行方不明になったユキ君。右往左往するキラ。そしてララお姉さん。解決編。
ユキ君がコンサートの後、自動ドアを通った後に行方不明になった件について、キラとミア、そしてララお姉さんとで救出の作戦をねっていた。
そして異世界へと移動できる機械があるカザー星系に乗り込み、無断使用する手はずを作ることになっている。
ミミアと一緒にプランを考えた。そのうちララお姉さんが自分のTMRを使って移動してきた。
ミミアはララお姉さんを部屋に通す。
☆☆☆
ミミアはスーツを着てキラとララお姉さんを従えて廊下を歩いていた。
「じゃあここで待ってて、準備ができたら合図するから…」ミミアは2人を自動ドアがある部屋へ案内すると、ミミアは出て行った。
ミミアは手に赤いものを持っていた。
ミミアはボスの部屋のドアを開けた。
「ねえ。これはどういうことなの!」ミミアは赤いものを見せる。
「なんだミミアか。休暇はどうだった…あ。そ。それは…」ボスの顔が、ミミアの手に握られている赤いものを見て青ざめる。
「なんで。あなたがこれを持っていたのよ…」ミミアは怒った感じでボスにつめよる。
「いや。妹のパンツは廊下で拾ったんだ…」
「あたしは、妹のパンツとは一言も言ってないんだけど…」ボスの近くまで歩いて行く。
ミミアはボスの机のコンソールの前で止まる。
ばん。机をたたくミミア。こっそり端末に表示されている異世界への自動ドアの使用許可ボタンを押す。
「い。いや。それはだな。赤いハンカチかと思ったが、その怒り方からパンツだと思ったのだ。そうだ。」目が泳いでいる。
「ふーん。それで…」
「いやぁ。だから拾ったのだ…」ボスは少しづつミミアから後ずさる。
「まさか」ミミアはそこで言葉を止めて、ボスに歩み寄る。ボスはその迫力からしゃがみ込み、床の上からミミアを見上げている。
ごくり。ボスは喉をならす。
「まさかとはなんだ…」
「このパンツ。あなたが拾ったとき。生温かかった?」
「はぐぅ。そ。そんなことはないぞ。いや。どうだったかな。覚えておらんな…」
「ふーん」ミミアは端末のほうを見る。『許可しますか?』と出ていた。ミミアはボタンを押す。今後自動承認をするためのボタンを押して画面を閉じた。
ミミアはさらにボスにつめよる。
「そんなに詰め寄らんでも…」
「いいえ。詰め寄る必要があるの… まさかあなた。あたしの妹にパワハラをして、パンツを脱がせたの?」
「はぎゃ。いやいやいや。絶対そんなことはないぞ。お前に知られたら殺されるからな。決してそんなことはしない。妹が自らパンツを脱いで置いていったのだ…」
「そんなわけないでしょ。どこの人がパンツを自分で脱いで置いていくのよ…」
ミミアはさらにボスへとつめよる。
「いやあ。しかし…」
「ちょっとこっちいらっしゃい…」ボスの首根っこをつかんで、強制的に立たせる。
「いや。そんな。ばか力で…」ボスは威厳も何もない。
「ちょっと会議室へいらっしゃい… おしおきが必要ね…」
ミミアはボスを強制的に引っ張っていき部屋を出た。歩いて隣の会議室へ向かう。
☆☆☆
「ミミアはなんとかして使用許可をとったみたいだね…」
その光景をみて、ミアとキラは苦笑いをした。パンツをネタにするとは、あれだったらボスでも、たじたじになってしまう… しばらくボスは戻って来ないだろう。
「じゃあコンソールから、どこの世界にするかを選ばないとね…
って初めて見た。こんなにあるの?」
ララお姉さんは、端末を操作する。横のほうにいくらスクロールしても世界の選択が無数に続くだけ。
途方にくれそうになっているララお姉さん。
「あれ。これ。検索用の画面。こっちから開けるみたい…」キラは指をさした。
「ああ。まあそうだよね。どの世界を選んでいいかわからないから、あるわよね…」
日本語ではないので、ララお姉さんが操作に困っていると…
キラは僕わかるから…と言って端末を操作することにした。
「えーと。ユキ。地球人。地球歴で3812年~2037年ごろを検索。行方不明記録」ぽちっと。
