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改訂版。幽霊退治屋セリスと精霊ミモザちゃん。その1

皆様こんにちは。

私は公爵令嬢&幽霊退治を生業にしているセリス・フォン・カターニアと申します。


現在の年齢は・・・一応は花の15歳でございますが前世の記憶を持ち精神年齢が100歳オーバーのババア・・・お婆様令嬢でございます。


転生を管理されている方々がどこをどう血迷いトチ狂って間違えたのか知りませんがピアツェンツア王国のカターニア公爵家の長女として産まれました。


俗に言う所の「異世界から転生した公爵令嬢」と言うやつですね。

ですが残念ながら乙女ゲームのヒロインでもなく悪役令嬢ですらありませんでした。

ワンチャンやって見たかったです悪役令嬢。


でも、この世界で悪役令嬢なんぞやろうものなら断罪される前に龍やら魔王やら勇者やらに問答無用で轢き逃げされる未来が見えるので止めておきます。


轢き逃げとは何?と言われると文字通りの轢き逃げです。

ドドドドドドと人外達がやって来てプチっと踏まれて走り去られます。

無論、その後は放置されるのがお約束です。断罪される方が遥かにマシでございます。

それは嫌なので私は幽霊退治屋1本で行こうと思います。


そもそも乙女ゲームの悪役令嬢をやろうにもメインの攻略対象となるであろう王子様は現在8才です。攻略した時点で犯罪ですねぇ。

しかも私とは4親等の親戚です。私と王子様は再従兄弟になりますね。


一般家庭なら再従兄弟同士の結婚は問題ないのですがピアツェンツア王家の慣例において4親等までの近親婚は認められていません。

なので王子様と年齢が近い私の妹達も王子様の婚約者候補にすら上がりませんでした。

私達兄弟姉妹と王子様の子供達の代になってようやく結婚が出来る様になる訳です。


かなり厳格に近親婚が認められていない理由としては「王族には心身共に強い子が望まれている」からです。近親婚でのリスクを減らしたいんですね。

なので「王家の血統がぁ」とかの拘りは王家の人達にはあんまりありません。


それより産まれる子供の体質強化の為になら異種族・・・例えばエルフさんの血も過去に王家の血筋に受け入れてます。

実の所、私もワンシックスティーンス・エルフ(曽祖母がエルフさん)だったりするんですね~。

王族の親戚だと言う事よりエルフの血を受け継いでいる事が私の密かな自慢なのです。えへん!(セリス独特の色の少しシルバー混じりのハニーブロンドは、そのエルフな曽祖母譲り)


だってエルフだよエルフ。凄くね?

そのおかげなのか現在まで私は赤ん坊の頃から一度も風邪をひいた事がないんだそうです。




☆セリスが病気をしないのには理由があってセリスは産まれた時に母バーバラ夫人から闇の精霊王(月の精霊王もしくは安産の神様と呼ばれている存在)の加護を受け継ぎ病魔を弾くセリス固有のパッシブスキルがあるからです。

