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私達、婚約破棄しましょう  作者: 若狭巴


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忘れた記憶



「もし、見つけたら合図を送ります」


「ああ。頼む」


二人はそれを最後に自分が選んだ道を進んでいく。


イフェイオンの進んだ道はずっと木に囲われていた。


同じ景色で本当に進んでいるのか不安になるほどだ。


魔法で同じ道をずっと歩かされているのではと警戒し始めると、少し前に山小屋があるのを見つけた。


魔法で遮断された場所に山小屋が建てられているのは不思議だが、もしかしたらエニシダがいるかもしれないと思うと無意識に走り出してしまう。


だがそれは扉の前まできてないとわかった。


中から人の気配がしない。


期待した分、山小屋にエニシダがいないとわかると落胆してしまう。


イフェイオンはそのまま立ち去ろうとするか扉が開いた。


風も吹いていないのに勝手に開いた。


魔力は感じなかった。


ただの偶然かと思いながらも気になってしまい警戒しながら中へと足を踏み入れた。


中に入ってすぐに警戒する必要などなかったとわかった。


警戒をときながらイフェイオンは小屋の中を見渡す。


隅々まで探すが特に何もないが、小屋の大きさと比べたら何かがおかしい。


隠し部屋でもあるのかと壁を軽く叩く。


イフェイオンの予想通り、一ヶ所だけ叩いとき違う音が鳴った。


隠し部屋を開けるための仕掛けを見つけ作動させると扉が開いた。


イフェイオンはその部屋に入るとすぐに大量の絵が目に入った。


ほとんどの絵には女性が描かれていたが、唯一描かれていない白い花畑に目を奪われた。


貴族として絵の嗜みは当然小さい頃からするべきものだが、戦場ばかりいたイフェイオンには目の前の絵がいいものなのか区別できなかった。


ただ個人の感想としては「綺麗な絵だな」と目を奪われた。


それとは別に何故か妙に目を奪われた。


知らない景色なのに知っているかのような錯覚をした。


他の絵も気になり、イフェイオンは隠れている絵も引っ張り出して見る。


女性が描かれていない絵だけを集めた。


その絵に描かれている景色も初めて見るのに、何故か知っている感覚に襲われた。


見たことはない。


それなら何故知っているのだ?


誰かからこの景色のことを聞いたのか?


誰からこの景色の話を聞いたのか思い出そうとイフェイオンは自分の記憶を遡った。


だが、ほとんどの人生を戦場で過ごしたため、戦場での記憶ばかりを思い出してしまう。


戦場ではいつも部下と戦略の話ばかりしていたので、間違いなく彼らとした話ではない。


違う人との記憶を思い出そうとしだが、その前に自分にこんなことを話す人物は誰がいるかを思い浮かべる。


一番は最初に浮かんだのは貴族だった。


適当に出た社交界で彼らはいつも自慢話をしていた。


どの景色が美しいと言う話もしていた気がするので可能性はあると思うが、なんとなく違うと思った。


家族の可能性も考えたが、父親とは仕事の話、母親は基本リナリアの話をして、たまに魔族との戦のことを聞いてきたくらいだ。


妹のエリカとはあまり話さなかった。


小さい頃は話した記憶もあるが、戦場に出てからは基本話していない。


挨拶はしたが、会話らしい会話をした記憶がない。


家族でないなら次に可能性があるのはリナリアだが、彼女のことを思い出すだけで腹が立つので、きっとこの記憶は彼女とのものではないとわかった。


そうなると残った可能性はエニシダだけだった。


ただ、イフェイオンは彼女との会話は基本全て覚えている。


どんな話をしたか、彼女は何が好きで、どんな時に笑ったのかを鮮明に覚えている。


唯一、覚えていないのは彼女が好きな本を話したときのことだけだった。


だが、それは関係ないだろうと思ったそのとき、この街は小説の舞台になった街だというユリウスの言葉を思い出した。


イフェイオンはもう一度絵を見る。


今度は風景だけの絵ではなく、女性が描かれた絵も見た。


ある一つの絵、他の絵とは少し違った描き方をしているのが素人でもわかる絵だった。


その絵は幸せそうな女性の絵でなく、泣いている絵だった。


男性は女性に膝枕をしてもらい幸せそうに目を閉じている。


二人の表情が真逆に描かれていた。


その絵を見て、どんな絵か理解した瞬間、イフェイオンは忘れてしまっていたエニシダとの会話を思い出した。


本のタイトルも内容も全て、さっきまでした会話のように思い出せた。

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