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その11 眼下の戦いを見ながら

私たちはなんとか本部建物に避難できた。

するとすぐに、本部に待機していた各国の護衛部隊が飛び出して敵に反撃を始めたみたい。


本部に入って、司令部に行き現状の説明をした後、6階のロビーで休憩することにした。

私たちが一息入れていると、アメリカ支部のクリリントン女史が近づいてくる。

「友美様、お怪我はありませんか?。もしもアメリカ支部が護衛をしていればこんな危機的な自体にはならなっかたでしょうに。」


そう金子に向きながら嫌味を言うと、私にコーヒーを渡そうと差し出してきた。

部外者の無責任な言い方にちょっとイラっときちゃった。

私は、「いりません」と断って目をそす。


でも夏子さんが横からヒョコリと出てきてクリリントンさんに手を伸ばした。

「わたしは欲しいでーす。ちょうど走ってのどが渇いていましたのですよ。それよりクリリントンさん、私のこの服の匂いを嗅いで見てください、友美ちゃんと同じ匂いがしますよ。なーんでだ?。」


夏子さんはクリリントンさんからコーヒーを受け取ると、ぐいぐいクリリントンさんの顔の前に袖を突き出して匂いを嗅がせようとしてる。


あきらかに困った顔のクリリントンさん。

「それでは友美様、我々アメリカならば今回ももっと安全にお守りできたということだけ覚えておいてください。」

と言って、逃げるように立ち去ってしましった。。


ああいいうキャリアウーマン系の人は、絶対に夏子さんみたいな人は苦手だとは思ってたけど、まさかあんな急いで逃げるほど苦手だったとは。

でも良い仕事しましたよ、夏子さん。


芽衣も逃げるように立ち去るクリリントンさんを見て、とほほという顔をしてる。

「なんか夏子さんって、まじめな人にとっては天敵みたいな人だよね。いまのはちょっとクリリントンさんに同情しちゃったな。」


すると冬美お姉ちゃまが話しに入ってきた。

「そうか?私はまじめだが夏子さんは普通に平気だぞ。」


それを聞いて夏子さんは嬉しそうにお姉ちゃまの頭をなでるのでした。

「冬美ちゃん、いい子ですね。いいぞ、夏子お姉さんを大好きになっていいのですよ。」

「いや、それほど夏子さんを好きって訳でもないんだ。あと邪魔くさいからなでないでくれますか。」 「まあ、冬美ちゃんの照れ屋さん。でも夏子お姉さんは冬美ちゃんのことも好きだぞ。今度一緒に寝ようね。」

「私を好きというのはありがとう。でも一緒に寝るのは断る。私は一人で思う存分に寝返りをうつ派ですので。」

「残念です。でも、お姉さんはいつか絶対に冬美ちゃんとも一緒に寝ちゃうんだぞ。説き伏せちゃうんだから。」

「そうですか、がんばってください。」


お姉ちゃまと夏子さんの会話はあいかわらずかみ合い方が微妙だな。

うまくいえないけど、本来はかみ合わないと思う二人の会話が、絶妙にかみ合っているのが凄いと思う。


なんか癒されたかも。


そう思いながら、私は本部の窓から外を眺めてみた。

ココは六階なんだけど下での戦いが良く見える。


大量のロボット人間と各国の精鋭が戦っている。

なんかかなり苦戦してるみたい。

ちらほら、こちらの兵の死体も見える気がするし。

私が外を眺めているので、みんな気になって外を眺めに来た。


それを見て金子は「あちゃー、こっちが押されてるやないですか。」と心配そう。

大丈夫ですよ。いざとなったらエスパー部隊を出しますから。

実は前からVちゃまに『エスパー部隊は極力他国に見られないようにしよう。あの娘達は俺達の切り札だからな』と言われていたので、今回は隠している中なのです。


上から見ていて気づいたけど、敵はロボット人間以外にも、普通の人間も混ざっているみたい。

「なんでだろう?ロボット人間以外にも普通の人間も居る?。」


ドン!

