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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
キララとの二人きりの宇宙旅行
39/138

太陽系から出て、赤色巨星や白色矮星、中性子星とブラックホールの見物

 土星と土星の環。土星の星明り。薄暗い部屋の中。

 僕たち2人はハンモックで寝ている。


 夜なのか、昼なのかは太陽が昇ってこないのでわからない。けれど、宇宙船の中の明かりはまだ暗いので、まだ夜だ。もうちょっとで朝がくる。


☆☆☆


 僕はあたりが明るくなってきたから目を覚ました。

 隣にいるはずのキララはいない。あたりを見回すと、窓のそばに立って、マグカップを片手に土星の輪である、漂っている氷たちを見ている。


「おはよう…」キララは僕のほうを見て微笑んだ。


「キララ。早いね…時計を見るとまだ6時すぎ…」


「うん。宇宙船の中が明るくなってきたから、目が覚めちゃった。ちょっとだけ、ユキ君の寝顔を見てから起きたんだ…」


「えー。僕の寝顔を見ていたの? 変じゃなかった? よだれとか?」


「大丈夫。可愛いかったよ…」

 キララの狐尻尾がふりふりと嬉しそうに動く。


「えー。じゃあ今度は僕が先に起きて、キララの寝顔を見るかな…」


「どうかな… 寝るのはきっと私のほうが早いけど、起きるのは私のほうが早そう…

だから。ユキ君の朝の寝顔を見るのはいつも私かな…」

 キララの尻尾が上のほうを向く。


「そうか。じゃあ寝るときの寝顔は、僕が見るからね…」

 僕が言葉を言うとキララの狐尻尾がふりふりと動く。

「いいよ…」キララは嬉しそう。尻尾を見るとわかる。


 朝。今日も一日が始まる。

 宇宙船の照明は赤みがかった色。だんだんと白色に色が変わっていく。これも朝焼けを表現しているんだろうか。


☆☆☆


 朝食をとり、さっそく宇宙船を操縦して、次の目的地である天王星へと向ける。


 星が線の形となり、しばらく進む。そして星が点の形になると正面に天王星らしい青い星が見えてきた。


 青い星。大気に包まれているので、惑星の表面は見えない。


「あれが天王星だよ。天王星の自転軸は傾いていて、黄道面はほぼ横倒しになっている。輪もあるからら、もうちょと近づくと自転軸が傾いているのがわかると思うよ…」

 キララが解説する。

 青いガス惑星。惑星はだいぶ大きく見えてきたが輪は見えない。輪は非常に暗いため見えない。


「そういえば、このボタンは何かな…」僕は窓の横に付けられているボタンを指さしてキララに聞く。


「ああ。それ。ちょうどいいかな。ボタンを押してみて…」


 僕はボタンを押す。すると、窓の外から見える惑星の見え方が変わった。


 くっきりとして見やすくなる。それに天王星の輪もはっきり見え、遠くに見える星の数が多くなった。


「えー。なにこれ。良く見えるようになったよ…」

 まるで写真みたい。露出時間を長くしたみたいに鮮やかに見える。そして暗い星も見えるようになっている。


「この窓は多重露出機能付きの窓だよ。暗い星や星系の色鮮やかな景色を見るために開発されたもの。暗い天王星の輪もくっきり見えるよ…

ほら見て、輪がほぼ垂直になっているよ…」


「うん」


 僕たちの宇宙船は太陽系の赤道面に合わせて水平をとって航行しているので、天王星の赤道面が他の惑星と違っているのが良くわかる。

 僕は青い星を見る。青い色の理由は、惑星上層大気に含まれるメタンによって赤色光が吸収されるためだ。

 大気の成分は水素が約83%、ヘリウムが15%、メタンが2%ほど。内部は水やメタン、アンモニアが含まれる氷からなるマントルで構成されている。酸素や炭素、それと窒素が多く含まている。


