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5 チーズとパスタと乙女の必需品

前話を3,000文字ほど修正しました。

アリシアの喋り方も変えました。

「○○の」「○○……なの」等の口調に変えました。

 俺とマリアベルさんで食材の確認をしていた。

 女神様が、どの世界も似たような進化を遂げるはずと言ってた様に、元の世界と似たような食材が沢山あったが、元の世界では見かけない見知らぬ食材もちらほらあった。

 二股に別れた大根を手に取ろうとしたら走って逃げたのでマリアベルが捕まえて「まだ元気ですね」などと言っていた。……大根? だよな?


 「そろそろ牛乳は捨てないとダメですね」


 冷蔵庫など無いし、常温で保存している牛乳はたしかに怖い。

 旅の途中なら尚更だ。 何でこんなに買ったんだ……。

 多分、あのおっさんの『我儘』なんだろうな、その光景が目に浮かぶようだ。


「それじゃ昼に全部使ってしまおうか」

「こんなに沢山の量をですか?」

「飲みきれなくても、加工してしまえばもう少し持つんじゃないかな」


 昨夜シチューのお代りが続出して、翌朝の分まで無くなったのでベシャメルソースを大量に仕込んだのだが、それでも牛乳は山ほど余っていた。

 ナンもどきの小麦粉の塊も使われないまま残っているし、上等なオリーブオイルもあったし、トマトも沢山あった。

 お昼はパスタにしよう。




 ────




 今日もニーナとホーリーベルはやる気を出しているし、アリシアは俺の料理が珍しいのか興味津々で見ていた。

 今日はマリアベルさんも傍らで見ている。


「今日はこの牛乳を加工するから、ニーナとホーリーベルに頼んだぞ」

「頑張る」

「まかせろー」


「大きめの鍋に牛乳と塩を入れてからレモンを絞って木杓子でしっかり混ぜて欲しい、素早く混ぜないとダメだから最初から大事な仕事だぞ」

「ベル、どっちが早く混ぜるか競争ね」

「まけないー」


 うん、その勝敗はどこで決まるんだ?

 絞ったレモンの皮は天日にさらしておく、後でレモンオイルにして料理に使うつもりだ。

 混ざった牛乳を火にかけておく。


「次はこのトマトをお湯につけて五つ数えたら、トマトさんが火傷しないように水の入った桶に入れていって欲しい。数は数えれるよな?」

「大丈夫ー」

「トマトのおふろー」


 ニーナとホーリーベルは木杓子でゆっくりとトマトをお湯にくぐらせる


「いーち、にーぃ、さーん、し~ぃ、ご~ぉ」


 ちゃんと数えれる様でホッとしたが……


「いち、にの、さんまに、しいたけ、ごりら~」


 ホーリーベルの数え方に疑問を持つ、黒電話はちゃんと翻訳してるんだろうな?

 そもそも秋刀魚もゴリラも此方の世界に居るのか!


「後はトマトの皮を引っ張って剥いて行くぞー」

「ベル、今度はどっちが多く剥けるか競争ね」

「こんどはまけないー」


 どうやらさっきの牛乳混ぜ競争はホーリーベルの負けらしい、勝負の基準が全くわからん。

 トマトの切れ目から皮が少しめくれているので竹串を挿して、そのまま皮を引くように剥いていく、やり方を教えると二人共一生懸命皮を向き始めた。


「二人共、トマトの皮を剥くの上手だな、こんなにキレイなトマトはちょっと無いぞ」

「えへへ~」

「ゆあがりびじん~」


 出来たらちゃんと褒めてあげる、やる気を出している時は特に重要だ。

 トマトの皮がむけた頃に牛乳が温まってきた様で、白くてフワッとしたものが浮き上がっていた。


「ニーナとホーリーベルにはこの塊をすくってこのザルに入れて欲しい。この白いのが今日食べる物だから、上手に頼んだぞ」

「ベル、次は負けない」

「むふ~、つぎもかつ~」


 トマトの湯むき勝負はホーリーベルの勝ちか、二人共勝負好きだな。


「ブラスさん、これはなんですか?」

「興味深い現象……なの」

「チーズが出来たんだよ、カゼインと言うタンパク質だったかな? それが塩での塩析と、レモンの酸の作用で固まったんだ、凝乳とも言うな」

「レモンと塩でチーズが出来るのですね」

「塩析……凝乳……また知らない言葉なの」


 アリシアは科学に強い関心があるようだ、魔法使いなのに良いのか? あ、賢者だっけ?


