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幽霊になった幼馴染み  作者: のんびり+
2/5

第2話 疑問

突然だが、幽霊と言う存在を信じるだろうか?

よくTVテレビでそういったものをやっているが、俺は信じていない。

何故なら今まで一度もこの目で見た事が無いからだ。

そんな不確かなものを信じられるか?答えはノーだ。

幽霊なんて人が生み出した想像や幻想に過ぎないと、俺は今日この瞬間まで思っていた。



――午後六時程。俺は家への帰路についていた。

今まで俺は警察に事情を話していた。

刹那の親御さん、家が近い学校の奴等に先生などが、あの後暫くして駆けつけて来た。

俺は半分放心状態になりながら、警察に今日の出来事をそのまま話した。

刹那は猫を庇って車に跳ねられた事。轢いた車はそのまま去って行った事。俺は車の特徴を思い出しながら話した。だが、今の俺には轢き逃げ何かどうでも良かった。確かに轢き逃げに対する怒りはある。だが、それ以上に悲しみが強い。それだけの事だ。

“刹那が死んだ”

そんな文字が、言葉が、事実が、俺の脳内をグルグルと駆け回る。

まるで世界から色が抜け落ちたように、俺の目に映る景色は白黒だ。

俺はハイライトが消えた目で、フラフラと家へと向かった。


アパートに着くと鍵を開けて、靴を脱ぎ、鞄を投げ捨て、電気を付ける。


「あ、お帰り~」


――は?


俺は1人暮らしだ。なのに今声が……空き巣?

……でも鍵は閉まってた。

俺は弱冠戸惑いつつも顔を上げる。

「は?」

今度は口に出してしまった。

それもその筈だ。

何故なら目の前には、肩まで伸びたブラウンの髪に目を細めて笑う少女。刹那の姿が目に入ったからだ。


俺の目から脳に“刹那がいる”と言う信号が送られる。

だが俺の思考はその事実についていけずにいた。

何故刹那が居る?

刹那は死んだんだ。

なのに何故俺の家に居る?

俺は次々と湧き出る疑問に頭を悩ませる。

だが、そんな俺を尻目に俺の口は勝手に動く。

「刹那……なのか……?」

「……うん、そうだよ。私」

見れば分かる。もう何年も一緒なのだ。

だが確認せずにはいられなかった。

何故なら刹那は死んだ筈だからだ。

遺体は確かに回収された。

もう刹那は居ない。もう会えない。

だが刹那は目の前に居る。

偽者なんかじゃない。根拠は無かったが、絶対の自信を持って言える事だった。

俺の目からは再び涙が溢れる。

「刹那!」

気が付くと俺は刹那に駆け寄っていた。

だが、俺が刹那に触れようとした時、スカッと言う擬音が聞こえるように俺は刹那の身体をすり抜けた。

「は?」

俺の部屋はあまり広く無いので、そのまま俺は眼前の机にダイブする。俺が机に叩きつけられる音が部屋に響く。

「痛ってぇ……」

「大丈夫?未来?」

刹那が心配そうに駆け寄って来る。

――いや、違う。

俺の目には刹那が浮いているように見える。

つまり浮き寄って来る。

さらによく見ると、刹那の身体が薄い(・・)気がする。

は?

俺がこんなにも“は?”を連呼するのは今日が初めてだろう。

あまりにも理解し難い事が起こり過ぎて、俺の脳はオーバーヒート寸前だ。そんな俺に鞭を打つように、刹那は眩しい笑顔で言う。

「えへへ、私幽霊になっちゃった!」


――は?




















お疲れ様でした。

それでは次回も、のんびりしていってね。

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