その33 真っ赤な大地
私達はどうにか走って会場に辿り着いた。
広い、野球場のような広場。
沢山のアジアのVIPが集まっている。
壇上には、ちょうど大沢幹事長が見えた。
でも、衛星放送の生中継中に無茶はできなよね・・・。
私は、突撃方法を考えてみる。
すると、芽衣が急に怯えて震えだしたけど、どうしたんだろう?。
「芽衣、どうしたの!なんで震えるの?」
よくみると、ほかのエスパー達も数人怯えて震えだてる。
もう、これから突撃なのにどうしちゃったの?
すると柏は慌てて叫んできた。
「友美様逃げましょう。予知エスパーが危機予知状態です。逃げないと危険です!。」
ここまで来て逃げるとか嫌にきまってるでしょう。
「突撃で・・・・え、ちょっとお姉ちゃま!」
お姉ちゃまいきなり私を抱えて持ち上げた。
え?なにするのお姉ちゃま??何々?。
「柏、どのくらい逃げればいいんだ。」
そこでVちゃまから通信が入ります。
『コレはヤバイぞ!全員防御だ。逃げる暇は無い。すぐに全力防御だ!』
柏は慌てて叫びました。
「円形陣、全力防御!!!!」
エスパー部隊が私達を囲んでバリアーを張る。
少しでも防御力を上げるために、私達は頭を抱え目をつぶって地に伏せた。
その瞬間
ドガアアン!
会場が一斉に真っ赤に染まり、大爆発が起きた。
何が起きたか分からなかった。
今張ったバリアにも血が大量について真っ赤だ。
爆発の衝撃で、エスパー部隊の数人は気絶してしまう。
エスパーが沢山気絶してしまったので、ESPのバリアは消えてしまい、バリアに付着していた血液が私達に降り注いだ。
何が起きたの。
一呼吸して落ち着き、立ち上がりながら私は会場を見渡す。
さっきまでVIPがいたはずの会場が、爆撃でも受けたように吹き飛んでいた。
爆撃と違うのは血や臓物で、視界が真っ赤になっていることでしょうか。
一瞬息が詰まりそうな生臭い匂い。
見覚えのある光景だ。
そう、まるであの日の渋谷のような赤色と生臭さだった。
呆然と目の前の光景を見つめていると、壇上に一部にだけまったく血がついていない場所がある事に気がついた。
そこだけは何事も無かったように血がない。
その血の不自然な血の空白地帯に、イケメンスイッチが落ちているの見えた。
やっと見つけた!
私は、周りの事など気にしないで血の池の中を必死で走りぬけイケメンスイッチを掴む。
よかった。。。。やっとこの手に帰って来た。
私は足首まで潜るほどの血の海の中で、イケメンスイッチを抱きしめた。
なんか、涙が出てきた。
よかった。よかった・・・
「やっとVちゃまを取り返せた。」
~~~~~~
数分前
東アジア世界会議開催のファンファーレが高らかに鳴り響く。
大沢幹事長は感無量な気持ちでいた。
これで、大沢幹事長の野望が達成されるのだから。
バカの鳩屋元首相には、イケメンスイッチを運ぶ役を与えた。
自分で運ぶよりも、元首相に運ばせて壇上で掴んで、高らかに持ち上げるほうがドラマティックだからだ。
開会の挨拶は、イケメンスイッチを持ち込んだ大沢幹事長がまかされた。
おそらくここに居るVIPたちの半分以上が、じつはイケメンスイッチを知っているはずだ。
それほどこのスイッチは伝説のスイッチなのだ。
それだけにのスイッチの保持の宣言は重要だ。
大沢幹事長は、赤い絨毯の上を堂々と歩く。
この世界に流れる生放送で、世界に宣誓するのだ、もう王になった気分である。
壇上に上がると、大沢幹事長はアジアの平和と、日本の戦争中の罪について演説を始める。
その後ろで・・・・
イケメンスイッチを持ったまま、鳩屋元首相は暇をもてあましてた。。
鳩屋元首相は、自分がイケメンスイッチの表彰を提案したはずなのに、いつのまにか大沢幹事長の補佐に落とされたのも納得がいっていない。
鳩屋元首相は、それでも黙ってイケメンスイッチを持って立っていた。
暇なのでイケメンスイッチをよく見ると、微妙に面が揃いそうな配置に見える。
鳩屋元首相は本当にルービックキューブが得意だった。
今のイケメンスイッチの面の状態は、野多首相が6面に合っていたスイッチを戻せなくなって放置した状態なので、たしかに惜しいところまで揃っているのだ。
鳩屋元首相は、そのスイッチの状態が気になってしまい、もうそこが東アジア平和会議の壇上だという事を忘れてしまうほどに気になった。
そしてあろう事か、鳩屋首相はカチャカチャとスイッチをいじりだしてしまったのだ。
そうとは気づいていない大沢幹事長は、熱弁が佳境に差し掛かり、最後の重要なせりふに突入した。
「そして、この危険なイケメンスイッチを我々が保持することで、アジアの平和が保たれます。」
そういうと、会場のVIPに緊張が走るのが分かった。
核以上の兵器の保有を宣言したのだ。