現在は更に霊視さんαとエルフの女王からの加護から耐病魔のパッシブスキルが強化しておりウイルス性の病原体すら弾きます。

但し、呪いや毒に関しては、かなりの耐性はあるものの完璧に弾く事は出来ません。

そしてセリスは自分にそんなパッシブスキルが存在している事を知りません。





お話を戻しまして15歳の公爵令嬢が幽霊退治なんてしているの?と思われるでしょうが理由をこれからお話しします。


私が幽霊退治屋をやる理由はズバリ「お金がたくさん稼げるから」です。

メタイ話しで要するに礼金目当てです。慈善事業では全くもってありません。

と言うかですね?実家の慈善事業で公爵家の生活がかなり困窮しておりましてですね?その生活費を稼ぐ手段なのです。


慈善事業のやり過ぎで自分達が困窮してたら継続性が無くなり意味がないと両親に言ってもなかなか理解してくれないのです。

公爵家の私達が破産とかすると余計に社会全体の慈善事業が滞るので国の支配層はある程度は裕福でなければならないのです。

地球で言う所の社会福祉破綻ですね。度が過ぎた福祉政策で国民皆んなが貧乏になってしまうと言うやつです。


代表的な失敗事例としてソビエト連邦の医療崩壊があります。

誤解があると思うのですがソビエト連邦の医療福祉って日本やアメリカなどの資本主義国家より遥かに充実してたんですね。

国民1人辺りのお医者様の数は日本より多かったのです。

ですが国民の医療費全額免除が不味かった・・・社会福祉の財政赤字が発端となり最後は皆様ご存知の通りソビエト連邦は崩壊しました。

やはりある程度の国民負担は必要だったと言う訳です。

最低限自分達の事は自分達でやる事を前提とした福祉が大切なのですね。


おっと。難しい話しはこの辺りで止めて幽霊退治屋について簡単に説明致します。


簡単に幽霊退治と言ってもその方法は色々とあります。

具体的には魔法を使ってブッ飛ばす。それからお札などの魔法道具を使ってブッ飛ばす。プッチンと数本の血管がキレてる人などはグーパンで物理的にブッ飛ばすなど基本はブッ飛ばして退治します。

彼らは「ブッ飛ばし系退治屋」と呼ばれてますね。


ですが私が使う幽霊退治の方法は「お話し合い」です。

お説教とも申しましょうか・・・こんこんと幽霊さんに現世に残る不憫さと不条理さをお説教させて頂いた上で幽霊さんにも理解して頂き成仏して頂きます。


説得に時間が掛かる場合も多くて需要が少なく感じられると思う方も多いと思いますが、これ意外に需要が多く報酬も良いのですよ?


例えば、もし自分の身内の方が幽霊になったら?


仮に自分の愛娘が不幸にも幽霊となってしまったらどう致します?

幽霊になったとは言え自分の大切だった人を物理的にブッ飛ばしての退治は余りにも酷いと思いませんか?


そんな場合に私の様な「お説教系退治屋」が呼ばれます。


この様に幽霊退治を依頼なさるお客様の層が違いますので「ブッ飛ばし系退治屋」ともシェアが被らないのも魅力なのです。


「と、前置きが長くなりましたが仕事下さい」


「そうは言われましても・・・心霊現象などの対処は教会の役割でございまして。

専門外の冒険者ギルドへの依頼は・・・・・・・・あっ。ありました」


「あ・・・あるんだ」


冗談のつもりで冒険者ギルドのお姉様に幽霊退治のお仕事がないか聞いたらありましたよ。

いつもはクソ親父(イノセント)に無理矢理仕事を探して貰っていたのですが通常クエストで幽霊退治の依頼があるのは凄く珍しいです。

クソ親父と言えばあの人、戦争に行ったきり全然帰って来んなぁ。

お父様から無事だとは聞いてますが心配です。


「えーと?依頼主はリボルノ伯爵・・・何でも娘さんが昨年、病気で亡くなったのですが・・・」


「ほうほう?」

やりました!お仕事ゲットで御座います。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



さて、それで今回のご依頼のお客様はリボルノ伯爵家のミモザ様です。

ミモザ様は半年前ほどに産まれ付き患っておられた心臓の疾患で13歳の若さでお亡くなりになられて以来、お嬢様らしき影がお屋敷を徘徊していらっしゃるとの事です。

リボルノ伯爵閣下もご自身の愛娘が幽霊になるなどさぞお辛い事でしょう・・・

私が慈悲の心を持って娘さんを成仏させて差し上げます。


「娘の事よろしくお願い致します」


「出来るだけ苦しませず娘を成仏させて下さいませ」


早速、仕事を受けて冒険者ギルドから直接リボルノ伯爵邸に伺ってお話しを聞きます。

動き早い?単純に私の性格がせっかちなだけで動いていないと死んじゃう生き物なんです。


沈痛な面持ちのリボルノ伯爵様と悲しみにくれる伯爵夫人とご挨拶を交わし侍女様に連れられミモザ様のお部屋の前までやって参りました。

ゆっくりと扉を開けて下さる侍女様・・・では早速お説教による幽霊退治と行きます!


そしてミモザ様のお部屋に入り私が見た物とは・・・


「あーーーっ?!ミモザちゃんってば精霊化してんじゃんか!!」


《ふえええええ?!?!》


あら!いやですわ、おほほほほ。

私とした事がビックリして素が出てしまいミモザ様を驚かせてしまいましたね。


いや、てかそれどころじゃ無いかー。ああー!つうかマジかーどうしよ?精霊化かぁー。

ミモザちゃんってば死んで幽霊になるんじゃなくて精霊になっちゃたのかぁ。


良くも悪くも業を重ねた魂は死後に現世に留まって上位の精神生命体にレベルアップする事が稀にあるんですよねー。


うーん?多分ミモザちゃんの前世って精霊使いの系統だったんじゃないかな?