ララお姉さんが、端末を覗き込む。「なんとかなりそう?」
「うん。なんかすごいよこの端末。異世界の同機種の無数の端末と連動して並列して検索しているみたい… パーセンテージが上がっていくよ。59% 60%…」
100%になった「終わったの?」ララお姉さんが画面を見る。
「そう。終わった。行方不明になっている世界はこれとこれ。というか無数にあるんだけど…
えっ。救難信号? ユキと思われる人からの救難信号が出てる。そんな世界が781件ある…
あー。でもどうしよう。異世界のユキ君かもしれない。どれが僕たちの世界のユキ君かわからない」
「どーれーに。しようかな。でやっていくのは?」能天気なララお姉さんが言う。
「いやぁ。でも。異世界のユキ君はみんなユキ君に違いないし、みんな困っているし…
救難信号を出してないユキ君が。僕たちの世界のユキ君かもしれないし…
うわぁ…」キラは悩む…。
☆☆☆
僕ユキは自分の家に帰ってきた。自分の家といっても、きっと異世界の自分の家。自分自身はラミちゃんやミミちゃんたちと、どこか別の場所で暮らしているに違いない。
僕はラミちゃんの部屋に行った。
もちろん誰もいない。
ラミちゃんの部屋に見慣れないものがあるのに気が付いた。
町のデパートで見かけたことがある、ニンジンの形をした巨大なクッション。
これ、買おうか迷って結局買わなかったやつだ。この世界だと買っていたんだ。
僕は、ニンジンの形をした巨大なクッションをぎゅっとする。
ほのかにラミちゃんのにおいがした。
僕は立ち上がる。そしてミミちゃんが使っている部屋に移動する。
ミミちゃんの部屋には、別のクッション。お魚の形のクッションがあった。僕の世界にはなかった。
また、クッションをぎゅっとする。ミミちゃんのにおいがほのかにする。
「ああ。どうしよう。ここで待っていて。キラとか、ララお姉さんが迎えに来てくれるのかな…」
ユキはとほうにくれていた。そして涙が出てきた。僕は一生このままなのかと…
☆☆☆
「ねえ。やっぱり何かを転がして、1~6の数字が出たらその数字で…」
また。ララお姉さんは能天気なことを言っている。
「じゃあ。根本を解消する? 僕の過去に干渉してその時間にユキ君が自動ドアをくぐらないようにする? うわぁ。だめだ。未来が変わっちゃう…
TSIを使う? うわぁ。だめだ異世界が絡んでいると大規模になってしまう…
じゃあせめて、行方不明になったあとすぐに見つかるようになってたら…
自動ドアの使用者IDと使用場所が遭難者を見つけるのに有効なんだけど…」
キラがぼそっとつぶやく。
「あー。TMRデバイスの自動ドア機能…」ララお姉さんが言いながら考えている。
「何。何なの? 何か思いついたの?」普段のほほんとしているうさ耳お姉さんにつめよるキラ。
「えーとね。あたしのTMRデバイス。管理用だから問題が発生したときにバグや事故の記録機能があるの。その記録は管理センターへと送信されて、過去に向かってTMRの事故を防ぐためにソフトが改良される。その時代では無理な機能はつけることはできないけど。全域に向かって更新できるかも…
もちろんあなたのTMRにも影響が及ぶはず…」
「そんな全域って。過去や未来に影響を与えすぎなんだけど。僕は何回過去や未来に行っていると思っているの…」
「まあ。大丈夫よ。ちょっと待ってて」ララお姉さんは仮想簡易キー入力デバイスから、ユキ君の行方不明になったときのTMRデバイスの使用者IDと詳細な座標がわからなかったことを、記載して情報を送信した。
数分後。
「あれ。これは…」キラが端末に新たな表示があるのを気が付く。
「この異世界を行ったり来たりできる自動ドア。僕のTMRと互換性があるみたい… TMRの更新情報を無数にある異世界のTMRへも伝えているみたい…」
端末に表示されている世界が更新されていく…
キラは自分の使っているTMRデバイスのバージョン表示が1つ上がっていることに気が付いた。バージョンそのものが上がったのは2日前となっていた。
