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NPCギルド創設

 人間のプレイヤー達の実力は上がって来ている。課金による強化だけじゃなく、このゲーム自体に慣れ始めているし、レベルだってアップしているようだ。

 もうそろそろNPC達がそれぞれのパーティだけで対抗するのは厳しくなって来ているのじゃないだろうか?

 そして、ずっと考えて来たそれに対する“打開策”が、課金プレイヤーとの戦いで見えたような気が僕はしていたのだった。

 

 「――協力をし合わないか?」

 

 そう僕が言うと、そのパーティのリーダーの魔法剣士は他の仲間達と顔を見合わせた。僕は続ける。

 「あんたらだって気付いているのだろう? どんどん人間のプレイヤー達は強くなっている。僕らを面白半分に狩る連中だって増えて来ている。課金で強くなれない僕らは、いずれは連中に狩り尽くされるぞ。

 ……だから、協力し合ってあいつらに対抗するんだよ」

 僕の言葉を受けると、再び魔法剣士は仲間と顔を見合わせた。少しの間の後で口を開く。

 「どうお前らを信用すれば良い?」

 僕は肩を竦める。

 「もし本気じゃなかったら、こんなに強力な武器を提供するわけがないだろう? 敵を強くしちまう」

 もちろん、僕が言っている強力な武器とは“風神の剣”の事だ。魔法剣士は風神の剣を持って軽く眺める。きっと能力を調べている。

 「提供って言うがな、確りアイテムを要求して来たじゃないか」

 後ろを親指で示して、「その武器を持っていた人間のプレイヤーを協力して倒した仲間が無料じゃ納得しなかったんだよ」と僕は言う。

 視界には入らなかったが、きっとキサラは僕を睨んでいるだろう。

 「その“風神の剣”の威力を知れば納得するさ。文字通り僕らは死にかけたんだ。多少は報酬がなくちゃやってられない。普通に考えれば、充分にお得な取引だと思うぜ?」

 「確かにステータスを見る限りでは、優秀な武器のようだが……」

 魔法剣士は「うーん」と考え込む。

 この魔法剣士のリーダーは、実力者の一人と目されているだけではなく、顔もかなり広い。もし協力を得られれば、NPC達に話をかなり通し易くなる。

 だから僕は声をかけたのだ。

 彼らのパーティが根城にしている森を知っていたから、会いに行きやすかったてのもあるけど。

 僕はこの辺り一帯のNPC達を一か所に集める計画を立てていた。つまり、NPCギルド…… のようなものを創設するのだ。皆が集まれば、武具やアイテムの交換もできるようになるし、何より人間のプレイヤー達が攻めて来ても協力して撃退できる。

 まだ魔法剣士のリーダーは悩んでいるようだった。僕は業を煮やして口を開く。

 「あんた、顔が広いんだろう? ここ最近でどれくらいのNPCが人間のプレイヤーに狩られた?」

 ピクリと彼は反応する。しかし、大きな反応はなかった。仕方ないと僕は魔力回復の実を差し出しながら言った。

 「その風神の剣を少し使ってみてくれ」

 そう言いながら、僕は周りの皆に離れるように指示を出した。僕も離れる。怪訝そうな感じではあったが、彼はそれを受けると風神の剣を手に取った。魔力を込める。その瞬間、風が唸って彼の周囲を回り始めた。彼は驚きを隠せなかったようだ。

 「おお! ……これは!」

 そう感嘆の声を上げる。

 「残念ながらそれしかドロップしなかったが、その風神の剣を装備していたプレイヤーは他にも強力な武器を持っていた。

 断っておくが、そんな武器はまだまだ序の口だと思うぜ? 運営は金を稼ぐ為にもっと強力な武器を制作して、人間のプレイヤー達に売りつけるはずだ」

 このゲームの運営は、課金するプレイヤーにはどんどんサービスをしまくるタイプのようだからそれはほぼ確実だろう。

 竜巻を治めると、魔法剣士は「なるほどな……」と呟いた。

 これから強力な武器を持って攻めて来るだろう課金プレイヤー達の“ヤバさ”をどうやら実感してくれたようだ。

 「お前の理屈は分かった」と彼は僕が渡した魔力回復の実を懐に仕舞いながら言った。どうやら風神の剣で消費した分の魔力の回復は時間に任せて、実の方は取っておくつもりらしい。“使えよ……”と、思わず心の中で僕はツッコミを入れてしまった。意外にせこい奴なのかもしれない。

 「俺の方からも皆に声をかけてみよう。課金プレイヤーを倒したら、こんな武器が手に入ると分かれば、やる気になる奴らも多いだろうしな」

 「お願いする」と言って僕は彼と握手を交わした。

 とにもかくにも、そうしてNPCギルド創設プロジェクトは動き始めたのだった。


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