董卓軍独立部隊「新選組」
「・・・・ごめん。詠もう一度言ってくれる?」
「だから、あなたに一個師団を任せようと思っているのよ」
詠の言葉に俺は驚いてしまい言葉を失う。いやそれはそうだろう数か月前までただの学生でそして今は警察組織のトップ。
そして今、一個師団の師団長。つまり約一万から二万の軍隊の責任者。軍の将官になろうとしている
だが、なぜ急に詠がこんな話を切り出したのかが分からなかった。俺は彼女に訊いてみることにした
「詠。今の俺は警邏の隊長だぞ?なんでまた急に軍隊を着けようと?」
そう言うと詠は
「あんたのその来ている服・・・・聞けば天の国の軍。しかも将軍が着ている服なのよね恋から聞いたわ」
と、俺の着ている九八式軍衣を指してそう言う。確かに俺の着ている服は昔、祖父ちゃんが旧日本軍時代に来ていた服で階級も陸軍中将の奴だ。だから将軍が着ていたというのもあながち間違いはない
「まあ、80年以上昔の軍服だけどね?それがどうかしたの?・・・・」
「仮にも天の御使いであり、そして将軍服着ている人物が警邏隊の隊長どまりじゃ示しがつかないというか格好がつかないのよ」
「なるほど・・・・・で、正直に言うと?」
俺が少し笑って言うと詠は少し気まずそうに
「実はあんたが渡した案を実施することに決めたのよ。でも警邏隊はあくまで町の治安維持を目的した組織だし・・・・・それに最近あんたのところに入隊してきた馬鈞て子。聞けば銃を生産できるみたいじゃない。だから・・・」
「なるほど、銃なんかの近代兵器を所持する実験部隊として一個師団を俺に任せたい・・・と?」
「ええ。あなた前に言っていたじゃない。『銃を所持するのなら俺の部隊で』て」
「確かに言ったな・・・・それで一個師団と言っても何人だ?」
「引き受けてくれるの?」
「案を出したのは俺だ断る理由はない。むろん斗志たちにも相談する。だが実験部隊なら師団じゃなくて一個大隊の方がちょうどいいと思う。兵站への負荷も少なくかつ戦力の最低限の単位だ。実験部隊から始めるにはちょうどいい数だと思うよ。それで詠。実験部隊の運営はあえて言うなら平時は警邏隊、戦の時は軍隊という認識で構わないか?」
「ええ。簡潔に言えばそうよ。じゃあ実験部隊の件お願いできる?」
「ああ。何とかやってみせるよ」
警邏隊室
「一個大隊の責任者ですか・・・・・・」
「ああ、急な話で済まない誠華。警邏の件でも忙しいのにな」
俺は警邏室に戻った後、誠華たちに詠に一個大隊の指揮官を任せられること、そして実験部隊としての運用を任せられることを彼女たちに話すと
「いえ、私たちも警邏隊士が増えるのはいいことですし、何より隊長が着任される前の警邏隊も族とかの討伐のため戦地に行くことが多かったので大して問題はありません。むしろ喜ばしいほどです」
「そうっすよ。それ以前に隊長がせっかく将軍になれる機会を何で大隊規模の隊長にしたんすか~もったいないっすよ~」
「不満なところそれか桜花?まあ一個師団は多すぎるうえ、今の幹部の人数では運用も大変だ。まずは大隊規模なら何とかなると思ったんだが?」
現在吹雪隊の幹部は俺以下、誠華、桜花、雪風、蘭花(雪風の部下から幹部に昇格した)夕張だけだ。本当なら中隊規模にしたいところだが・・・・大隊でいいと言ったのは俺だし今更引き下げられない
「ぶ~ぶ~言うんじゃない桜花」
「けどよ斗志~」
ぶー垂れる桜花に誠華があきれ顔でそう話していると
「それで隊長。募集の件ですが、[天の御使い]の元で兵として働きたいものは集まれという広告でよろしいですか?」
姜維こと蘭花がそう訊く
「ああ。天の御使いというと胡散臭くなるそうだけどな」
「実際隊長は天の御使いじゃないっすか?」
「まあ・・・・そうなんだけどな?自覚はないけど。後、こう書き加えてくれ『出仕、身分問わず、あるのは実力と志だけ』と」
「分かりました」
「それで、夕張。銃の生産の方は?」
「まだよ。一応吹雪に借りた銃を参考にして私なりに作ってはいるけど、剣とか鎧とか勝手が違うから、もう少し研究させて。その代りつなぎの武器を作っているわ」
「そうか…まあそうだよな」
どっかのドワーフみたいに一日一丁作れるわけないもんな。うん。当たり前のことだけど
「ええ。できたとしても日に10丁が限界だから。だからごめんね」
「・・・・・できるんかい」
前言撤回、やっぱこの人ドリフターズのドワーフ並みにすごい