「天王星は地球から25億km~31億kmのかなたにあるよ。公転周期は84年。人の一生ぐらいかな…

天王星で生まれた人は1年ちょっとで寿命を迎えるのかも…」


「天王星人がいたら、おじいさんになっても年齢を聞いたら1歳と答えるのかな…」


「ふふっ。たしかにそうだね…」言いながらキララはしっぽを左右にふりふりする。


「ところで、他の星系の人の年齢ってどう数えているの? 惑星ごとに公転周期が違うでしょう?」


「まあ。公転周期の1年を1歳と数えるところが多いかな。自分たちの惑星の公転周期の日数と、宇宙での知的生命体の標準の公転周期の日数を持っているところが多いかな。地球もきっとそうなるよ。

たとえば公転周期が331日の惑星もあれば、465日の惑星もあるし、恒星が連星になっているところは、626日のところもあるし。だいたいはきりのいい数字の400日で1歳としているよ。自転の時間は大体22時間から27時間ぐらい。地球と同じく1日を24時間としているところが多いかな。1秒とか1分とか1時間とかの定義はそれぞれの惑星で異なるけどね。

地球人が宇宙へ出て行ってから1日を24等分するのが流行ったんだよ。あと1秒という時間は人の心臓拍動の間隔に近いんだけど、どこの惑星の人も心臓拍動に近い周期が1秒という単位だよ…」


「ふーん。そうなんだ。じゃあどこも1秒って同じ? それとも違う? 生命体の心臓拍動が元になっているとしたら異なるよね…」


「まあね。大体は近いんだけど、宇宙にあるパルサーという天体を知っているかい?」


「うん。光とか電波、X線などを周期的に規則正しく放射している天体だっけ?」


「そう。どこだったかな。ある場所にあるパルサーの天体をある決まった場所から観測したときの、周期的に観測できる周期を宇宙標準の1秒としているよ。その1秒を元に、ある時点からの経過時間を宇宙標準時としているよ。遠くからの宅配ボックスへの配達日時もそれを元に決められていて、受取人が使っている現地の時間を調べて、発送日を決めたりしているよ… あと待ち合わせ時間とか。

つまり、日や時間は地球の標準日時と宇宙の標準日時の2つを使って、主にやりとりしているよ…

もちろんマトラ星系の人はマトラ星系の標準日時と宇宙の標準日時を使っているし、カザー星系の人はカザーの標準日時と宇宙の標準日時を使ってるよ」


「うん。解説をありがと。良くわかったよ。前にカザー星系に行ったとき、時計があったんだけど、地球と同じ12等分されていたからなんでかなと思っていたんだ…」


「カザー星系のほうは、偶然にも1秒がほとんど同じ、自転周期もほぼ同じ、公転周期は372日で、重力は1.18倍なんだよね…

似ているといえば似ているし、生命体もうさ耳っ子やネコミミっ子と近かったりだし、

ちなみに狐っ子はTMRの開発元会社がある惑星に多いね。トリのハーフみたいな子はマトラ星系に多いし…」


 とキララからいろいろな情報を聞くことができた。

 僕はキララの話を聞きながら、天王星を見ていた。


☆☆☆


「さてと話しこんじゃったね。この後は海王星へと行こう…」キララは宇宙船をリモートで操縦させる。

 展望室にいながら、宇宙船を操縦して移動していく。


 天王星が後ろへ去り、海王星が見えてくる。

 海王星も青い星だ。


「海王星の直径は地球の3.88倍ほど。平均気温は-220度ぐらい。地球からの距離は43億5000万km。光の速さで地球から出発しても4時間ちょっとかかる距離だよ…」


「距離を聞くとすごく遠いね。光の速さでも4時間なんて考えられないよ」


「うん。宇宙船が光の速さで飛ぶのは現実的ではないんだけど、通常空間だけで移動したらすごく時間がかかるよ…

昔の宇宙船を使って、最速の方法で例えばスイングバイという方法で移動しても10年から30年はかかるね」

 

「キララの持っているTMRの技術のような自動ドアがなかったら、遠くまで移動するのも大変だね…」


「うん。それが無かったらだいぶ違っていたよね。私のはタイムマシンの機能も兼ねているし…

時間移動や空間移動は自在にできるから。それに宅配ボックスもTMRの機能の応用だし…」


「でも自動ドアで他の星系とつなぐ方法だと、遠くに来たという実感がないよね…

カザー星系やマトラ星系って実際はどのぐらい離れているの?」


「えーとカザー星系は、小マゼラン銀河あたりだったかな。比較的近いよ、たった20万光年ぐらいしか離れていないよ。ちなみにマトラ星系も同じ銀河にあるんだよ… カザー星系とマトラ星系は170光年ぐらいしか離れていないし、だいぶ昔。お互いの星系を観察できるぐらいの科学技術が発達した後は、宇宙開発が進んだんだよ。そしてついに外宇宙からの干渉があって、星系間でやりとりが始まった。