「ブラス……それも教えてくれるの?」

「いいぞ、そのかわり俺にも魔法を教えてくれ」

「教えて出来る物じゃない……けど了解したなの」


 魔法に興味があったので交換条件に出してみたが、賢者様に魔法教えてもらえるなら俺も魔法使えるようになるかもしれない。


「かった~」


 アリシアと話している間にホーリーベルの声が聞こえてきた、どうやら今度もホーリーベルの勝ちらしい。


「よし、また味見をするぞ」


 スプーンでひとすくいして、二人の口元に持っていってやる。


「味がしないです!」

「ねっとり~」


 細かく味見をさせて、味見の習慣をしっかりと身に着けさせておく。

 俺は先程湯剥きしてもらったトマトの調理の為に、大蒜をバンッと叩いて潰してそのまま中身だけを取り出す。


「乱暴な皮の剥き方ですね」

「ブラスは乱暴なのが好き……なの」


 合理的でこの方が香りが立つのだが、アリシアとマリアベルさんには不評のようだ。


「次は、この材料を全部混ぜるんだが、空気を含ませる様にふんわりと優しくしてあげれるかな?」

「優しく混ぜます!」

「まぜまぜ~」


 今日使う分のトマトだけ中の種を取り除いてサイコロ状に刻んで、オリーブオイルと塩で味付けして、先程の大蒜を入れて混ぜ合わせてケッカソースの完成だ。

 ニーナとホーリーベルは手本を見せると上手に混ぜてくれた。

 香草が無いが、旅の途中で其処までは望めない。


 小麦粉の塊を麺状にして茹でてみたら、グルテンがしっかり形成されていて、うどんみたいにモチモチしてた。悪くはない。


「アリシア、昨日の乳化を教えるよ」


 そう言うと、アリシアは身を乗り出してきた。

 そんなに知りたかったのか……


「まず油だが、確かに油と水は混ざらない」


 そう言ってフライパンにオリーブオイルを入れて少量の水を入れてみせる

 油は水を弾いて完全に分離していた。


「此処に先程麺を茹でた茹で汁があるが、小麦粉が溶け込んで白く濁ってるのは解るか?」

「白い液体……なの」


 やめろ、女の娘がそんな事を言うもんじゃない!

