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アオハル of the Dead End! ~平凡女子高生、顔面チートで頭赤ちゃんな超雑男子とラブコメ(ほぼコメ)する~  作者: 節トキ
LESSON 14 誕生日を祝われよう!

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14-6 すまない、B地区ピンクの奴は帰ってくれないか!?


 廊下から三列目の最後尾の席に、その人――城咲さんはいた。


 椅子に座ってただスマホを眺めてるだけなのに、優雅に読書するご令嬢みたいだ。今にも老齢の執事が現れて、お紅茶でも出してきそうだよ。


 声をかけるのも憚られる雰囲気だったけれど、私はそっと彼女に近付いた。



「城咲さん、何してんの?」


「きゃっ!? 何だ、柊さんじゃない。驚かせないでよ」



 城咲さんは制服の胸を押さえて、大きく息を吐いた。


 咄嗟にきゃっなんて言えるの、羨ましい……と思いつつ、彼女の机に両手を乗せてしゃがみ込む。



「どうしてるかなーって気になって。有瀬くんと一緒に来るもんだと思ってたのに、全然顔見せないんだもん」


「だって、今日は留佳使い放題でしょ? 私がいたら、やりにくいことだってあるじゃない?」


「使い放題とか、スマホのギガプランみたいな言い方するんじゃないよ。やりにくいことって、アンとかヤンとか?」


「そう、アンとかヤンとか。もしかして、まだしてないの?」



 城咲さんがやってない方がおかしいとでも言いたげに眉をひそめる。



「するわけないじゃん……私、今日十六になったばっかなんだよ? フシダラ、ダメ、絶対」


「柊さんって欲がないのねぇ……せっかくのチャンスなんだから、留佳の留佳なチソチソとたまたまを拝ませてもらったらいいじゃないの」



 こ、こやつ、麗しいお口から、何とお下劣な単語を吐くんだ!



「おおお拝まないよ! 誕生日が真っ暗暗黒な黒歴史になっちゃうじゃん!」


「拝むか? 脱ぐか?」



 隣で一緒に屈んでいた有瀬くんがベルトに手をやる。



「はい、そこ! いらん突っ込み入れない! 拝まないから脱がなくてよろしい!」


「さすがにここではね……独り占めできないものね」


「そういう問題じゃないよ!? いつでもどこでも拝まないっつってんでしょーが!」


「俺はいつでもどこでもオッケーだ」


「有瀬くんの意気込みは聞いてないからね!? 今日に限っては私の意見が尊重されるべきなんだからね!?」



 ああ、ダメだ。変と雑に流されてこんなくだらない会話続けてたら、伝えたいことを伝えそびれちゃう。



「ねえ城咲さん、ランチも有瀬くんと二人きりにしようとしてる?」



 無駄話を無理矢理打ち切って、私は尋ねてみた。



「ええ、もちろん」



 城咲さんがさも当然のように答える。



「わかった。有瀬くん、次のお願いはランチに城咲さんも連れてくることにするからよろしくね」


「わかった。よろしくする」


「ちょっと、二人きりじゃなくていいの? 拝み放題よ?」



 有瀬くんの了解に被せて、城咲さんが反論する。私は立ち上がってぐっと顔を寄せた。



「ランチは三人でしたいの。三人がいいの。卵焼きもまた作ってきたんだから、ちゃんと食べてよね。それと、何度も言ってるけど拝みません! 城咲さんも友達なら、一つくらい私のお願い聞いてくれてもいいんじゃない!?」



 城咲さんは呆然と私を見つめていたけれど、ふっと表情を緩ませて笑った。



「ふふっ、た、卵焼きがあるなら仕方ないわね。わかったわ、今日もいつもの場所でね。友達……ふふふ、そうよね、友達、私と柊さんは友達だものね……うふふふふ」



 何か変なスイッチ入っちゃったみたいけど、取り敢えず目的は達成した。


 何となくの気分で有瀬くんとハイタッチしてから、私はいそいそと五組の教室を出た。無駄に騒ぎすぎたせいで、皆の視線が痛かったので。私が騒いだせいだけでもないんだろうけど。きっと恒例の美形鑑賞会が開催されてたせいだと思うけど。


 どちらにせよ、私のような下界の民がお邪魔してすみませんでした!



「柊さん、ちょっといい?」



 が、教室を出てすぐ、自分のシマに逃げ帰ろうとしていた私を呼び止めた女子がいた。正確には、女子達だ。


 あ、この人達、見たことある。トイレとか廊下とか昇降口とかトイレとかトイレとかで絡んできて、茉絢に乗せられてクセ強アク濃な乙女ゲームを買った子達だ。


 他のオススメも聞きに来たくらいだから、ゲームには満足してたと思うんだけど……。



「ええと、何だろ?」

「いいから、来て」



 数人の女子達に囲まれる形で連れられたのは、やっぱりトイレだった。


 えぇ……も、もしかして、有瀬くんと二人でいるとこ見られたせいで、原点回帰しちゃった?


 わ、私、ついにいじめられちゃうの!?



「あの……」



 殺虫スプレーアタックを想像して涙目になっていると、壁を背にした私を半円状に囲んだ女子達が一斉に頭を下げた。



「柊さん、お願い! お尻見せて!」


「…………何て?」



 唐突すぎて、涙も止まった。


 お尻? お尻って、人体の背中下、足の延長線上にある、あのお尻?


 そして見物を要求されてるのは、私の、このお尻……?


 理解に至るや、堰き止められていた涙がドバーっと一気に溢れた。


 怖っ!!

 この人達、いじめの中でも最大級の犯罪『裸にして体の欠点を指摘しまくってやろう会』を開催しようとしてるの!?


 やだやだ、無理無理!

 おへその形はまあまあだと思うけどお腹はぽよんぽよんだし、胸だって大してないし、B地区の色にも自信ないし、背中とか肩甲骨周りとかじっくり見たことないし、お尻のことなんて気にしたこともなかったのに!

 自分でも見たことない部分までじっくり観察されてあれこれ指摘されるの!?

 私、今からそんな地獄みたいな辱めを受けなきゃならないの!?



「な、泣かないで、柊さん。はいハンカチ」


「ご、ごめんね? いきなりすぎたよね?」


「わけを話すから、ちょっと落ち着こか? ね?」



 女子達全員にヨシヨシごめんごめんナデナデと慰められながら、私はボロ泣き状態でとにかく話を聞いた。


 彼女達がこんな恐ろしいことを言い出した原因は、案の定、有瀬くんだった。


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