その35 今日から芽衣もメガネっ娘
教主室からでて、少し事務機器を借りた。
パソコンで少し作業したかったから。
その作業の後に出口に向かう途中、大量の人間に囲まれて握手を求められた。
お、なんだ?
俺はアイドルじゃないぞ??
そして知った。イケメンマスターは、この教団にとって神にも等しい存在のようだと。
どうにか群がる『握手してして』さん達を振り切り脱出したのは一時間後。
無駄な時間を食ってしまった。
そこから俺たちは、秋彦さんに国持兵団研究所とのアポイントメントを任せて、一旦ホテルに帰るため車で送迎してもらっている。
友美は怒ってムスっとしていた。
さっきの対応を怒ってるのか?お子様だなー。
俺は懐から、さっきパソコンで印刷した一通の手紙を出して芽衣に差し出していった。
「芽衣ちゃん、この手紙には俺が思った、先代のイケメンマスターに対する率直な感想が書いてある。友美ちゃんが暇そうなときに渡してくれ。正直悪口みたいな内容が書いてあるから、俺がいないときに渡してくれな。」
友美が急いで手を伸ばそうとしたが、俺はすぐに友美を制する。
「冷静なときに読んでくれ。これを読んで納得してくれたら、俺は友美ちゃんと一緒にいられると思うが、もしも友美ちゃんがこの手紙の内容に納得がいかなければ、友美ちゃんは俺と一緒にいられないと思う。だからその覚悟が出来てから読んでもらうために芽衣ちゃんに預ける。」
友美は不安そうな表情になる。
「Vさんが私を捨てると言う事ですか?」
俺は微笑んで友美の頭をなでた。
「ちがうよ、友美が俺と一緒にいるのが嫌になって離れるって事さ。」
そういって微笑んで見せた。
またきまづい空気が流れる。
そんな中、芽衣が今渡した手紙の封筒を顔に近づけ、目を細めながら見ていることに気がついた。
ふと俺は、今までの芽衣のしぐさの不自然さを思い出す。
テレビを見ているときも前に乗り出していたし、今も時々遠くを見るときには目を細めている。
俺は運転手に声をかけた。
「すまないが、大きな眼鏡屋があったら寄ってくれないか?。」
っと、言ったそばから眼鏡屋の看板が見えた。
数分後
俺と友美と芽衣は眼鏡屋に居た。
眼鏡屋に検眼してもらったところ、やはり芽衣の視力は0.08と驚くべき低さだった。
この娘、よく生活できていたな・・・。
「芽衣ちゃん、友美ちゃんと二人で好きな眼鏡を選びなよ。これから長く使うものだから、値段を気にせず気に入ったものを選ぶんだよ。」
しかし、芽衣よりも友美のほうがはしゃいでいる。
友美は、はじめてきた眼鏡屋に興奮気味で、もう怒っていた事は忘れているようだった。
「Vさん、メガネって沢山あるんですね、わたしも欲しいかもです。」
「確かに。友美ちゃんは一緒に検眼してもらったら、視力が3以上だったよな。まあ遠視用のメガネが必要かもね。一緒に好きなフレームを選びなよ。」
「いやっほううい」
友美は芽衣の手を引いて、眼鏡屋の中を小走りに走っていった。
数分後
正直ヒマだった。
おれは椅子に座って、すこしうたた寝してしまったらしい。
コックリコックリしていたら急に芽衣の声が近くから聞こえてきた。
「Vさん、Vさん」
「お、どうした。フレームは決まったのか?」
芽衣は少しはにかむように俺の手を引く。
「あの、お店の人が予備もあったほうがいいから、メガネは二つあったほうがいいって言うんです。」
たしかにそりゃそうだ。
俺は頷き
「それもそうだね、二つ選んできな。」
すると芽衣は
「その、二つめはVさんが選んでくれませんか。おねがいします・・・。」
なんとも、かわいらしい事言うじゃないの。
ロリコンじゃないけど、ちょっとグっときた。
まあちょうど暇をしていたしな。
俺はスクリと立ち上がる。
「なんだい選びつかれたのかい。まあ、俺はセンス無いけど一緒に選ぼうかな。」
そういってフレームの方に向かうと、友美が後ろからぶつかってきた。
「こらVさん、私の二つ目も選んでくれないとダメなんですからね!」
なんか双子の娘を持った気分だよ。
「はいはい」と言いながら、俺は選ぶそぶりも見せずに瞬間的に赤い下ブチフレームのメガネを二つ手に取った。
「じゃ二人おそろいで、二つ目はコレでな。」
実は俺はメイド服が好きなのだが・・・
このフレームがメイド服に似合いそうという理由で選んだ事は、言わないでおこうかな。
そこで芽衣は笑いながら俺を見上げて言った。
「Vさん、そのメガネを私にかけてみてください。」
目をつぶって、キスでも待つような表情でこちらに顔を向ける芽衣。
おっちゃん、ちょっとドキドキしちゃいながら、芽衣にそっとメガネのフレームを掛けてあげた。
すると芽衣は目を開きニッコリしながら言った。
「Vっちからみて、わたしに可愛く似合ってる?」
「ああ、芽衣っちに可愛く似合ってるよ」
俺がそういうと、芽衣は満面の笑みを浮かべる。
なんか、芽衣も可愛いな・・・。
ドス!
なんか、だれかが後ろから俺の足を蹴った。
振り返ると、友美が無言で自分の顔を指差してる。
イキナリ蹴られるとかショックなんだけど。
この娘、本当に俺の事好きなのかな。
ま、いいか。可愛いし。
「はいはい、もちろん友美ちゃんにも掛けますよ。」
おれは手に持ったもう一つのフレームを友美の掛ける。
そして、次に友美が聞いてきそうな言葉が予想できたので、友美が口を開く前に言った。
「良く似合って可愛いと思うよ。」
それを聞いて、友美も満面の笑みを浮かべた。
ぐ、友美、俺を萌え殺す気か。心が吐血しそうにグっときた。