すると、私の横に大きなライフルの銃尻をドンと床において一人の女性が立った。


軽くウェーブのかかった長い髪の女性。

服はレザーのつなぎのような服を着ているので、スタイルの良さについ目がいってしまった。


挿絵(By みてみん)


そしてその女性は私に微笑み口を開く。

「あのロボットはアーマーノイドっていうらしいわよ。今回アーマーノイド以外も沢山戦闘に参加しているのはね、イケメンスイッチが今使用不能だって情報が漏れたかららしいわ。」


私は、その女性をジロジロみてから聞きました。

「なんでそんなことを知ってるんですか?。」


すると、女性は私に軽く流し目でウィンクをする。

「アーマーノイドになる奴を、肉体があるうちにすこし裸の付き合いで尋問してやったのよ。そしたらチェリーは駄目ね、ぺらぺらしゃべってくれたわ。あいつらが主にこっちの情報を知るのは、中国支部や韓国支部かららしいって事もいってたわ。日本に地理的に近くて沢山情報も多く流れるから、スパイにはおいしい支部らしいわね。」


なんか、この人を見たことがある様な気がするけど思い出せない。

でもこの声はさっき聞いた声だ。

「もしかして、さっき私たちを助けてくれたRさんですか?。」


女性は軽く目をつぶり、そしてユックリ目を開く。

「あなた達なんか助けていないわ。いったでしょ、私が助けたのは荒川武威だって。」


すると口元に指をつけて考え事をしていた夏子さんが、その指を軽く前に突き出しながら言いました。

「思い出しましたあ!あなたは半年前に私が拷問した、早川莉奈さんですね。Vさんを狙撃したけど失敗してVさんに捕まった「りな」さんですよね。うわあ、私を恨んでるでしょうに、狙撃しないでくれてありがとうございます。」


莉奈さんは200cmはあるライフルを左手で立てて持ったまま、右手で髪を払う。顔だけで振り返って夏子さんを見た。


「ちょっと引き金を引きそうになったけどなんとか我慢できたわ。でも次は我慢できるかわからない。死にたくなかったら狙撃に少しは注意しなさいね。荒川武威が居たころは、あの人がさりげなく狙撃ポイントを避けるから、まったくチャンスがなかったのに、居なくなったとたん狙い易くなって笑えたわ。」


夏子さんはそういわれて、自分で頭をぺチンとして「てへ」と言ってニコニコしている。

この人、ほんと図太いな。

それを横で聞いてた金子が申し訳な顔をした。

「すんません、自分らがイケメンマスターの足元にも及ばなくて。」


そして何故かお姉ちゃまが嬉しそうに口を開いた。

「金子はまあそこそこのガードだ。だがVさんは鉄壁ガードなのさ。だれでもVさんと比べたら格下だからな、金子もそんなに気にするな。Vさんはよく『相手の攻撃を受けてガードするのは理想じゃない。出来たら相手に攻撃させないのが良い。だがもっと理想は相手に攻撃しようとも思わせないこと。それが武道というものだ』って言ってた。まさに警護もVさんはこの理論で素晴らしかったってことだ。」


それを聞いて莉奈さんはぷっと笑った。

「あなた達は、本当に荒川武威信者ね。そしてそれは私もかしら。私は復讐の気持ちを荒川武威にそぎ落とされたから『攻撃しようとも思わせない』っていう荒川武威の理想にやられたクチかもね。」


そう言いながら、莉奈さんはまた外を見てつぶやく。

「あらあら、あの半分以上殺されちゃってるのはフランスチームじゃない?あっちで全滅してるのは韓国チームかしら。みんな実力を見せたかったんでしょうが、こんなにもやられちゃったら印象悪いんじゃないの?。」


私も外を眺めて見ました。

たしかに、さっきよりもかなりこちらの兵が殺されているように見える。

相手の兵もソコソコ死んでいるようだけど、アーマーノイドの残骸はほとんど見えないかも。


窓の外で行われている戦いを見て、Vさんが居ないこの状況では、今後の美メン教団との戦いは思ったよりも厳しい戦いになりそうな予感がする私だった。


そんなことを思いながら窓下の戦いを見ていると、横から「パシャパシャパシャ」というシャッター音が聞こえてきた。


音のほうを見ると、夏子さんがどこからもってきたのか一眼レフのカメラを構えてこちらの写真を撮っていた。


「いいですねえ。謎の美女と窓の外を眺めてたたずむ友美ちゃん。絵になってますよ。大きなライフルと友美ちゃんのコントラストもシュールでそそりますね。いいねえ、いいよおー。」

そういながら、妙に軽快に動き回りながら何枚も写真を撮っています。


夏子さん、ホント変な人・・・。

私は眼下の殺し合いと、ノー天気な夏子さんのコントラストのほうがよほどシュールに感じるのでした。

お読みくださりありがとうございます。


天道夏子豆知識:第7部、第8部の重要人物。

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