 フライパンに大蒜を入れて油が温まるのを待って、唐辛子を入れた後、茹で汁をすくって鍋に入れてかき混ぜる。


「しかし、此処に小麦粉や卵等で油と水と結びつけてくれる物があれば、水と油は混ざる、これが乳化ってやつだ」


 とろみの付いた状態の鍋を見せると、アリシアとニーナとホーリーベルは覗き込んで驚いていた。


「これが乳化……なの?」

「白くべたつくです」

「あんばさー」


 本当にニーナとホーリーベルはどこでそんな事を覚えてくるんだ? 今度女神様に黒電話が壊れていないか翻訳機能の確認をしてもらおう。


 塩で味を整えて、麺と絡めて皆に食事を提供していく。


「今日も美味しそうな匂いがするであるな」

「ブラスの料理って変わってるけど美味しそうだよね」

「今日はケッカソースとカッテージチーズをニーナとホーリーベルが作ってくれたぞ」

「うむ、それは楽しみなのである、それでは今日の食事に、女神に感謝を」


 いつものお祈りをして食事なのだが。


「ねぇブラス、このチーズ味しないんだけど、これはどうやって食べるの?」

「あぁそうか、これはこうやって食べるんだ」


 俺は皆に見えるようにチーズをひとすくい自分の皿に盛り付け、その上にケッカソースを掛けて食べてみせる。

 うん、美味い、香草が無いのが本当に残念に思える。

 それを見て、みんなが同じようにして食べ始める。


「んむ、これを娘達が作ったのであるか!」

「まぁ、チーズの濃厚さをソースの爽やかな酸味が口の中をさっぱりしてくれるわ」

「本当だ、このキレの良さで幾らでも食べれそうだよ」

「これが凝乳の力……なの」


 そしてパスタを食べる。

 うどんぽい生パスタだがグルテンがしっかり出来ててモチモチしている。

 皆も同じようにパスタを食べ始めた。


「これも美味しいですわね、これは何という料理ですの?」

「アーリオ・オーリオって言うパスタだよ」

「アーリオ・オーリオ? パスタ?」

「説明が難しいな……そう言う名前の料理としか」

「このかかっている汁が凄く美味しいね」

「これが乳化の力……なの」


 皆、普段と違う料理が珍しい様子でワイワイと意見を言い合いながら食べている。

 アリシアはさっき教えた事を確認しながら食べていた。


「ふむ、記憶は無くしても身につけた事は覚えているものなのであるな」

「ブラスの事で理解った事がある……なの」

「アリシア、それは本当?」

「ブラスの作る料理は合理的で研究されつくされたもの……なの、水と油を混ぜる『乳化』や牛乳を固めてしまう『凝乳』等のこの考え方は『錬金術』……なの」


 科学とかそう言うのは此方の世界では錬金術になるのか、さっき教えたこともよく理解している様だし、アリシアは賢者と言うだけあってなかなか頭が良いようだ。


「それじゃブラスは錬金術師って事ですの?」

「昨日のシチューモドキも牛乳から作られていたなの、ブラスは名のある錬金術師……もしくは、その弟子の可能性が高い……なの」


 なんだか物凄い誤解をされている気がする、誤解が大きくならない内に此処はちゃんと否定しておいた方が良さそうな雰囲気ではある。


「きっとブラスは『おっぱいの錬金術師』……なの」

「んな訳あるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 何皆揃って「あぁ、やっぱり」と言う納得した顔してるんだよ!

 俺は何処かの国家の錬金術師かよ!


「『凝乳』『乳化』……なるほど、説得力が有りますわね」

「無ぇよ! セシリアは何で其処で納得してるんだよ! 凝乳はともかく乳化はおっぱいに関係ないわ!」


 そもそも漢字に「乳」が使われているだけだ、黒電話は一体どんな翻訳してるんだ?!


「ブラスはおっぱいに詳しい、この『おっぱい料理』が証拠……なの」

「そんな名前の料理じゃねぇよ、今日の料理は『イタリアン』だし、昨夜のベシャメルソースも『フレンチ料理』の技法だ!」

「『ハレンチ料理』ですの?」

「言ってねぇわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 お前らの頭の中がハレンチだ!


「私達は裸を見られた……なの、きっともうブラスの頭の中では研究されているなの」

「えぇ? 私も?」

「恐ろしいですわ、やはり街に着いたら憲兵に突き出してしまうべきですわ」

「手遅れ……なの、きっともうブラスの中では私達は陵辱されている……なの」

「してねぇわ! そこの変態賢者の妄想の方が恐ろしいわ!」

「はっはっはっ、賑やかであるな」

「そうね、旅の途中がこんなに楽しいなんて初めてだわ。見て、ニーナもベルも楽しそうよ」


 おっさん夫婦も見てないで止めてくれよ、このままでは勝手に犯罪者にされてしまいかねない。

 俺はアーリオ・オーリオの上にチーズとケッカソースを掛けて一緒に食べようとすると


「ブ、ブラス! そんな食べ方も有りなの?」

「流石はおっぱいの錬金術師……なの」

「まだその話題続いてたのかよ! まぁこういう食べ方もあるよ」


 早速皆が真似をして食べ始める中で、ニーナとホーリーベルが俺の方をじっと見つめていた。


「どうかしたのか? ニーナ」

「ブラスさんってなんだかアーシアさんに似てますー」

「にてるー」

「似てないよ!」

「似てねぇよ!」


 皆も「あっ! そう言えば」見たいな顔してるんじゃねぇよ!

 俺のどこがこのアホ勇者と似てると言うんだ? 共通点なんて胸の大きさだけだ!