TMRの開発元の会社の人が最初の国交にかかわったという話だよ。

で。そのうちにマトラ星系の人と、カザー星系の人は仲が悪くなったのさ。

宇宙一長い航行路の建設とかで張り合うようになったんだよね…」


「でもさ。20万光年も道を伸ばしたの?」


「いや。さすがに違うよ… 建設計画ではカザー星系の近くから建設が始まって、地球の方向と逆の方向に道が伸ばされていったんだけど。ポイントポイントごとに、航行用の施設が建設される。

この宇宙船の移動でも見たことがあると思うけど、星が線の形になるやつ。

出発地と行先に自動ドアで空間をつなげればあっという間に到着するけど、面白くないよね…

移動中の星の景色も楽しみたい。

そこでゲートを設置して普通の宇宙空間を航行する部分と、自動ドアの技術で開けた超空間を使って、空間を一気に飛ばすことを交互に行われるようにする。それを十分に早い速度で交互に駆け抜けると空間をとばしながら、宇宙空間を進むことになるから、光速を超えて移動しているかのように見えるんだよ。星も線の形に引き伸ばされる。線の形になっているのは残像だよ。

この宇宙船はその見え方を演出という形で見せているだけなんだよね…」


「そうなんだ。だから星が線の形になるんだ。たしかにワープだとワープ中の空間はどうなっているのかわからなかったけど。ワープ中の空間は何もないんだね…」


「うん。自動ドアと同じ。空間をつなげると自動ドアをくぐった時のように行先にすぐ着くよ」


「やっぱり…」僕は昔からあるワープの映像を映画やアニメで見てきたけど現実は違うんだと思った。


「さっきも言ったけど、海王星までの距離は43億5000万kmもあるから、通常空間だけを使って移動すると時間がかかるよ…」


 キララがいったん話を終えて、海王星を見る。


「なんか、海王星を見ながらというか宇宙に居ながら、地球外の星系のことや宇宙標準時のことを聞くのもいいね。地球上で聞いているのより実感があるよ…」 


「うん。聞いてくれる人がいるのもいいね。ぼく。いや私も宇宙のことは好きだし…」


「なんか、地球も宇宙に関してはだいぶ遅れているよね。他国との軍事費用にお金を使うぐらいなら、宇宙開発や、テクノロジーの発展。研究のためにお金を使えばいいのにと思うよ…」

 僕はキララに言った。


「たしかにね。そう思うよ… 外の星系からの介入があった後はかなり宇宙が身近になったんだよ…

それに地球人は頭がいい人も多いから、学生や学者。研究者。労働者の流出も目立った時代があったよ…

他の星系の人は生活に必要な食べ物や暮らし。空間の移動。つまり出かける際にも時間を節約するようになっているし、大人になってからの一生のうち、無駄な時間は地球人と比べて少ないから、研究や仕事の成果に時間を使えるようになったんだよ。最低限の食べ物はただでもらえるし、住居も好きなところに住める。人が住める惑星も無数にあるしね…」


