」シマ君はキラに問う。


「えーとね。この世界とミケア・ミレイちゃんの世界を自由に行き来きすることができるデバイスだよ。2人とも仲良しになったから、移動できないと困るでしょ… そしてミミちゃん。これは困ったときにでも僕に連絡ができるデバイス。すぐに来る事ができるかわからないけど渡しておくよ…

ひまなときに、また海底都市に行きたくなったらこれで呼び出して…」


 キラは本当にいい子だ。


「ありがと…キラさんの世界のユキ君見つかるといいね…」あたしミミはキラに言った。


「うん。かなりの高確率で見つかると思うよ… ミミちゃんのおかげかな… 見つかったらこの世界にも立ち寄らせてもらうよ…」キラはミミにハグをした。


 そしてシマ君。ミケア・ミレイちゃんにもハグをする。


「さみしくなるわね…」あたしはキラに言う。


「うん。あっと忘れてた。これ… 報酬…」

 キラから宝石の原石をもらう。


「ありがと。あっそうだ。ちょっと待ってて…」あたしミミは自分の部屋へと行く。


 手にはユキ君から以前もらった『身代わり用デバイス』と近くの神社で買った『幸運のお守り』をキラに手渡した。


「これ。お礼。いろいろなところに連れて行ってもらったし、後。身の安全のために…」とミミは2つの品物をキラに手渡した。


「ありがと」キラはミミの頭をなでた。


「じゃ。行くね…」キラは異世界へと通じる自動ドアをTMRを使ってあけた。そして自動ドアを通り抜けて行ってしまった。


☆☆☆


「なんか急に行っちゃったね…」シマ君はミケア・ミレイちゃんに言う。


「なんかあんたたち。さらに仲良くなったみたい。観覧車の中でチューでもしたの?」あたしミミはシマ君とミケア・ミレイちゃんに聞いてみた。


「へっ?」

「えっ?」

 2人同時に言う。

 あたしミミは直観した。したなと…

 にやにやしながらミミは2人を見る。


「楽しかったよね…」シマ君がミケアちゃんに言う。

「うん。楽しかった」ミケア・ミレイちゃん。


 あたしも恋人ほしいなぁと思ったミミであった。



























































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