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一閃

第148話 一閃

赤。

黒。

白。

三つの魔力が空を埋める。

《紅煉獄》。

その中心。

アンタレスとベラ。

そして。

《四熾》カシエル。

三人の戦いは続いていた。

「――《紅雷》」

赤い閃光。

カシエル。

身体を傾ける。

避ける。

そこへ。

黒炎。

『《黒蝕》』

白い槍。

黒炎と衝突。

魔力が削られる。

カシエル。

槍を捨てる。

同時。

翼。

振る。

白い魔力。

広範囲。

アンタレスとベラへ。

「っ」

『ぬっ……!』

二人。

左右へ離れる。

直後。

白い光。

二人の間を通過。

地面。

抉る。

ベラ。

右手。

上げる。

黒炎。

複数。

カシエルへ。

カシエル。

翼。

前へ。

防ぐ。

爆発。

黒煙。

そこ。

アンタレス。

《紅月》。

振る。

『……!』

カシエル。

白い槍。

再形成。

受ける。

――ガァン!!

アンタレス。

押す。

カシエル。

押し返す。

「……」

重い。

さっきから。

少しずつ。

カシエルの動きが変わっている。

速さ。

魔力。

防御。

戦うほど。

上がってる。

アンタレス。

《紅月》。

離す。

後退。

直後。

白い光。

頬。

掠める。

血。

一筋。

『アンタレス!』

「大丈夫です」

ベラ。

横。

入る。

《黒纏》。

拳。

カシエル。

受ける。

――ドンッ!!

二人。

空中。

押し合う。

『……っ』

ベラの表情。

僅かに。

歪む。

カシエル。

片腕。

それだけ。

ベラの拳。

止めてる。

『二人でこの程度か』

『ほざけ』

ベラ。

黒炎。

爆発。

カシエル。

後退。

アンタレス。

すぐ。

《紅槍》。

三本。

放つ。

一本。

翼。

弾く。

二本目。

避ける。

三本目。

肩。

掠める。

『……』

傷。

浅い。

「まだですね」

アンタレス。

呟く。

ベラ。

隣。

戻る。

『ああ』

二人。

分かってる。

カシエル。

まだ。

何か。

隠してる。

《四熾》。

天使側。

四体しかいない幹部。

これで。

全部のはず。

ない。

だから。

アンタレスも。

ベラも。

まだ。

最大までは出していない。

倒す。

もちろん。

でも。

それだけじゃない。

どこまで。

何ができる。

何を隠してる。

それを。

見る。

その時。

魔道通信。

『アンタレス様』

シノブ。

「聞いています」

『ベラトリクス様も』

『聞こえておる』

カシエル。

動く。

アンタレス。

《紅月》。

受ける。

ベラ。

黒炎。

横から。

カシエル。

翼。

弾く。

『北側上空』

シノブ。

一拍。

『空間に裂け目』

アンタレスの目。

僅かに変わる。

『天使を確認』

「数は?」

『十』

『何じゃと!?』

ベラ。

表情。

変わる。

その一瞬。

カシエル。

白い槍。

振る。

『ちっ!』

ベラ。

腕。

《黒纏》。

受ける。

吹き飛ぶ。

空中。

止まる。

『十体じゃと!?』

『はい』

「強さは?」

『これまでの雑兵個体より上』

一拍。

『ただし、カシエルほどではありません』

ベラ。

舌打ち。

『ソルたちは』

『既に接触』

「住民は?」

『最後の集落に避難前の住民が残っています』

『……っ』

ベラ。

黒炎。

一気。

膨れ上がる。

空気。

変わる。

アンタレス。

すぐ。

見る。

「ベラ」

『妾がこやつを片付ける』

黒炎。

さらに。

濃くなる。

『遊んでおる場合ではない』

「待ってください」

『何じゃ!』

「まだです」

ベラ。

アンタレスを見る。

『住民がおるのじゃぞ』

「分かっています」

『なら――』

「ソルたちがいます」

『……』

「カイルも」

一拍。

「エリシアもいます」

ベラ。

黙る。

「それに」

アンタレス。

カシエルを見る。

カシエル。

二人。

静かに見てる。

まるで。

待ってる。

「この天使」

一拍。

「まだ力を出していません」

『……』

ベラ。

カシエルを見る。

分かってる。

『じゃからこそ、さっさと本気で――』

「こちらだけ先に全てを見せるんですか?」

『……』

「相手は幹部です」

アンタレス。

赤い魔力。

静かに。

揺れる。

「今後」

一拍。

「同じものが、あと三体いる可能性があります」

ベラの黒炎。

止まる。

「ここで」

アンタレス。

目。

細める。

「できる限り見ます」

『……底を』

「はい」

『こやつの底を見極めるつもりか』

「そのために、まだ抑えていたのでしょう?」

ベラ。

少し。

笑う。

『お主も同じか』

「当然です」

『生意気じゃの』

「誰の影響でしょうね」

『今それを言うか?』

カシエル。

白い槍。

構える。

『余裕だな』

アンタレス。

見る。

「そう見えます?」

『見えぬ』

「なら正解です」

カシエル。

消える。

アンタレス。

《紅月》。

ベラ。

《黒纏》。

三人。

再び。

衝突。

――ドォォォン!!

