キラからの宇宙でのクラシックコンサート会場への招待。
大序曲1812年というクラシックコンサートが題材です。
クライマックスで大砲の音が鳴りますが、ここでは宇宙が舞台です。
大砲の音が鳴るところで、超新星爆発の映像が演出として流れます。
コンサートへ行く日。
「じゃあ。シロとかソラを呼んでくるよ。それとララお姉さんもね…」
キラはそう言って、自分のTMRを使ってどこかへ消えていった。
フルメンバーで行くみたいだ。
キラはちょっとしたら戻ってきた。
キラは自動ドアを開き、どこかへつなげる。
「さあさあ。こっちだよ…」キラは自動ドアの横で、みんなを手招きしている。
最後にキラは自動ドアを通った。
☆☆☆
「ねえ。ここは?」僕ユキはキラに聞いた。
「えーとね。マトラ星系の第2惑星だよ。僕たちと一緒に行くメンバーがいるんだよ。
たぶん初めてだよね。マトラ星系の人と会うのは。
カザー星系のボスとかとは対立しているんだ…」
シロちゃん。ギンちゃん。ララちゃん。ミミちゃん。ラミちゃん。僕。
ヒメル。みのるお兄さん。ミアお姉さん。そしてシロお姉さん、ソラお姉さん、ララお姉さん。
そして案内役のキラ。
「ねえ。ララお姉さん。神系のララって知っている?」
僕はララお姉さんに聞いた。背が高くてほんわかしているお姉さん。
ミアお姉さんに並んで完璧なバニーガール。
「何それー。知らないけど…なんなのそれ?」
「いや。なんでもないよ…」僕は念のためララお姉さんの中身を確認した。
「何しているの。早くおいでよ。おいて行くよ…」キラはこっちを見ている。いつのまにか、僕とララお姉さんは一番後ろでおいてけぼりだ。
ここは、緑が多い歩道。ある建物に向かって歩いている。透明な感じのある程度大きな建物。
キラは、建物の入り口へ進んでいく。
入り口に人がいた。人と言っても地球人とは違う。どっちかというとトリのハーフの子には近い。
近いんだけど。背が大きい。地球人の1.5倍はあるだろう。背中にはとっても大きな羽がある。
「あら。こんにちは。待ってたわよ…あら。大勢ね…
じゃあ。こっちのほうを進むと、いるから…」
☆☆☆
「あら。キラ。よく。はるばるこんな遠いところまで…」
マトラ星系の人が挨拶をする。この人は偉い人らしい。
色は紫と白を基調とする感じのトリの羽が見える。
服はそれにあわせた、薄い透けている感じの白い服。
「やあ。こんにちは。こっちにいる人達は地球の僕の友達だよ…」
「そうですか。地球。私たちの部下たちにも地球出身の子がいるのよ…
私はマトラ星系のものだけど、マトラ星系のものはみんな私みたいに体が大きいの…」
「そうなんだ…」僕ユキは、マトラ星系の人を見上げた。背中にはひめるや白、ソラみたいなトリの羽。でもヒメル達のトリの羽より巨大だ。羽ひとつひとつが大きい。手のひらぐらいの幅がある。
「さて。行きましょう…私たちが使っている宇宙船を会場のそばに停泊しておきました。
そちらの自動ドアから直通で行けます…」
「じゃあ。みんなついてきて… はぐれないように…」キラはみんなに言う。
「はーい」
「了解なのじゃ」
「うん。わかったー」
「じゃ。行きましょ」
…それぞれ移動する。
☆☆☆
移動した先はとっても大きい部屋のようなもの。天井が高い。一般的なビルの3階分ぐらい吹き抜けになっている。上のほう。マトラ星系の人が数名飛んでいる。
「うちゅー」