「いいなあ。それ、僕も宇宙との国交がだいぶ進んだ時代に生まれたかったよ…」


「やっぱりそう思う? 私も未来で暮らしていたことがあるけど、西暦4000年代の時代も良かったよ…

まあ、でも古い時代には古き良き時代というのもあるし、未来では無くなってしまったものも今ではあるし…

まあでも、TMRがあればいいんじゃないかな… あとは自由にできないのは異世界との行き来だけかも…」


「そうだね。僕もキララのおかげでこうして宇宙旅行できているんだし…」


 僕はキララの話を聞きながら海王星を眺めていた。


「さてと。いよいよ。太陽系を出て8光年ぐらい移動するよ… まずはシリウスだね…」


 いよいよ、太陽系を出る。


 キララは宇宙船を操作して太陽系から脱出させる。


☆☆☆


 宇宙船が超高速移動して星の形が線となる。しばしの間高速飛行をする。


 宇宙船のコンソールの表示にシリウスが出てきた。その後に星の形が点になった。


「あの青白い星がシリウスだよ。光輝いているシリウスAの隣に豆ほどの大きさのシリウスBがあるよ」


 青白く輝いているシリウスA。そしてシリウスAと比べると豆粒みたいな大きさのシリウスBがある。

 キララはデバイスを見ながら解説しだした。


 シリウスAの大きさは太陽より少し大きい。質量が太陽の2倍ほど。シリウスAの連星となるシリウスBは先に寿命を迎えた恒星。核融合反応によって心部にある水素を使い切ると、自己を支えられなくなり、重力で収縮していく。このときの収縮による熱反応によって外層は膨張していく…


 この膨張は恒星の周りをまわっている近くの惑星も飲み込むまでに膨張し赤色巨星となる。


 赤色巨星の外層は星の中心から離れているため、だんだん赤色巨星の外層のガスが年月をかけて拡散していく。


 その結果。最後には恒星の中心核が露出する。この中心核の核融合反応が終了したものが白色矮星だ。赤色巨星のときに流出したガスは惑星状星雲として観測される。


「なんか赤色巨星も見たくなってきたよ…」僕はキララにリクエストする。


「うん。そうだね。じゃあちょうどいいのを知っているよ… そこに行く?」


「うん」キララは僕の返事を聞いて宇宙船を移動させる。


☆☆☆


「ここは小マゼラン雲近くの観光名所だよ。ほら。赤色巨星が見えるよ…」


 見たこともないぐらい大きくなっている真っ赤に燃えている星がある。そしてその星の近くに、干からびた惑星の姿。


「ねえ。あれって惑星? もしかして水とか大気とかあったのかな」


「だんだん近づいてみよう…」キララは干からびた惑星のそばへと進路を向ける。


 コンソールにこの星系の図を表示させる。内側にも2つ惑星があったみたいだが、赤色巨星がすでに飲み込んでいる。3番目の惑星は干からびている。


「なんか暑そうだね…」僕はつぶやいたけど…「いや違うよ…熱そうだよ…

惑星の表面温度は1000度近いし、もうちょっとでこの惑星も赤色巨星に飲み込まれるね…

きっと最後はこの惑星の外側にあるガス惑星だけになるよ…」


 キララの話だと、この干からびた惑星も昔は地球のように水や大気が残っていたという記録がある。生物も住んでいたみたい。ただし知的生命体はいなかったらしい。ここは小マゼラン銀河の近くなので、身近な赤色巨星の末期を見ることができる観光名所だ。


「惑星の表面には降り立つことができないけど、惑星の表面から見た赤色巨星はきっとこんな感じだよ…」


 惑星上からの想像図。上を見あげると、もうすぐで惑星と赤色巨星が衝突するんではないかというぐらいの大きさに見える。恒星表面の燃えさかるガスや噴出する炎が見えるぐらいの大きさだ。空のかなりの大きさをしめる赤色巨星。このぐらいまで近くに赤色巨星が見えるぐらいに近づくと生命は生きていられない。