そんで今世では身体が弱く産まれてしまいミモザちゃんを心配した前世で繋がりがあった精霊達が周囲に集まって来てミモザちゃんと寄り添いながら過ごして行く内にミモザちゃんの体質その物が精霊と同じになったと・・・


そして亡くなったと同時に転生門をくぐらずに精神生命体・・・精霊として再転生したと・・・こんな感じに推測しましたが・・・どうですか「霊視」さん?


《はい正解ですね。良く勉強しましたね~》

あっそう言えば、この所ずっと行方不明だった霊視さんがようやく帰って来ましたよー。寂しかったぜ。


なんか知らない間に帰って来てました。

「どこ行ってたの?」と聞いたら《会合です》との返答が。・・・・会合???


おっと今はミモザちゃんの事ですね。

うーん?でもこうなると精霊化したミモザちゃんってリボルノ伯爵家の守り神じゃん?成仏なんてさせるの論外中の論外じゃん?


《そもそも幽霊ですらないので成仏させる事自体が無理な話しですね。そしてこの子は光の精霊です》


ほう?光の精霊とな?つまり神聖なる存在なのですね?


《光はただの属性ですよ?

私が言うのもなんですけど「神聖」とは人によって定義が変わるので光属性を持つ者=聖なる者とは言えません。

ただまあ、この子は優しい光を放ってますから浄らかな存在です》


やっぱり?そうなんだよね?「いやぁー?お宅の娘さん、いい感じの光の精霊になってましたよぉ。良かったですね。これで全て解決です。」で話しが終わっちゃうじゃん?お仕事をしてないから報酬貰えないじゃん?弟妹にご飯たべさせられないじゃん?


そんでもって私は嘘を吐くのがとっても苦手で伯爵様を騙くらかして報酬だけ貰うなんて器用な芸当なんて出来ません。

これは困ったなぁ、今月・・・と言うか今年はマジで家計がピンチなんだよなぁ。

ここでの報酬をあてにして伯爵邸にくる前にベン精肉店さんからツケでお肉を買っちゃったんだよねー。


《あの~?貴女はどちら様ですか?》


おっと?いつまでもドアの前で立ち止まってお金の事を考え込んでたら精霊ミモザちゃんが怪訝な表情を浮かべていらっしゃる。

う~ん・・・さて?どうする?光の精霊とかは、うちの国教である「天龍教」教会のヤマで退治屋のヤマでないんだよねー。


ヤマ荒らしは怒られるからなぁ・・・私の実家の立場的にもここで教会との揉め事はノーサンキューなんだよね。

てか、我がカターニア公爵家は「天龍教」の敬虔な信者だから教会と喧嘩したら親からマジで怒られるわ!


《あの・・・貴女様は・・・もしかして私の事見えてらっしゃいます?》


ミモザちゃんがおずおずと私に尋ねて来ます。

ええ。はい、それはもうバッチリと・・・なにせ私の霊視さんは超一流なんだよね。


《今はまだ霊体ですがセリスが認識した事でミモザちゃんの存在も安定したので日を追う毎に誰の目にも姿が見える様になりますよ。

これから認識する人が増えればいずれマテリアルボディを得て完全な精霊体となります》


ん?なして私がミモザちゃんを認識したら精霊としての存在が安定するのさ?


《それは・・・まだ秘密です》


なんすか?それ。アタイは一体何者なんすか?


《セリスはセリスです》


うーーーーーん?なんか盛大にはぐらかされた気分っす。

んー?自分がそんな大層なヤツに思えんのだが・・・魔法とかの能力はマジでポンコツだからね。

撃ち出した魔法がどこに飛ぶのか分からない「恐怖の魔法ガチャ女」とは私の事だ。

10分の1くらいの確率で真後ろにも魔法が飛ぶから油断は禁物だぜ?


