その15 大黒玄太、空より参上!
7分後、戦闘服に着替えた玄太は建物の最上階の非常脱出シューターに居た。
このシュータは空中に人を打ち出すカタパルトのようなものみたい。
普段の落下地点には受け止めネットがあるらしいのけど、今回はシュート方向を正面玄関前に動かしてもらっている。
横では玄太がうまく如意棒を望んだ形にできないので、房代さんが優しく手伝ってる姿が見えた。
玄太め!房代さんに近くで手伝ってもらって、デヘデヘ言ってる。
気持ち悪いなあ、房代さんに近づいて欲しくないな・・・
でもきっと房代さんも我慢してるだと思う。
私も我慢だ。
玄太が遅いから私がシューターに飛び乗っちゃった。
「ちょっと友美さん、なにしてるんですか!」
及川さんは慌てて駆け寄ろうとする。
でもそれよりはやく、芽衣とお姉ちゃまもギューっとシューターに入ってきた。
「芽衣、スイッチ入れて!」
シューターのレバーを芽衣がESPで降ろした。。
「いくよ友美っち、飛べえ!。」
ズシャー
ぐああ、すごいGぃぃぃ。
でも次の瞬間、私達は空高く飛び上がり眼下に研究所と研究所の壁に攻撃をしているアーマーノイドが見える。
うわあ、このシューターってちょっと楽しいぞ。空中って気持ち良い。
こんど、暇な時にまた使わせてもらいたいな。
充分に飛び上がって自由落下が始まるときには、私は背中についた如意棒を地面に伸ばして突き刺す。
ズヒュ!
そしてその如意棒のしなりを利用してふわりと地面におりるのでした。
私と芽衣はESPでフワリと着地。
でもお姉ちゃまは、落下の衝撃を殺すためにしならせた如意棒を無駄にせず、そのしなりの開放で地面から跳ね上げるようにアーマーノイドを吹き飛ばしました。
おお、お姉ちゃま無駄がない。まるでVさんみたい。
私はすぐに、国持所長に見せてもらったヘイザー砲の設計図をイメージしてみた。
私の気念砲は特に細かく変形するようになっているのでこのような詳細な変形でもすぐです。
変形させると、まるで消防銃のような奇妙に銃口の大きい銃が出来た。
どれどれ、これがどんな効果かみてやりましょう。
私はこっちに飛び込もうとしているアーマーノイドにヘイザーを向けた。
「友美、撃ちます!」
フヒョオオオオ
聞いた事もない気の抜けた発射音が響く。
でも、音は間抜けでも威力は絶大です。
見えない空気の衝撃波を食らったアーマーノイドが、白くにごるほどブルブルっと震えて吹っ飛ぶ、
。
そのあと、グッタリとして起き上がってこなかった。
おお、普通の銃よりも全然効くじゃないですか?。
いまの衝撃波はアーマーノイドの胸に当たったのに、金属だから全身に振動が伝わって脳を壊したに違いない。
いいぞ、これなら玄太も殺せるかも。
芽衣も気念砲を構えると敵に向かって叫ぶ。
「Vさんに鍛えられた私は、もうESPの応用だってできるんだから。高電圧高電流電撃だよ!」
芽衣はバチバチいう電気の弾を数発アーマーノイドに撃ち込んだ。
するとやはり吹っ飛んだアーマーノイドは起き上がってこなかった。
電気で機械の中の脳を感電させたんだ。
さすが芽衣だ強いぞ!
お姉ちゃまは、真っ白に発光するほど発熱する如意棒を鞭のように敵の頭に巻きつけている。
数秒して敵はぱたりと倒れた。
お姉ちゃまエグイい。熱でジリジリ脳を焼くなんて。
でもお姉ちゃま不満そうに
「これ効率悪いな、ちょっぴり時間かかりすぎるから、やっぱり普通に切り斬り捨てるか。」
そう言いながら、発熱した鞭を発熱した大剣に変えるのでした。
そうだね・・・お姉ちゃまは充分それで強いからそっちでいいかも。
わたしはお姉ちゃまの後ろから向かってくるアーマーノイド2体にヘイザーを撃ち込む。
フヒョオオ
フヒョオオ
敵は一瞬ブルブルとして動きを止めたけど、いったん膝を突いてまたふらふらと立ち上がってきた。
あれ?さっきほど効いていない。
あ、そうか・・・ヘイザーは空気の振動を撃ちだすから距離が離れると威力が激減するのかも。近づいてトドメをささなきゃ。
でも私の動きよりも早く、お姉ちゃまは振り返りざま大剣を横にないで、一振りで二体のアーマーノイドの首を切り裂いた。
「友美ありがとう。とどめは私がさす、足止めで充分だ。」
そう言いながら、私の横に走ってくると、私に背を向ける。
OKお姉ちゃま、背中は守れってことね。
芽衣もコッチに駆け寄ってきて、三角のフォーメーションを作る。
Vちゃまいわく、一人では二人の敵と戦うのも難しいけど、三人のフォーメーションがあれば、敵が何人居てもどうにかなるらしいです。
じっさい、Vちゃまも一対一では無敵でも、よく雑魚に横や後ろから攻撃され怪我していたし。
横も後ろも守るためには、最低三人のフォーメーションが必要なんだね。
そして今私達は、Vちゃまに訓練された3人フォーメーションです。
絶対に無敵のはずだよ。
そのとき、空中から気持ち悪いオタク風の声が響いてきた。
「大黒玄太、空より参上!。」
私達はそれを見上げた。
そこには、黒くて丸い物体が見えた。
本当にまん丸の影。
あれは人のシルエットじゃないよ。ドラえもんだってもっと凹凸があるよ。
その黒い玉のような玄太は減速のために如意棒を使うことも無く、まっすぐアーマーノイドの落ちていった。
ずがががん。
地面に玄太玉が衝突した瞬間、私達も一瞬バランスを失うほど地面がゆれた。
ちょっと、ほんと人間の体重の揺れじゃないんですけど。
着弾点は土煙があがっていたけど、その土煙が消えていくと・・・・
三体のアーマーノイドを踏んづけている玄太がたっていた。
「おまたせ、お姫様たち!あとは秋葉原の球体と恐れられた、この大黒玄太にお任せあれ。」
待ってないし。
私達を囲んでいた、のこり5体のアーマーノイドも驚いて玄太を凝視している。
そりゃロシア人も驚きますよね、落ちてきた球体から、手足が生えて喋ったんだから。
アーマーノイドは慌てて我に返ると、腕のマシンガンを玄太に撃つ。
そういえば、前回も玄太はマシンガンで撃たれていたはず・・・。
そう思って見ていたら、マシンガンの弾は玄太のおなかに当たると10cmほどめり込んみ、失速してポトポト地面に落ちていた。
数発、玄太のほっぺたにも当たったけど、妙な衝撃の波が広がったとか思うと、やはり弾丸はポテポテと地に落ちた。
あ、ありえない。
なんだこのデブ?。
Vちゃまは自分よりも玄太が10倍強いって言っていたけど、こいう事なんだ。
強いけど、なんかキモイ!