「あら。あたしのTMRもバージョンが1つ上がったわね…
じゃあ。キラ。行方不明情報を検索してみて…」
「あー。7228件が解決済みになっている!」キラは。ララお姉さんの両手をとってるんららとジャンプして喜ぶ。残り3件。
「じゃあ使用者IDはどうなっているの? あなたのもの?」
「えーとちょっと待って、調べるから…
あー。ま。まいったなぁ。3件ともこれなんだけど。使用者IDはみんな僕のもの。
そして、自動ドアをくぐった人の情報
未成年の地球人。男性。身長:159cmぐらい。体重:49kgぐらいみたい…」
「身長159cm。あー。ユキ君だ。このぐらいだから…」ララお姉さんは自分の手を160cmぐらいの位置に当てて、ユキ君に抱きついたときのことを思い出す。
「使用者IDは僕のと一緒…3人ともユキ君だけど、どれか1人が僕たちの世界のユキ君…
うーん」またキラは悩みだした。
……
そんなとき。異世界からこの世界へと誰か移動してくるという表示になった。
そばの壁が光り、四角い形になった。
「やっほー。キラとこの世界のララお姉さん」
「やっほー。キラとこの世界のララお姉さん」
2人のララお姉さんが現れた。
「あたしが2人いるよぉ」ララお姉さんはびっくりする。
「いや。あれは異世界のララお姉さんかな…」キラはそんなに驚いていない。
☆☆☆
「こんにちは。えーと説明するわね。私はララ。24歳。で、中身は神系のララ。
そしてこっちも同じ。神系のララ」とララお姉さんは説明する。
のほほんとしている、長身巨乳うさぎお姉さんが2人そろって言う。
「えーと。よくわからないんだけど… 両方ともララお姉さんだよね。異世界の?」キラは2人に聞く。
それぞれのララお姉さんは服の色が違う。この世界のララお姉さんは白に赤の服だけど、
最初に説明をしたララお姉さんは白に紫の服。次に紹介されたララお姉さんは白にピンクの服。
「これを見てくれるかな…」紫の服のララお姉さんは端末を操作する。
会議室でミミアとボスが何か話している映像。ミミアの手には赤いもの。
「これはミミアだね。ボスを連れ出してくれたんだね」キラは言う。
「ボスがなぜか、妹のパンツを持っていたのかをミミアが問い詰めているはずよ。この世界だとミミアの持っているパンツの色は赤。このララお姉さんの服も赤よね。
あたしの世界だと、ミミアが持っているパンツの色は紫なの。そしてこっちのララお姉さんの世界だと、ミミアが持っているパンツの色はピンクよ…」
ピンクの服を着ているララお姉さんが話し出した。
「あたしは自分の時代の和室でランジェリー姿で寝ていたところだったの。
ウィスキーボンボンを箱買いして、ほとんど一人で食べながら、ウィスキーをロックでちょっと飲んで眠りこけていたの。で。ちょうど寝ていたから、中身を神系のララであるあたしに入れ替わってから、ここに来たの」そして別の紫の服を着ているララが話し出した。
「神系のララの中身は、過去も未来も異世界のララもすべて同一。体は違うけどね」と言った。
そしてピンクの服を着ているララは続けた「お酒を呑んで眠っているときでないと、神系のララに入れ替わることができないんだけど、赤い服を着ているララは本物ね。それはお酒を呑んで寝ていなかったから…」
「そう。あたしはウィスキーボンボンを箱買いしていたんだけど、暑かったから麦茶を飲んでそのまま寝ていたの…」
キラは聞きながら映像を見る。あ。ボスが正座させられている。そしてミミアが怒っている。
その光景をみた後「神系のララさん?」キラが問いかける。
「うん。何かな?」紫の服を着ているララが答える。
「えーと、君の中身は過去と未来と異世界のララが同一人物。体はそれぞれの世界のララ。
それって。普通じゃ不可能じゃない。中身はそれぞれの世界とか、時代の人だろうし…」
「まあ。神系だから… 中身の存在自体は、ある事件をきっかけとして、えーとたしかTSIのメンテナンス作業だっけ、たしか未来のキラと一緒に作業をして、どじっちゃったの。それで変になっちゃった。