《全方位魔法なら問題ないから!大丈夫だから!》


おお!確かに!全方位魔法ならどこに飛ぼうが問題ないわな!・・・無理に慰めてくれなくてもいいんだぜ?・・・クスン。

だから「ブッ飛ばし系退治屋」になれなかったんだよー。

ブッ飛ばしの方が稼ぎが大きくて仕事も早いんだよねー。ほんと世知辛い世の中だぜ。


《あの~?》


いよいよ胡散臭いブツを見る目になって来たミモザちゃん。

うーん?まぁ、ダメ元でミモザちゃんとお話しをして見るか・・・


「はい、ハッキリと見えておりますよ。

本日はご両親より「ミモザ様の除霊」をお願いしたいとのご依頼でこちらへ参りましたが・・・ミモザ様は現在のご自分の状況を理解していらっしゃいますか?」


《じょっ除霊?!幽霊になった私は除霊されてしまうのですか?!》

おや?ミモザちゃんは自分が精霊化したのに気づいてない?!自分を幽霊だと思っている?おお!?これは!・・・・チャンス到来かも?!


ミモザちゃんに精霊の自覚を持たせる→ミモザちゃんはリボルノ伯爵家の守り神になる→守り神を得た伯爵家は儲かる→伯爵家から感謝される→お礼金もガッポガッポ?!→その金でベン精肉店さんへのツケ完済!!!


よっしゃあ!これだぁ!!!

無駄に高い家格のせいで王妃のファニー様に王城に拉致られて缶詰状態で様々な精霊の教育を頭にブチ込まれたおかげで精霊関連の教養はバッチリな私!

自覚を持たせるだけなら天龍教教会のヤマにも関係ない!いけるよ、これ!


《よくそんな小狡い事を考え付くわねぇ・・・そして商売が基準なんですね?》


「小狡い言うな」

若干霊視さんが呆れている雰囲気を醸し出してますが私には「お金」が必要なのですよ。

さあ!「幽霊退治屋セリス」の活動開始ですよ!


「いえ、ミモザ様は幽霊ではなく光の精霊様になられました。

新しい精霊様のご誕生にリボルノ伯爵様のお喜びになりましょう」


「ひっ光の精霊?!私が?!」驚くミモザちゃん。


「はい、リボルノ伯爵家の守護神の誕生おめでとうございます。

色々と不安がお有りかと思いますが不肖ながら私が色々とお力添えをさせて頂きます」


笑顔で答える私を見て考え込むミモザちゃん。

さあてぇ!よしよし、いい感じぃ!さあミモザちゃん!

「精霊ってなにをどうすれば良いの?」って私に聞きなさい!おねえちゃんがじっくりと優しく教えてあげるからね!


するとミモザちゃんが顔を上げて「私は!!せっ精霊になんかになりたくありません!」と叫ぶ?!


「!!!」


なっなっなんだってーーーーーー?!?!?!これは一体どう言うこっちゃい?!


《だってだって・・・私、知ってます!

精霊様になったらもう人間に転生が出来ないんじゃないですか?!

私、来世では思い切り遊びたいってずっと願っていたんですよ?

産まれてからずっとベットで寝たきりだったんですよ?!

精霊様になったらこれからもずっと遊べないじゃないですか?!》


!!オォウ!ノォーー!!こいつはヤバイ!ヤバ過ぎる!


精霊様は喜びを得る事で力を蓄え強くなります。

逆に怒りに苦しみ悲しみなんかで精霊の力は弱くなり病んでいき最悪のケースだと最終的には忌み神になってしまいます!

忌み神と比べたら大怨霊なんぞ雑魚も雑魚、クソ雑魚です!だって忌み神は亜神様ですからね。


そうなると多分・・・龍種が出撃して来る案件になるっすね・・・

その原因を作ったリボルノ伯爵家&カターニア公爵家滅亡の危機でふ・・・


そうなると言うまでもなく私の任務は失敗・・・失敗すると?


ミモザちゃん忌み神になる→任務失敗による契約違反発生→礼金どころか違約金が発生→ベン精肉店のツケを払えずに不渡り→ベン精肉店さんとの取引中止→三食が野菜スープのみ→栄養不足で弟妹の成長不全→跡取りが居なくなる→カターニア公爵家終了?!!

いや・・・それ以前に忌み神ミモザちゃんに呪われて滅ぼされてるか龍種のブレスで物理的に滅ぼされてるか・・・これはヤバい考えろ!考えるのよセリス!この事態を打破する妙案を!

・・・・ん?遊びたい?ミモザちゃんは遊びたいって言った?うん確かに言った!


「分かりましたミモザ様・・・では私と遊びましょう!」


《えっ?》




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


☆

こんな感じにセリスは常に余計な事を考えながら会話をしています。

通常だと一言発するにも凄く時間が掛かり、「思考加速」のスキルがないと一言一言が凄く間伸びした会話をする惚けた感じの女の子になるのです。

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