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-嫉妬-

 鏡の中は無の世界。

 心を持たぬ者の世界。

 喜びも。

 悲しみも。

 苦しみも

 何も存在しない無。


『ねぇ、あなたはどう思う?』


 あなたは誰?

 あなたは私?

 だったら私は誰?

 

『でも、もう一年も経ったのね……あなたは覚えてるわよね? 和輝と初めて会った日の事を』


 僅かに残る記憶。

 私は和輝を知っている。

 でも思い出せない。

 なぜ。

 大切な事の筈なのに。


『最初はちょっと軽い人だなって思ったでしょ? 私もそうなのよ……でも、お付き合いすると違ったのよね……優しくて、暖かくて……本当にあなたは幸せ者よ』


 私は幸せ者?

 違う。

 幸せなのはあなた。

 私ではないあなただけ。


『よし! これに決めた! じゃあ明日は楽しんでくるわね……帰ってきたらいっぱいお話を聞かせてあげるから、あなたはここで待ってるのよ』


 なぜ私は行けないの?

 なぜあなただけが幸せになるの?

 なぜ私に話しかけた。

 なぜ私に見せつける。


 心境が伝って来ない。

 心耳を澄ましてみても。

 心眼を凝らしてみても。

 心意は分からない。

 心火ばかりが募る私が。

 心願する事はただ一つ。


 …………。

 …………。


 私はあなたと入れ替わりたい……。




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