その23 潜水艦女子高
今、私達は潜水艦の中。
そして私とお姉ちゃまと芽衣、それに早川莉奈さんは食堂のテーブルに座っている。
目の前にはおおきな寸胴のお鍋が二つ。
片方にはカレーが入っていて、もう片方にはご飯が入っています。
そばで、艦長と料理長の人が困った顔。
「あの・・・お嬢さんたちには、その量は多いと思いますが?。」
料理長はそう言いながら、私達にふた皿ずつよそってくれました。
でも莉奈さんは料理長に言います。
「あ、私は普通の人用でたのむわ。あと、一緒に乗ってるエスパー部隊の女の子達もこれくらい食べるらしいから、覚悟しておいてね。」
「はあ、ご指示通りに3日分の食事量を作りましたが。残しても大丈夫ですので。」
「ふふ、残すことよりも『足りない』って言われる心配をしたほうがいいかもしれないわよ。成長盛りの女の子の胃袋は男の想像よりも大きいから。とはいえ、私もこの子達の食欲を見るのは初めてだから楽しみなんだけど。」
そう言って、料理長さんにウィンクした。
莉奈さんて、こまめに男性に媚を売るんですよね。
それをみて、芽衣もウィンクの練習を始めてるし。
「芽衣・・・そんな力いっぱい片目つぶったらウィンクにならないよ。」
「え、駄目だった?難しいなあ。」
すると莉奈さんは嬉しそうに芽衣を見ます。
「芽衣ちゃん、ウィンクは『上から目線』のイタズラ気分でするといいわよ。男という子供をからから気持ちでね。」
言われて芽衣はキョロキョロしたあと、大人びた表情で艦長さんにウィンクを飛ばす。
あ、艦長さんがすごく困った顔をして笑ってる。
私はスイマセンという表情で艦長さんに頭を下げると、艦長さんは軽く手をあげて『いいよ気にしないで』というジェスチャーをしてくれた。
そこで、現エスパー部隊の隊長の柏がスクリと立ち上がる。
「では不詳、この佐藤柏が給仕をさせていただきます。みなさんのスピードに負けないようにがんばります。」
そこで艦長は小声でつぶやいた。
「そんな素早い給仕はいらないのでは?。」
すると冬美お姉ちゃまが、我慢できずにスプーンを構える。
「では食べるぞ、いただきます!。」
私達も大急ぎで叫びます。
「いただきます。」
まずは目の前のお皿のカレーを三口くらいで食べた。
熱いから、一皿を一口は無理。
でもさすが海自仕込のカレーはおいしいです。
すぐ次が食べたくなっちゃう。
食べ終わったお皿を置くと、もう一つのカレーのお皿に手を伸ばして食べる。
その間に、柏は空いたお皿にESPでご飯とカレーをすぐに補給。
私達は3分ほどで目の前の寸胴のカレーとご飯を食べつくしてしまった。
「ぷはー、潜水艦のカレーは噂以上においしいですね!。」
そういうと私は、そばにあった2リットルのお水を一気飲みしました。
お姉ちゃまたちもお水を一気飲みしている。
お姉ちゃまの目が満足そう。
すると横で、食べるのを忘れてコッチを見ている莉奈さんが言いました。
「あなたたち・・・話には聞いていたけど、目の前で見るとすごい迫力ね。あんなに食べてもお腹が膨れないし、ほんとすごいわ。思春期の女の子の胃袋は異次元ね。」
そこで嬉しそうにお姉ちゃまは叫びます。
「このカレーは一級品だ!シェフを呼べ!」
料理長はニコニコしながら「ここに居ますよ」と答えてくれます。
お姉ちゃま、めずらしく目を輝かせて。
「これはいいカレーです!今、私の中のカレーランキング第一位です!。」
料理長はニコニコしながら「ありがとう」と返してくた。
なんか海自の人っていい人ばっかりだな。
芽衣は立ち上がると、柏に席を譲った。
「柏ちゃん、次は私が給仕するからいっぱい食べて。すごくおいしいよ。」
そう言うと、ESPで空の寸胴を調理室におくと、次の寸胴を机に持ってきた。
それを見ながら艦長はそばの乗組員に思わずもらす。
「最初は女子高が乗り込んできたのかと思ったが、ESPやこの食べっぷりを見たら考えが変わったよ。おそらく戦闘力も高いのだという事は想像がつく。ならばこの体の小ささはむしろ武器だ。男なら10人しか輸送できないスペースで15人は入れるし、屈強な男が潜入するよりも相手は油断する。これは思ったよりも恐ろしい部隊かもしれないな。」
私達は食べ終わったので一旦席をたった。
今私達が座っていた席に、次のエスパー部隊の女の子がすわり、食事の準備を始めたから。
莉奈さんはお皿を持って移動してきた。食べるの遅いからしょうがないですね。
みると、お姉ちゃまは艦長さんに話しかていた。
「エスパー部隊は女子高みたいでしょ。これはエスパー部隊はイケメンスイッチと戦う為に作られたからなんですよ。イケメンスイッチはイケメンを殺すから対抗策としてエスパー部隊の34人みんな女の子なんです。女の子ならイケメンスイッチでは殺せませんから。もっともイケメンマスターのVさんが投げキッス一つ飛ばしたら、みんなVさんのシモベになってしまったのですがね。」
それを聞いて「ほー」と感心している艦長さんに私はフォローした。
「すいません、お姉ちゃまは時々ロマンチストな変な事を言います。エスパー部隊はVさんの投げキッスで仲間になったのではなくて、戦いの中でVさんが誰も殺さずに捕獲して、後から一人ひとりに『俺と一緒に戦ってくれ』て根気よく頼み込んだからなんです。今ではみんなVさんの私兵として誇りを持って戦っています。」
艦長さんはさらに頷き、もう一つ聞いてきました。
「あ、これは些細なことなんですが、エスパー部隊はみんなメガネをしていますが、これはESPの副作用か何かですか?。」
私は、首を横に振ります。
「いいえ、これは研究所がエスパーにいくつかプログラムをかけた結果なんです。エスパー達は自分に主人が居ないときに、自分にメガネをかけた相手を主人とするプログラムが入っていて、あのメガネは主人が居る印みたいなものなんです。ふつうは本能的にかなり抵抗するらしいんですが、このエスパー達は全員がおとなしくVさんにメガネをつけてもらいました。この娘達は自分の意思でVさんを主と決めたからなんです。これはVさんが偉大だって言うエピソードの一つなんですよ。」
そこにカレーを食べながら莉奈さんも割って入ってきた。
「そうそう、わたしだって荒川武威を殺す為に送り込まれたスナイパーだったし、しかも荒川武威に目の前で親を殺されてるのよ。でも、今はあの人を助けたくてここにいるの。ま、私も荒川武威の偉大さを語る生きたエピソードかもしれないわね。」
そう言いながら、パクパクとカレーを再び食べ始める。
それを聞いて、艦長さんは朗らかに笑う。
「いやあ、普通はこれだけの女性がいれば、その場に居ない人は悪口を言われるものでしょうに、、荒川武威さんに関しては、ほめる言葉しか聞こえてこない。それだけでもすごい人だと分かります。」
そう言ってくれた艦長さんに、私は微笑んで大きく頷くのでした。
読んでくださりありがとうございます。
艦長豆知識:この人、後に超出世します。