すると、また研究所からなにか射出された音がしたので私達は見上げてしまった。
軽く回転する物体は、ちょうど玄太のたっている位置に落ちる。
ぱし!
玄太は腕を高く上げてその物体を掴んだ。
それは180cmはある金棒だった。
ほんとうに、昔話にでてくる鬼が持ってるような、トゲトゲの付いた金棒の形。
その瞬間、玄太の情けない細い目が急に菱形になった。
あ、戦闘モードだ。
玄太はまるでボールがはじけるように凄い加速で飛び出す。
その金棒の一撃で一体のアーマーノイドの頭を吹き飛ばした。
技とかそういうのはまったく無くて、ほんとうに力技の一撃。
のこり4体のアーマーノイドは一斉に玄太にマシンガンを打ち込む。
でも、また玄太の体はポヨポヨして弾を受けて無傷。
玄太は一瞬で数歩踏み込むと、また金棒を力技で横に振りぬいた。
アーマーノイドたちはブロックのために腕を十字にして防御。
でも玄太の金棒はそんな防御などお構いなく腕ごとアーマーノイドたちの頭を吹き飛ばしてしまった。
冗談みたいに、一振りで二体の頭が吹き飛んだ。
最後の2体は逃げようと一瞬後ろを向こうとしたけど、それより早く横に振りぬく玄太の金棒が二体同時に頭を吹き飛ばす。
あっというまに12体のアーマーノイドは全滅したのでした。
お姉ちゃまはあきれた顔で装備を仕舞いながら言う。
「冗談みたいな強さだな。だがこれで良いのさ。ラスボスが強いほどVさんが強くなって復活したときに引き立て役になってくれるからな。はやくこいつがヤムチャ級に落ちる姿が見たいな。ふっふっふ。」
お姉ちゃまはそういうと、妙に怪しい顔でニタニタした。
玄太は金棒を肩に担いで、いつもの気持ち悪い目で私達に近づいてきた。
「どう、少しは僕の事も見直してくれたかな?。」
芽衣は汚いものでも見るような眼で
「デブに金棒だね。こいつが強いとムカつくよお。撃っちゃおうかな。」
実は私も、こいつが強ければ強いほど憎さが増すのですよ。
だから、撃っても良いよね。
フヒョオオオ
私に近づいてきた玄太に至近距離からお腹にヘイザーを撃ち込んじゃいました。
躊躇無し、っていうか自制することすら忘れて、うっかり撃っちゃった。えへ。
撃たれた玄太のお腹は信じられないほどへこみ、そして玄太は膝を突く。
「ちょ、友美ちゃ・・な・・・・ゲロロロロロロ。」
うわ、汚い!
私達はおもわず飛びのいた。
芽衣は思わず気念砲構える。
「なにゲロはいてるの!汚いでしょ、この豚!」
芽衣も躊躇無く、高電圧弾を数発玄太に打ち込んだ。
ビチャ
玄太は言葉も無く気を失い、ゲロの中に顔をうずめるように倒れるたのでした。
豚はゲロでも食べていればいいんです。
「友美、芽衣、ブタオタクは捨てておいて良い。研究所内に戻ろう。」
「はーい、お姉ちゃま。」
「そうだね冬姉。」
そして、屋外には死んだアーマーノイドの残骸と、ゲロに埋もれて気絶している玄太だけが残された。
―――
屋外に残された玄太を狙撃銃の望遠スコープで見ている女性が居た。
早川莉奈だ。
「あらあら、私の出番なしで終わっちゃったわ。それにしてもあの太っちょさん、武威さんよりも強いんじゃないの?。むかつくから射殺しちゃおうかしら。ふふ、でもお嬢ちゃん達は容赦ないわね、気持ちは分かるけど。きっと私と同じで武威さんより強い太っちょさんが気に入らなかったのね。ほんと面白くて可愛い娘達だこと。ちょっと目が離せないわ。」
そう独り言をつぶやくと、莉奈はライフルを担いで車に乗り、走り去った。
お読みくださり、ありがとございます。
歌田芽衣マメ知識:メガネをコレクションしている。