他国が緊張するのは当然だ。
大沢幹事長はさらに言葉を続ける。
「このイケメンスイッチをもった私が世界の平和を牽引します。今日から私がイケメンマスター大沢です。アジアの同胞達よ、私と共に歩みましょう。わが同胞達よ、私をリーダと認めるのです、わが同胞達よ!」
そう言って、大沢幹事長は、高らかにイケメンスイッチを掲げるパフォーマンスをする為に、鳩屋元首相からイケメンスイッチを奪い取るために、イケメンスイッチを鷲づかみにした。
そのとき、手のひらに
カチカチカチ
という感触がした。
次の瞬間、鳩屋元首相が爆発する姿が見えた。
横目で会場中が爆発してるのが見える。
そして大爆発に巻き込まれて大沢幹事長も吹き飛ばされて粉々になった。
―――
宇宙ステーション内。
ちょど、日本人宇宙飛行士の山内高志は窓から地球を見ている。
「地球は青くてきれいだ・・・。」
すると、次の瞬間、中国の土地に赤いまだらが出現したのだ。
「な、何が起きたんだ。」
山内は慌ててNASAに連絡を入れる。
「ヒューストン、大変だ。中国が赤い大地に変わった・・・何が起きているかわからないか?。」
すると無線の向こうの相手は笑って答えた。
「はっはっは、それは面白い冗談だ。共産主義の土地は元から真っ赤だよ。わっはっはっは。」
「ちがう、今本当に・・・・血のように真っ赤なんだ。送った映像を見てくれ。」
数分後、緊張した声で返事が返ってきた。
「山内、すぐに東アジアの詳細観察をおこなってくれ。これは大統領からの最優先事項だ!。」
このとき、世界はまだ本当の被害の大きさに気づいていなかった。
―――
数時間後、Vからの通信により真実が伝わると、みなが驚愕をした。
鳩屋元首相は、三つの面を合わせてしまっていたのだ。
緑色、黄色、赤色だった。
これはつまり。「イメージした国にいるイケメンが全員で大爆発。」のスイッチになる。
イケメンスイッチの複数面合わせの恐ろしさだ。
ちょうど、大沢幹事長は「アジアの同胞よ」と叫んでいた。
だから、大沢幹事長がイメージするアジアの同胞が大爆発したのだ。
中国、韓国、朝鮮・・・・
そこには台湾や日本は含まれていなかったようで爆発は起きていない。
意外なところでは、オーストラリアや南アフリカの一部の国家も爆発した。
しかし、大沢幹事長が日本を『同胞』と思っていなかったことが、皮肉にも日本を救った。
これにより、世界の人口は2割以上減った。
そして最初にVが通信越しに指示を出したのが
「ペルシアの華は、なりふり構わず、機能を停止した国に突入だ。重要施設の安全確保と、政治機能の代理を行え。男が死に絶えた国々の支配権は早い者勝ちだぞ。そのとき、中国は各省ごとに一国として支配しろ。この気に乗じて中国を10の国に分割して今後の安定につなげる。」
この指示により
アメリカ支部のクリントン女史がもっとも多くの土地を占領した。
これで彼女は、一度は失った夢である大統領にもなれるだろう。人が殆どいない国だが。
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朝の食卓
いつものように、房代さんと芽衣が朝ごはんを大量に作ってくれています。
房代さんの顔の包帯は痛々しいですが、ペルシアの華の一流医療により、あと一週間もすればまったく元通りに顔の骨がつくそうです。安心しましたよ。
お姉ちゃまは、一人でVちゃまから教わった「陰陽力」とかいうのの練習をしています。
私は、Vちゃまの席にイケメンスイッチを置いて通信中です。
「Vちゃまは、結局かえってこれませんでしたね。」
『えっと・・・ゴメン、爺ちゃんがめちゃくちゃ強くて。でも一応さ、真荒神流は習ったからあとは身につけていくだけなんだ。』
「はやく出てきてくださいよ、世界だってとっても大変なことになっているんですから、Vちゃまが出てくる前に、また私にピンチが来るかもしれないんですから。」
『そうだな、超がんばるよ。でもエスパー部隊のみんなもいるし、それほど心配もしていないんだけどな。もうエスパー部隊のみんなとは友達になったんだろ』
「はい、今回のことでとっても仲良くなりました。あと意外ですが早川莉奈さんとも時々メールするくらいになってるんですよ。芽衣なんか毎日『良い女講座』をしてもらうためにのメールで質問しているみたい」
『あはは、そうか。俺も早く帰ってみんなの変化を感じたいよ』
なんとなく、スイッチの中でVちゃまが微笑んでる顔がイメージできました。
私はこれからも、この手でVちゃまのいるイケメンスッチを守っていこうと誓うのでした。
そして私も、エスパー部隊みたいにマインドコントロールを破って、それでもVちゃまが好きだって叫ぶまで、絶対絶対、Vちゃまを守り通します。
絶対に。




