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イヴァレックスの装甲を身に纏った一ノ瀬ユウ。
ファントム・アイの装甲を身に纏ったヨア・ゲーアハルト。
その二人に挟まれるような形となった二体のクロガラス。
見渡す限りの木々に囲まれた旋毛の森は夕暮れ、既に鬱蒼とした森には真の暗闇が訪れようとしている。
唯一の光は、イヴァレックスとファントム・アイの光を放つ四つの眼だけになっていた。
「ククク……。先ほどは不意を突かれたが、今度はそうはいかぬぞ……!」
「残り時間はあと数時間……。夜が訪れるこの広大な森で我らを探し出すのは至難の業……いや、不可能だ!」
自信満々に告げるクロガラス達の身体は、既に夜闇に溶け始めていた。
しかしヨアは右手に持った拳銃をクロガラスに向けると、言い放つ。
「随分と自信がありそうだけどさ。……キミ達とかくれんぼをするつもりはないよ。決着はここでつける」
「ククククッ! 甘いな人間! 貴様らがどう言おうと……」
「我らを捉えることは出来ぬわァァッ!!」
そう言ってクロガラス達は低く体勢を取ると……左右に分かれて一斉に駆け出す!
それはまさに韋駄天。ただでさえ見えづらい夕闇の中に、その姿はまるで風のようにこの場から消え――
バァン!
バァン!
「ぐあッ!?」
「ひィッ!?」
二発の銃声。
倒れ込む二匹のクロガラス。
硝煙をあげる、ヨアの持つ拳銃。
「……言ったでしょ?かくれんぼをするつもりはないって。もう分かったよね、ボクの眼は……キミ達を完全に捉えられるんだよ」
ファントム・アイのスコープがオレンジ色に発光し、倒れ込んだ二体のクロガラスの方を見据えていた。
「……なんか、怖いなヨア」
(ちょっとした事でも敵に回したくねータイプだなー……。逃げるのに苦労しそうだぜ)
「ユウ、ラゼ!なにやってるの、ほら、早くファントムフォームになって!」
「は……はいいっ!」
ユウはおっかなびっくりといった様子でリンクカードを取り出すと、シルブレスにそれを差し込んだ。
尻尾のレバーを倒し、そしてラゼの声が高らかに告げる。
『 幻視穿界!! シルバーフレーム…… イヴァレックス!! ファントムフォーム!! 』
「な……なんだ、あれは……!」
「フレームの装甲が変化した……ッ!?き、聞いたことがないぞ……!」
イヴァレックスのゴツゴツとした鎧のような装甲が、小ぶりで細い紫色の装甲へと変わった事にクロガラス達は驚愕した。
ヨアと同じ、オレンジのスコープを身につけ武器である大型銃を肩に構えたユウは自信満々に指を突き立てた。
「おっしゃあ!かくれんぼはもう終わりだ!俺の眼は、お前らを完全に捉えられるんだぜ!」
「……それ、ボクがさっきそっくり同じ台詞言ったんだけど」
「……あれ、そうだっけ?えーと、じゃあ……なんて言って決めようかな……」
「別に決める必要ないと思うんだけど」
ユウとヨアが言い合っている間に、倒れ込んでいたクロガラスはゆっくりと起き上がる。
もう一度、この場から逃げだそうと距離を取るために後退するが――。
バァン!!
今度はイヴァレックス・ファントムフォームの銃が呻りを上げた。
光弾が、クロガラスの足元の地面を抉る。
「逃げだそうったって無駄だぜ。そんな隙を、この眼が見過ごすわけないだろ」
「あー、なんだよ。ボクがそういうの言いたかったのに」
「別にいいじゃん!ずっとヨアが決めてたんだし、俺にもやらせてくれよ」
また言い合いを始める二人は余裕たっぷりのように見える。
そんな二人の様子を見ていたクロガラス達はわなわなと震え、黒い蓑の中に両手を入れた。
そしてそれを再び外に出すと……出てきたのは、かぎ爪のような形をした手に装着をする金属の刃だった。
三本の細く鋭い爪が両手に装備され、それを構えて体勢を低くとる。
「き……貴様らァ……。もう許さんぞぉぉ……!」
「我らを侮辱した罪、命で償ってもらおうかぁぁ……!フレームシステムごとき、我らを見ることはできても戦いで追いつくことはできぬぞぉぉ……!!」
完全に戦闘態勢をとった二体のクロガラス。
言い合いをしていたイヴァレックスとファントム・アイはその様子を見ると――。
クロガラスの方へと向き直り、二つの銃を構えた。
「じゃ、始めようぜ」
「宝探しゲームでも、かくれんぼでもない……。戦いで、決着をつけよう!」
そして、クロガラスに向けて勢いよく二人はかけ出した!
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