「それで隊長。部隊名はどうするんすか?」
「部隊名?」
「はい!沖田隊もいいかもしれませんがなんかこう・・・・もっとかっこいい名前とかがいいすよ」
「確かに桜花の言う通りね。噂では陳留の曹操には「虎豹騎」という精鋭部隊があります。我々も天の御使いの部隊ですので何か名前を付けた方がいいのでは」
「そうか・・・・そうだな」
俺は少し考え
「『新選組』・・・・・新選組っていうのはどうだ?」
「「「「新選組?」」」」
「隊長。何ですか新選組って?」
俺の言葉に皆は首を傾げ、雪風が訊くと
「幕末・・・・俺がいた国の約150年前に存在した最強の剣客集団の名前だよ」
「へ~天の国最強か・・・・・いいすねそれ!なんかかっこいいっす!」
「新選組・・・・・いいかもしれません」
まあ、そんなこんなで俺たちは実験部隊の隊士を募集することになった。
『出仕身分問わず、戦争では死と隣り合わせの危険な戦場で戦う兵士、平時は治安と平和を守る警邏隊士に!![天の御使い]の元で兵として働きたいものは集まれ!!いるのは志と実力のみ!来たれ新選組に!』
と、半ばプロパガンダ的な内容のポスターが張り巡らされ、そしてその噂は天水のみならず他のところにも出回り志願兵が次々に現れたのだが・・・・
「おい・・・これは予想外だぞ?募集をしてからまだ三日目だぞ?」
はじめは誰しも戦争なんかに進んで参加したくないだろうから集まっても数百人いけばいい所だろう、思ってしまったのが運の尽き
現実はこうはならなかった。
沖田吹雪の部隊、それは天の御使いの部隊、すなわち天軍である。天に仕えれば吉兆がある。しかも沖田率いる天水警邏隊は池田屋事件の件で有名になり猶更吉兆があるという噂話が広がり、ここら近辺の邑から総勢2千人以上が集まった
その志願書の書類の山のような多さを見て沖田は驚き、斗志らは選考資料に追われた
「大隊どころか1個連隊規模だ。ちょっと集まりすぎだな。月や詠も驚いていたしね」
「そうですね。しかも面接での志願理由も権力や名声とか目当てで来ているところもありますね・・・・・」
「こりゃ、少しふるい落とした方がいいっすよ。半端な実力や名声だけこだわって入ったら、無駄に命落とすだけっすよ」
書類を見て誠華と桜花がそう言う
「そうだな・・・・ここは試験をさせてみる必要があるな・・・・・」
俺はため息をつきながらも選考試験を始めた。確かに桜花の言う通り、名声や権力だけにつられただけの腕だったら今後生き抜くのは難しい。
よって面接から始めたのだが・・・・
志願した人たちの大半はやはり桜花たちの言う通り
「有名になりたい」
「権力を持つようになりたい」
とかの子が多く、中には家族を守るため、平和な時代を作りたいとかいう人はごく少数だった。中には親が権力者だの貴族だのでここに志願して幹部になるのが当然という奴までいた。
「(これは…最初の試験で結構落ちるやつ出るかもしれないな・・・・・)」
俺はそう思っていると
「隊長。訓示をお願いします」
「分かった・・・・・」
誠華の言葉に俺は席を立ち練兵場に行くと志願した二千人の人たちがいた
流石に2000人にもなるとそれだけでかなりの圧迫感だ。
周りの視線が俺と誠華に集中して、次第に辺りが静かになっていく。ある程度静かになったところ、俺が口を開いた
「諸君は新選組に志願した隊士希望の者である!今回君たちはまだ正式に隊士になっていない!いわば仮入隊である。正式に新選組に入隊するためには、13週間の入隊訓練を受けて貰う!この訓練を耐えきった方のみ、入隊が許可され新撰組隊士となる!訓練内容の詳細を明かすことは出来ないが極めて厳しいことだけ伝えておく」
俺の言葉を志願者たちは緊張し黙って見る
「それと俺から大事なことを伝えておく。この部隊では男女差別及び民族差別は一切厳禁とする!もし誰かの尊厳を尊重し敬意に接することができないのなら出ていくように。たとえどんな形であっても人を侮辱するような者は出ていけ。そんな人は部隊には必要ない!」
その言葉に皆の緊張はさらに高まり
「それでは君たちの教官を教える!」
「新撰組副長!李傕だ!君たちが無事に隊士に合格し、さらに新兵を卒業できるまで鍛える覚悟しておくように!!!!」
「郭汜だ!おめえらを一人前な隊士になるまでの間、共に地獄で鍛えるっすからよろしくっすよ!」
「「「「「「「応!!!」」」」」」
こうして新撰組隊士の選定試験が始まるのであった