「よく見るんだ、あの勇者と似てる所なんて胸が無い所だけだ! 他は全く似てないだろう?」

「あるよ! ちゃんとボクにだって胸はあるんだからね!」

「よし、そこまで言うなら見せてみろ! ちゃんと胸があったら謝罪でも何でもしてやるよ!」

「いいよ、その代わりその時はちゃんと謝ってもら……」

「ダメよ、アーシア!」

「ハッ! ボクは何を?!」

「チッ……」


 ティアの一言で気がついた様だった。


「恐ろしいですわ……アーシアまで毒牙にかかる所でしたわ」

「おっぱいの錬金術師恐るべき……なの」


 こんなに紳士なのに何故変態扱いをされねばならんのだ! 解せぬ……


「うむ、錬金術師なのかは置いておいて、料理が美味しいのは事実であるな。ブラスくん、もし記憶が戻らなければ、このまま吾輩の家の専属料理人になるのはどうであるか?」

「そうね、ニーナとベルも良く懐いているようだし、どうかしら?」


 リリスとチャムが焦った様子で此方を見ているが、専属なんて束縛されるのは嫌だ。

 それに女神に頼まれている事もあるし、この世界をもっと見てみたい。


「今の所そんな気は無いよ、束縛されるのはゴメンだ」

「そうであるか、残念である……しかし諦めては居ないであるぞ! 吾輩は我儘であるからな!」

「そうよね、『今の所は』ですものね」


 おっさんの我儘もだが、リサさんも割りと前向きな性格をしているな。

 リリスとチャムは安心した様子で片付けを始めていた。

 俺は先程乾かしておいたレモンの皮を瓶に詰めてオリーブオイルで漬け込んでおく、これで二週間もすればレモンオイルが完成する! 料理のレパートリーが広がるな。


「ブラス様、この鍋はもう洗ってもよろしいのですか?」


 食事の間、ずっとチーズを取った後の乳清にレモンをまた絞って放置しておいたのだが、また小さなチーズが出来ていた。


「まだチーズが取れる……なの?」

「これはリコッタチーズと言って、二度目に取れるチーズだな、量は少ないがこれも立派な食材だ」

「残った透明な液体は捨てる……なの?」

「そうだな、ホエーには栄養は沢山残っているんだが、飲んでも美味しくは無いしな……化粧水とかにも使えるが微妙だしな……」

「化粧水……なの?」

「あぁ、肌に塗れば肌が瑞々しくて綺麗になる効果があるらしいけど……」


 そこでアーシアとセシリアにガシッと肩を掴まれた


「ブラス、もしかしてだけどその手に持っている瓶は何なのかな?」

「これはレモンオイルって言って、食べ物にかけると良い匂いがする物だな」

「それも美容に関係がありますの?」

「え? あぁ、これも肌に塗れば保湿効果があって肌が綺麗になる……んだ……が……?」


 え? あれ? 女性陣の目が怖いんだけど、俺何かした?


