26話 意外な効能
全部精米するのにはまあまあ時間がかかって、もう日は落ちかけている。
とりあえず、シノさんに言われていた通り、食堂へ向かう。
食堂は王城の中ということを考えると相応に広く、大きなシャンデリアで照らされていた。
シノさん、エルさん、エリカ、シレン、そしてカミノとカナメが席についていた。
私たちも空いている席に座ると、メイドさんが料理を持ってきてくれた。
食堂の奥には厨房があるらしく、そこから持ってきてくれているみたいだ。
席には、ご飯にスープ、そして根菜?のサラダ。
「ミカがお米を育ててくれたわ。みんなで食べましょう」
軽い挨拶のようなものをシノさんがし終えると、みんな料理を食べ始めた。
いただきます、と手を合わせると、向かいの席にいたカミノも手を合わせた。
カミノの母親は日本人なのかも知れない。いつかは会ってみたいな。
ご飯を最初に食べたエルさんは、結構驚いたような表情をしている。
他の人も食べると表情が変わった。
そんなにまずかったの?
すると、カミノが口を開いた。
「なんか、身体が軽くなったような」
「そうね。充足感があるわ」
そうなの?
私もひとくち食べてみる。
うーん、あまり美味しいお米ではないかな。
別に充足感も無い。
「そう?」
「本当ですね! やっぱりミカさんが作った作物は他と違うのかも知れません」
確かトマト食べたときもそんなことを言っていたような……。
「これが『勇者』の力か。ありがとう、ミカ」
エルさんは感極まっているね。嬉しそうにご飯を食べている。
いやぁ、私はそんなこと無いんだけど……。
苦い表情を保っていると、ルリが、
「もしかしたら、本人には効果がないのかも知れません。そういうスキルって結構多いですから」
なるほど? 私が育てた作物にスキルの影響はあるんだけど、その恩恵を私は受けられないと。
「この漲るような力を、君のスキルは与えるのか」
エリカが私に言った。
実感がわかないのも仕方がない。私はその体験をしていないのだから。
食事を終えると、シノさんが話がしたいと言って、私を食堂から出した。
「あなたが育てた作物は、冷夏にも強いの?」
多分?
「ルリ、そうなの?」
「はい。普通に育てたら、お米だって厳しいですよ」
ルリが言うなら。
「そうしたら、これも、育ててくれる?」
何処からとも無く現れる木箱。シノさんも『収納』を使えるんだね。
「これは?」
豆っぽい種だけど。
「大豆よ」
おお〜。最強じゃん。
煎って良し、煮て良し、揚げて良し、発酵させて良し、の最強作物だね。
あ〜絹豆腐に醤油かけて食べたい。
「やります!」
納豆は厳しいかも知れないけど、大豆があったらいいよね。
醤油って作れないかな?
「快い返事をありがとう」
これは楽しみです。
「あ、これ、渡しておきます。次はもっと持ってこれるようにしますね」
私もお米の入った木箱を渡した。
そして、大豆の箱も『収納』っと。
「じゃあ、帰りますか。ミカさん」
「そうだね。シノさん、また来ます」
「ええ。気をつけて」
シノさんに見送られながら、私たちは楽しい帰路に着くのだった。