「そうだよ…」キラはシロに説明した。ララちゃんはふーん。という感じであたりを見回している。
天井が高いところを、ラミちゃんは上を見上げてる。
「わぁー」と声が聞こえる。幼稚園児のララちゃんは、空中から来たマトラ星系の人に胴体をつかまれて、空中にさらわれたところだった。
「ララちゃん!」僕はさけんだ。
「わーとんでるー」ララちゃんは危機感を感じていない。
僕はララちゃんを見ていると、ビル3階分ぐらいの天井近くに、ベランダのようなところがあって、そこまで連れ去られた後にララちゃんはベランダのところに下された。
どうやらそこが演奏を見るための場所らしい。
「わぁ」
「なんじゃ…」
幼稚園児組2人が一人のマトラ星系の人に連れ去られた。そしてベランダのところまで飛んで行って、下される。
「あっ」ミミちゃん。ミミちゃんも胴体をわしずかみにされて、空中に連れ去られた。
その後つぎつぎと、空中へ連れ去られた。
ちょっと体が大きめのマトラ星系の人が来て、ラミちゃんを空中に連れ去った。そしてその後ララおねえさんやミアお姉さんも体の大きなマトラ星系の人に空中に連れ去られた。
僕は、マトラ星系の偉い人によって、腕で抱きかかえられて空中に連れ去られた。
みんなはすでにバルコニーにいる。最後に僕はバルコニーに着地した。
「やあ。君が最後だね。でも僕まで運んでもらっちゃって悪いね。僕も羽を持っているんだけど、飛べるほど大きな羽ではなくてね…」と鳥のハーフの子としては大きい羽をばさばさと動かす。
「いいのですよ… 耳長族…ウサギのハーフの子達はちょっと重いから大変だけど… 子供を運ぶぐらいの労力と思ってくれていいわ」と解説してくれた偉い人。
「あんた。良く運んでもらえたわね。重すぎて落とされなかった?」ミミちゃんはラミちゃんに言った。
どん。ラミちゃんはミミちゃんの足を踏んだ。
「痛ったいわねぇ。あたしの足が平べったくなったらどうすんのよ…」
「あんたが、私の悪口を言うから、それにねえ。ミアお姉さんとララお姉さん。ミミちゃんが私たちが重いって…」ラミちゃんがお姉さん達に言う。
「まあ。そうですよね。あたしたちは重いよねぇ」ミミちゃんに近づいてミミちゃんの二の腕をつかむ
「いや。あたしはラミちゃんに言ったの…」ミミちゃんはお姉さん達にからまれてちょっとあせる。
あはは。僕は見ているしかできなかった。
そのときミアお姉さんと目が合った。
「ゆーき君」ミアお姉さんが抱きついてきて、僕を持ち上げた。「うわぁ。なに?」僕は首を後ろに向けてミアお姉さんを見る。
「あたしがユキ君をさらっちゃおうかしら…」
ミアお姉さんは壁のそばまで歩いて行く。
壁には穴が空いていて、ガラスみたいなのはない。
腰より上のところに金属のバーがあるだけ。向こうは宇宙空間のようだった。
でも空気が外に吸い出されるとかはない…
「演奏中はユキ君を抱っこしたままでいいよね…」ミアお姉さんは僕の耳元で、ささやき声で言う。色っぽい年上お姉さんの声。完璧なバニーガール。たわわな胸が僕の背中に当たっている。
胸がすごく気になるんだけど、放してくれそうにはない。
「わかったよ。好きにしていいよ…」
「やった」ミアお姉さんは少し上にジャンプして抱っこしている僕の位置を上のほうに持ち上げなおした。
「ねえ。持ち上げたままだと疲れない? 重くない?」
「ぜーんぜん。重くないわよ… なーにユキ君。重さを気にしているの?