「ブラスさん、そのホエーとか言うの捨てたりはしませんわね?」

「えーっと、持って行こう……か?」

「当然ですわ!」

「それを捨てるなんてとんでもない!」


 結局、ホエーは化粧水として持っていく事になり、レモンオイルも取り上げられてしまった。


「とりあえずパッチテストはしておこう」

「パッチテストって何?」

「化粧水が肌に合うかどうか確かめるんだよ、人によっては体質が合わなくて逆に肌が荒れる人も居るから、事前に調べるんだ」

「それは重要ですわね」


 一人一人、腕の内側にチョンっと手作りの化粧水を付けて包帯で巻いておく。

 首元や胸元やお腹などもテストしようとしたら、アーシアとセシリアに殴られてしまった。

 親切でやってるのに殴られるとは……解せぬ。


「言われた所は全部同じように包帯巻いたよ」

「これでしばらく放置して問題なければ使えるよ、太陽の光に当たると肌が荒れやすいから馬車の中の日陰で夜まで過ごすんだぞ」

「夜が楽しみだね」

「こんな物まで作るなんて……ブラスはどこまでもおっぱいをしゃぶり尽くすつもり……なの」

「一滴も無駄にしないブラスさんはどこまでも変態ですわね」

「あら? ベルどうしたの?」

「かゆいー」


 そう言って急にホーリーベルが掻きむしり始めた。

 ホーリーベルには合わなかったかぁ、敏感肌なんだな。


「ベル、包帯取って拭いてあげるから此方来い」


 ベルの包帯を取ると、皮膚が赤くなっていた、濡らしたタオルで拭き取ってかきむしらないように包帯で巻いておく


「よし、しばらくの我慢だ、掻き毟ったら治るの遅くなるから我慢するんだぞ」


 そう言ってホーリーベルの頭をなでてやる。


「ブラスって子供には優しいんだね」

「何でだよ! 俺は誰にでも優しいだろう!」

「うふふ、そうよね、ブラスさんはいつも優しいわ」


 俺の理解者はリサさんだけだ

 そんなやり取りをしながら次の野営場所まで馬車を進めた。




 ────




 何回かホーリーベルが痒みを訴える度に体を拭いてあげて包帯を取り替えていたのだが、目的地に付く頃には痒みは落ち着いた様子だった。

 夕食はベシャメルソースを仕込んであるので、シチューを作り済ませた。


「それじゃブラス、水浴びしてくるけど覗かないでよ」

「何度も言うけど……」

「理解ってますわ! 化粧水が使えるのは今日と明日だけ、レモンオイルは薄く伸ばすように使うのですわね」

「それじゃ行ってくるよ」


 女性陣は化粧水とレモンオイルを持って皆で水浴びに行ってしまった。


「ブラスくんのおかげで皆喜んでいるであるな」

「アレは脅迫と言うんじゃないのか?」

「結果オーライなのであるな」

「それで、この旅はまだかかるのか?」


 俺が此方に来てもう三日目だ、目的地までどれぐらいあるのかわからないので聞いてみたのだが。


「もうすぐ半分なのである、このまま順調ならばあと四日から七日ほどであるな、天気は気まぐれであるからな」

「そうか、街に着いたらどうするか決めないとな」

「料理人は募集しているのであるぞ?」

「考えとくよ」


 路銀も必要だろうし、女神の事もあるし、リリス達魔族の事も保留にしたままだ。

 先の事なんて理解らないが、街に着くまでには決めないといけない

 ぼんやりと考えていると女性陣が戻ってきた。

 その瞬間、むんずっと掴まれた。

 あ、しまった油断した!


「次は吾輩達も水を浴びるのである」

「やめろぉぉぉぉぉ! 俺は一人でも大丈夫なんだぁぁぁぁ」




 ────




 また綺麗に洗われてしまった、もうお婿に行けない シクシク。

 女性陣は化粧水とレモンオイルの効果をワイワイと話し合っていた。


「凄いねブラス! いつも水を浴びた後は肌が乾燥する感じだったけど、潤っている気がするよ」

「まだ未完成って言ってたレモンオイルでも良い香りがしましたわ」


 今まで肌のケアをしてなかったのなら最初は凄く効果出るだろうなぁ


「付けるのは夜だけだぞ、それを付けて日光に浴びると有害だからな」


 手作りの化粧水を付けて日光に浴びたらシミの原因になってしまうので口を酸っぱくして言っておく。

 すると、ニーナとホーリーベルが袖を引っ張ってきた。

 あぁ、またお話の続きが聞きたいんだな


「よし、んじゃ今日は昨日の続きで『七人の悪魔勇者』の話だ」

「ブラス! 魔族にも勇者が居るの?」




 ────




 そのまま順調に旅が進んで、更にニ日が経過した。


「明後日には街に到着しそうであるな」

「ブラスさんの食事がもう食べられなくなると思うと少し残念ですわね」

「食事だけは認めてあげますわ!」

「ねぇ、ティア見てよ! 最近体の調子も良い感じだし、肌もなんだか綺麗なんだ」

「そうね、レモンオイルは凄く良かったわね」

「うむ、ブラスくんは街に着いたらどうするか決まったのであるか?」


 実は全く決まっていない。

 旅の間この世界の事を色々聞いたり、アリシアに魔法を教わったりしていたのだが、判断材料が無いまま決め兼ねていた。

 少しの間ならおっさんの所で料理しても良いかなっとも思い始めていたのだが。


「まだ迷ってる」

「うむ、しかし何をするにしてもお金は必要である、しばらくは吾輩の所で料理人をしても良いと思うのであるが?」

「ブラス、うちに来るのー?」

「あらまぁ、家族が増えるわね」

「増えねぇよ!」

「ではそろそろ出発するのである」


 馬車を走らせようとしたその時……


「探したぜ!」

「むぅ! また性懲りもなく現れたであるな!」


 そこに現れたのは目付きの悪い生意気そうな青年の男であった。


「お前は、ヴァッカ!」


 アーシアの知り合いだろうか? 何か緊迫した雰囲気だが。

 こっそりとセシリアとティアに聞いてみた。


「あいつ誰? アーシア達の知り合い?」

「あの男はヴァッカ、通称【腐蝕の勇者】ですわ」

ごま油を使えば中華ぽく

香草オイルを使えばイタリアンぽくなります

ブラスが作ればなんだってハレンチ料理になってしまいますね。


腐蝕の勇者が登場しました。

戦闘回とか苦手なので勘弁してほしいのですが……


ブクマしてくださりありがとうございます。

ブクマが増えたりすると励みになります。

じっくりと頑張っていきたいと思いますので、これからもお付き合いください。

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