「赤色巨星が白色矮星になって。その白色矮星は、恒星だったころの余熱で輝いているんだけど、とうとうその余熱もなくなった星が近くにあるんだよね。行ってみる?」


「うん。見てみたい…」僕はキララにお願いした。


 キララは宇宙船を移動させる。今のところからたった700光年ぐらい離れたところ。


 もう輝いていない星がコンソール上に見える。

「黒くて見えないけど、あそこにあるよ… 大きさは地球ぐらい。質量は太陽ぐらいあるんだ…

それが黒色矮星というんだけど、その黒色矮星の重力は地球の10万倍はあるよ… 宇宙服を着ても降り立つことはできないね…」


「うわあ。すごいなあ…

でも地球ではまだ黒色矮星は見つかっていないよね…」


「うん。光らないから観測が難しいんだ。でも宇宙標準の地図データには細かくのっているよ…

宇宙船とぶつかったり、宇宙の施設建設時にじゃまになるし…」


「光っていないから、面白みがないね…」


「うん。1回見て次に行こうという人が多いよ… じゃあ次は中性子星かな… 近くにあるよ…」


また、キララは宇宙船を移動させる。


☆☆☆


「また何も見えないね…」


「窓の表示をエネルギー別に色を付けてみるとわかるよ…」キララはコンソールを操作する。


 すると窓の中心あたりに丸いものが表示される。上と下にエネルギーのパルスが放出されているのがわかる。


「何か出てるみたい… あれが電波のパルス?」


「うん。そうだよ。電波のパルスは見えないから…で、中性子星は太陽の質量の8~10倍の星の最後。

超新星爆発を起こした後に、中心に残った中性子が星になったものだよ。

元の重さが太陽ぐらいあっても、中性子星の大きさは直径20kmほどしかないよ。

密度がものすごく高くて、角砂糖1つぐらいの大きさで数億トンになるよ…」


「あの中性子星のパルスの周期は0.5秒ぐらい?」僕は画面を見るとそのぐらいの周期で放出しているのがわかる。


「うん。0.4528秒に一回出しているんだ…

さてと中性子星も見たから今度はブラックホールかな? またいいところにブラックホールがあって、近くの物を飲み込んでいる最中のものがあるよ…」


「あ。それも見てみたい…」


「うん。じゃあ移動させるよ…」キララは宇宙船を操縦させる。


☆☆☆


「ああ。すごい…」僕は思わず声を出した。


 青白く輝く星である恒星の外層が円を描いて真っ黒に見えるものの中心に向かって吸い出されていくかのように、ガスが渦をまいている。


「すごい景色だよね。いちおう近づけるのはここまでだから… 光学機器を使って拡大してみるよ…」


 コンソールに中心部分が映し出される。


 ガスや岩石と思われるものが黒い穴に吸い込まれていくのも鮮明に見える。


「未来技術の光学機器だとここまで鮮明に見えるよ… ほら… ガスや岩石が吸い込まれていくよ…」


 吸い込まれていくときの熱でまわりは明るくなっている。ほとんどはガスが吸い込まれていくだけなんだけど、たまに岩石っぽいのも吸い込まれていく。


「もしあそこに行ったらどうなるかな…」


「戻って来られなくなるね。脱出はできないし、あのあたりだと時空間が不安定でTMRも使えないし…」


「そういえば。粗大ごみとかいらないものを放出したら綺麗にしてくれるんじゃないかな…

カプセルに入れて… 放射性物質でもいいけど…」


「まあ高熱で処理するのもあるけど、実際にやる人は観光客ぐらいかな。ロケット推進で小型艇にいらないものを積んで、ブラックホールめがけて発射するのさ…

しばらくたってから。飲み込まれたって…

あと、カメラを積んでブラックホールに飲み込まれるまで中継するのもやってたよ…

あるところを超えると電波でさえも届かなくなるから… 途中で消えるんだけど…

飲み込まれる直前までは観測できて、映像が残っているから見るといいよ」


「うん…」僕はブラックホールを目のあたりにして、しばらくその迫力にみせられ、しばらく見ていた。これは巨大な滝を身近から見て、その迫力に圧倒されるみたいなのに似ているかもと思った。


「じゃあせっかくだから、リクエストにあったNGC300。ちょうこくしつ座の方角にある渦巻銀河も見てみよう…」

 キララは宇宙船を移動させる。


 宇宙船が移動し、ちょうこくしつ座の方角にある渦巻銀河が目の前に現れた。


 キララが窓のボタンを押して、窓から見える景色の多重露出機能をONにした。

「うわあ。すごい」


 綺麗なうずまき銀河が目の前の窓から見える。

 中心は明るく、まわりは白い星間ガスのようなものが見える。

 星間ガスのところどころに白っぽい恒星や、赤い恒星、ピンクがかっている恒星。黄色い恒星など、うずまき状に広がる星々。まるで宇宙空間に咲く花のようだと思った。


「渦巻銀河は地球から690万光かなたにあるよ。地球から見える姿は690万年前の姿だよ。

渦巻銀河の中心にはNGC 300 X-1と言われるブラックホール連星系があるよ…

行ってみるかい?」


「うん。見てみたい…」


 宇宙には観光名所もいっぱいありそう。新婚旅行とか仲の良い人と一緒に行きたくなる。

 キララと一緒でよかった。僕は思う。


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