ゆき君ぎゅー」とさらに抱きしめられる。
☆☆☆
「さて。演奏が始まるよ…
この宇宙船には調整された音響装置が組み込まれていて、向こうに見える演奏船からの音が届くんだ。前のほうに巨大スクリーンがいくつかあって、演奏の様子の他に、超新星爆発が起きたときの影響範囲内の惑星や衛星上に設置されているカメラからの映像が表示される。
そうだ。シロとかララとかギンちゃんの幼稚園組は、だれか抱っこしてくれるかな。ちょっと寒いみたい。
ここの気温はマトラ星系の人に合わせて温度が低めになっているし、バーから落ちないようにということもあるし…」と念のためキラは言う。
「わかった。わたしはララちゃんを抱っこする」ミミちゃんはウサギハーフの子のララちゃんを抱っこする。ミミちゃんに抱っこされるうさ耳っ子。
ミミちゃんは抱っこして、ララちゃんの頭の上に自分のあごを乗せる。そしてすりすりする。うさ耳があったかい。生あたたかいうさ耳。ウサギの毛のような体毛。ふかふか。
「じゃああたしは、ギンちゃんを抱っこするわね。ほらおいで…」ラミちゃんは狐っ子を抱っこする。
「じゃあ。私はシロを抱っこする。そしてみのる。みのるは後ろからあたしをぎゅっとして…」
「はいはい…」と、トリのハーフ娘はくっつくのが好きだ。
「じゃあ。あたしはキラをなでるわね」マトラ星系の偉い人はキラに抱きつく。
「わぁ。僕まで、もふられているよ… ははは… さて、始まるよ…」
聖歌隊の歌声から始まる。
正教会の聖歌。歌声がメロディを奏でる。
ヴィオラとチェロのソロ。その後オーボエやチェロ。コントラバスが加わる。
少しづつ静かだった曲が盛り上がりを見せ始める。
目の前の映像も、演奏の風景を映し出す。歌う聖歌の人達。
ヴィオラとチェロを演奏している人のアップ。オーボエ。チェロ。コントラバスの演奏者。
木管群と弦楽器群が序盤は静かに、少しずつ盛り上がりながら。そして交互に演奏される。
ティンパニの弱いトレモロ。低音部楽器や小太鼓。次第に盛り上がりを見せる演奏。
ミミちゃんに抱っこされているララちゃんは足をばたばた動かしながら聞いている。うさ耳を前のほうに向けて、音がよく聞こえるように…
ミミちゃん自身も耳を前のほうに向けている。いい音。
指揮者がゆるい感じで、腕を動かしている。ゆったりとした感じの曲。
ゆったりした感じの曲が終わり、フランス国歌の旋律をホルンが演奏し、金管楽器群が反復して演奏。木管群と弦楽器群が、主題を繰り返し盛り上がっていく。
指揮者の人の動きもダイナミックになっていく。頭を上下に動かしながら、右、左、演奏者のほうに向けて手をダイナミックに動かす。
そして、盛り上がったあとに、緩やかな曲が引き継ぐ。そしてしばらく緩やかな曲の演奏が続いたあと、すこしづつ盛り上がっていく。
「クラシックはあまり聞いたことがなかったけどいいわね。この曲…」ミミちゃんが言う。
「そうね…」ラミちゃんも耳を立てて、よく聞こえるようにしている。
僕は首を横に向けて、トリのハーフの子達を見る。ヒメルは自分の羽を広げている。シロとソラはソラが羽をいっぱいに広げている。キラのほうは、マトラ星系の人にぎゅっとされたままだ。
そしてコルネットとトロンボーンでの演奏。指揮者の腕も伸びた感じでゆっくり動く。そしてだんだんと盛り上がり、管楽器群や弦楽器群。打楽器群が加わり、咆哮する。最初の大砲も5発。大太鼓にて表現される。
「さて、もうすぐで超新星爆発だよ…」キラが解説する。
冒頭の主題と同じ演奏が続く。管楽器で堂々と演奏され、それに木管楽器や弦楽器、鐘により華麗に装飾される演奏。
章がかわり、全楽器が強奏で始まり、ロシア帝国国歌がバスーン、ホルン、トロンボーン、チューバ、低音弦楽器で演奏される。鐘が鳴りクライマックスへと続いていく。そして…
映像での超新星爆発。それと同時に大太鼓での大砲が鳴る。
とてもマッチしてる。そして指揮者の腕がいきよいよく、大きく動き、リズミカルな曲。それと盛り上がる大砲の音。
大砲の音が何発も聞こえる中。超新星爆発の影響範囲に設置されたカメラ映像がいくつも表示され。衛星が吹き飛ばされ、惑星の大気が薙ぎ払われ、惑星そのものの形が無くなる。カメラ映像も消える。それがいくつかの地点から表示される。
どかんどかんという音。それに合わせてダイナミックな旋律が流れ、映像のほうも曲に負けず。惑星系。星系自体の形がかわっていく… 星系の外側から内側のほうに影響が出始め、とうとう主星の太陽も超新星爆発の影響により吹き飛ばされる。
そして最後に盛り上がり。鐘の音で締めくくられる。