だから、あたしの魂は、この世界と異世界の上位に位置している世界のものになってしまったから… 常識が通じないの… わかるかな? あたし自身もわからないんだけど…」
と自分もわからないんじゃどうしようもないやとキラは思った。
「あー。なんとなくわかった。で。わからないことがあるんだけど、ちょうどいいタイミングで、なんで来たのかな?」キラは再び問いかける。
「えーと。あたし紫の服を着ているララの世界のユキ君が残ったリストの1番目のユキ君」
「あたしピンクの服を着ているララの世界のユキ君が残ったリストの2番目のユキ君」
その言葉を聞いて、この世界のララお姉さんは言う。
「ということは、赤の服を着ているあたしのユキ君はリストの3番目ってこと?」
「そういうこと」紫の服を着ているララが言った。
「神系のララでないと判別できないから、2人で来たの… じゃあ救出プランを…」
紫のララが、1番目のユキ君の世界に行って、いったんこの場所へ連れてくる。そして元の世界へ帰る。そしてコンサート会場へと送り、マトラ星系の人達と見学する。
ピンクのララが、2番目のユキ君の世界に行って、いったんこの場所へ連れてくる。そして元の世界へ帰る。そしてコンサート会場へと送り、マトラ星系の人達と見学する。
そして、赤い服を着ているララが、3番目のユキ君の世界に行って、いったんこの場所へ連れてくる。そして元の時代のコンサート会場へと送り、マトラ星系の人達と見学する。
そして…
1人目のユキ君が異世界へ移動する自動ドアを経由してこっちに出てきた。
ユキ君は泣いていた。ララさんは、ユキ君の頭をなでなでしながら、元の世界へと帰って行った。
2人目のユキ君が異世界へ移動する自動ドアを経由してこっちに出てきた。
ユキ君は泣いていなかったが、異世界のララおねえさんにぎゅっと抱きついたままだった。
3人目のユキ君が異世界へ移動する自動ドアを経由してこっちに出てきた。
ユキ君は泣いていなかったが、ララおねえさんにぎゅっと抱きついたままだった。
「あ。マトラ星系の最初に移動したところで待ってて」とキラ。
☆☆☆
ユキは送ってくれたララお姉さんと別れた。コンサート会場へ移動する前のマトラ星系の第2惑星で待っていると。自動ドアが出現した。
「ユキ君。ホントごめん」キラはもう一人連れてきていた。
スーちゃん。ハリウッドスターのスーちゃんだった。学校の特別講演で紹介された子。
トリのハーフであるキラは、土下座していた。羽を半分広げて見事な土下座をしていた。
そしてスーちゃんもキラの隣で土下座をしていた。
「あー。そんな。世界的なスターであるスーちゃんに土下座をさせているのも…」
「いえ。私の友達のキラが迷惑をかけたみたいで、ホントごめんなさい。あたしからも謝るわね…
おわびといってなんだけど、あなた怖かったでしょう。あたしの運気を分けてあげる。
ぎゅっとしてあげる。そして、今あたしが撮影している海外ドラマなんだけど、日本人のわき役がいるのよね。ちょっと出演してみない?
簡単だから… それがおわび」
ユキは断ろうとしたが、ぜひと。言われた…
☆☆☆
2週間後。僕はネットワークで放映されている海外ドラマを見ることにした。
「スーちゃんが出ているよ」とさそってみたが、サプライズで僕が出ていることは言ってなかった。
スーちゃんと僕のシーン。
スーちゃんが走っていて、通りを誰かとぶつかる。
「ごめんなさい」英語で言うスーちゃん。
「問題ないよ。それとほら…」と落ちたバックを差し出す。
「ありがとう」チュっと。頬っぺたにチューをして去っていくスーちゃん。
「にゃんにゃのよー。あれ。ゆ。ユキ君? ユキ君が出てる…」尻尾が太くなってびっくりしているミミちゃん。
ラミちゃんの耳はピンと立っている。あんぐり口を開けてこっち見ているミミちゃんとラミちゃん。
いろいろあったけど日常っていいなあ。と思ったユキであった。