ダイナミックな曲と映像。そしてみんな。
ぽかーんとした顔をしている。
鐘の音がなりやんだ。後。ぱちぱちと拍手が聞こえる。
「さて。15分ほどの演奏。どうでしたでしょうか… さてせっかくですので、別の曲。
ホルスト 組曲 惑星。もご用意しております。別の星系ですが、この中にも地球出身の方はいるでしょう。太陽系に似た星系ですが、演奏に合わせた映像も用意しています。
15分は休憩としまして、次の演奏もお楽しみください…」
というアナウンスが聞こえる。アナウンスにより、みんなは現実に戻ってきたようだ。
「やっぱり何回来てもすごいよ…」キラは抱っこされていたが、ふりほどいて。みんなの前に歩いて行く。
演奏が終わり、抱っこしていた人も、抱っこされていた人も開放される。
「なんかすごかったわね…」ミミちゃんは僕に言う。「たしかに。演奏もいい音とリズム。そして太鼓の盛り上がり。それと映像。すごくマッチしていたよね」
「そうそう。演奏と映像のマッチ。すごかったわ。耳を立ててよく聞こえるように聞いていたけど、音の余韻もよかったし。大砲の音も迫力あるし… 大砲の音の時は耳がびりびり震えたわ」
「そう。すごかったわね」
「あたしもびっくりした」
「すごかったー」
ウサ耳娘達は言う。びりびりというのは、わからなかった。きっとウサギハーフ娘達にはわかるんだろう。体で低音が響いたのは感じたけど…
「ねえ。トリのハーフのヒメルはどうだった?」僕は別の種類であるトリのハーフ娘達に聞いた。
「うーん。僕たちは耳が外に出ていないから、びりびりはわからなかったけど、羽を広げていたから、体で音の振動とかは感じることができた。大砲とかの音がそうだよね…」
「うん。すごかった」
「すごーかった」
「よかった」
感想を言うトリ娘達。
「ミミちゃんは?」最後にネコミミ少女に聞いた。
「そうね。大砲の音が鳴って、超新星爆発があったとき、尻尾がびりびりしたわね。迫力にびっくりして、尻尾がちょっと太くなっていたかも…」
けもの耳娘達はそれぞれ、身体の特徴があるからそれぞれ感じ方が違うんだ。と僕は思った。
☆☆☆
休憩後。次の演奏が始まった。ホルスト 組曲「惑星」。
7つの楽章から構成され、
1 火星、戦争をもたらす者
2 金星、平和をもたらす者
3 水星、翼のある使者
4 木星、快楽をもたらす者
5 土星、老いをもたらす者
6 天王星、魔術師
7 海王星、神秘主義者
というふうになっている。
惑星の名前と副題のイメージ通り、火星はだだだ。だん。だん…。という感じで始まる。
金星はちょっとゆるやかな感じの曲。
木星は壮大な感じの曲。
というふうになっている。
それぞれの楽章に合わせて、巨大スクリーンに映し出される惑星の映像も切り替わる。
金星。水星。木星。よく似ている。
宇宙空間での演奏はいい。惑星の曲もあっている。
☆☆☆
「さてとどうだったかな?」
キラはみんなを見て言う。
「よかったー」
「すごかったのじゃ。そして心地良かった」
みんな満足のようだ。
演奏の後、テーブルに乗っている、軽い食事がふるまわれた。地球産と思われるフルーツと何かのお肉や体が温まるスープなど。
☆☆☆
「さてと、僕たちは帰るとするかな。船を用意してくれてありがとう」
「いえいえ。私たちもキラさんにはお世話になっているので…」
みんな手を振って別れの挨拶をする。
キラは自動ドアを開けるために壁に映像を映し出した。
「じゃあちびっこ達からだよ…」
「さいならー」
「帰るのじゃ」
「またねー」
「良かったわね」
「良かった。耳がリラックスしたわ」ミミちゃんとラミちゃん。
「んーん」ミアお姉さんはのびをした。
最後に僕。ありがとうと。マトラ星系の偉い人と握手をしていた。
「ほら。おいて行くよ…」キラが呼んでいる。キラはこっちのほうを見ている。
僕は自動ドアのほうを見た。自動ドアの向こうに一瞬灰色の物がうつる。
「今行くよ」
その声を聞いて、キラは先に自動ドアをくぐった。
僕はキラの後に自動ドアをくぐった。
あれ? こんなだっけ? 自動ドアをくぐるとすぐに別の場所に出るんだけど、今みると灰色の場所だった。
そして後ろを見ると自動ドアが閉じた。
「えっ?」
自動ドアは消えた。そして前にも自動ドアがなかった。
地面が灰色。ソラは白いだけの何もない空間。
ぴぴっと。ポケットから音がした。
見てみると、ララお姉さんからもらったデバイスのLEDみたいなものが光っていた。
「自動ドアがない… これやばいんじゃ…」僕はとほうにくれた。