その間も。

通信。

続く。

『天使十体』

シノブ。

『ソル、カイル、エリシアと交戦開始』

ベラ。

一瞬。

視線。

動く。

「ベラ」

『分かっておる!』

カシエル。

槍。

突く。

ベラ。

避ける。

アンタレス。

《紅雷》。

撃つ。

直撃。

カシエル。

僅かに。

身体。

流れる。

でも。

止まる。

『……』

「硬いですね」

『お主の《紅雷》を受けてそれか』

『その程度で』

カシエル。

翼。

広げる。

『我を測ったつもりか』

白い魔力。

一気。

膨らむ。

「来ます」

『分かっておる』

白い光。

降る。

一つ。

二つ。

十。

数十。

アンタレス。

《紅煉獄》。

赤い魔力。

迎撃。

ベラ。

《黒炎》。

放つ。

爆発。

連続。

空。

震える。

防ぐ。

でも。

全部。

消せない。

「っ……!」

一本。

アンタレスの肩。

掠める。

『ぬっ!』

ベラの頬。

切れる。

二人。

下がる。

カシエル。

追う。

速い。

白い槍。

ベラ。

受ける。

アンタレス。

横から《紅月》。

カシエル。

もう一枚の翼。

受ける。

二人。

同時。

押す。

それでも。

止まる。

『……』

ベラ。

笑う。

『面白い』

「余裕あります?」

『ない』

「私もです」

『じゃが』

ベラ。

カシエルを見る。

『少しずつ見えてきた』

「はい」

カシエル。

眉。

僅かに。

動く。

その時。

『報告』

シノブ。

『天使、三体消滅』

ベラ。

目。

動く。

『三体?』

『ソルたちによる撃破を確認』

アンタレス。

僅かに。

口元。

緩む。

「順調ですね」

『まだ七体じゃ』

「分かっています」

戦闘。

続く。

カシエル。

さらに。

速くなる。

白い槍。

一本。

二本。

左右。

同時。

アンタレス。

《紅槍》。

ぶつける。

ベラ。

《黒蝕》。

削る。

『五体消滅』

少しして。

『七体』

ベラ。

「……」

『九体』

アンタレス。

「あと一体」

『聞こえておる』

「心配ですか?」

『当たり前じゃろう』

「そうですね」

『お主もじゃろ』

「はい」

即答。

ベラ。

一瞬。

アンタレスを見る。

そして。

笑う。

『なら聞くな』

「すみません」

カシエル。

二人を見る。

『戦いながら他を気にするか』

「仲間ですから」

アンタレス。

答える。

『弱点になるぞ』

「逆です」

『何?』

「強くなれます」

ベラ。

黒炎。

放つ。

『その通りじゃ』

カシエル。

防ぐ。

直後。

通信。

『天使十体』

一拍。

『全個体の消滅を確認』

「……」

ベラ。

止まる。

『住民避難』

シノブ。

続ける。

『完了』

一拍。

『死者なし』

ベラ。

口元。

上がる。

『ほれ見ろ』

アンタレス。

カシエルから視線を外さない。

「何がです?」

『妾が行かずとも問題なかったではないか』

「さっき行こうとしてましたよね?」

『……知らぬ』

「言ってました」

『知らぬ』

「本気を出すとも」

『アンタレス』

「何です?」

『戦闘中じゃぞ』

カシエル。

白い槍。

止まる。

『それは我の台詞だ』

「……」

『……』

アンタレス。

ベラ。

一瞬。

黙る。

「すみません」

『何故お主が謝る』

『理解できぬ』

カシエル。

初めて。

本当に。

困惑してる。

でも。

すぐ。

空気。

戻る。

アンタレス。

通信。

繋ぐ。

「ソル」

少し。

間。

『アン?』

「住民の避難完了、確認しました」

『うん』

「カイル、エリシアも一緒ですね?」

『いるよ』

遠く。

『おう!』

『います』

二人。

声。

「三人とも」

アンタレス。

カシエルを見る。

「こちらへ来てください」

『加勢?』

「はい」

一拍。

「《黒翼》として出撃を命じます」

『分かった!』

通信。

切れる。

ベラ。

「……」

アンタレス。

見る。

『あやつ』

「何です?」

『妙なことを考えぬとよいが』

「……」

一拍。

「そうですね」

遠く。

僕。

通信。

切る。

「加勢だって」

カイル。

槍。

肩。

乗せる。

「行こうぜ」

「はい」

エリシア。

頷く。

僕も。

頷く。

「うん」

遠く。

空。

赤。

黒。

白。

ぶつかってる。

距離。

ある。

普通に行けば。

少しかかる。

「……」

僕。

見る。

カイル。

嫌な顔。

「おい」

「何?」

「今、変なこと考えたろ」

「考えてない」

エリシア。

「考えましたね」

「なんで分かるの?」

「顔です」

「そんなに?」

「はい」

二人。

即答。

「……」

でも。

もう。

思いついた。

「シノブ」

通信。

『何だ』

「お願いがある」

『先に内容を言え』

「アンとベラ」

『……』

「カシエルから十メートル以上離れたら教えて」

沈黙。

『何をする気だ』

「ちょっと」

『その“ちょっと”は信用できない』

「大丈夫」

カイル。

「俺も信用できねえ」

エリシア。

「私もです」

「なんで!?」

『……十メートルでいいのか』

「うん」

『分かった』

通信。

繋いだまま。

僕。

息。

吐く。

《心眼》。

開く。

全部。

見ない。

遠く。

戦場。

三人。

アン。

ベラ。

カシエル。

それだけ。

動き。

魔力。

位置。

距離。

見る。

そして。

僕。

身体。

黄金。

灯す。

「《星装》」

右腕。

左腕。

右脚。

左脚。

胴。

頭。

六つ。

いつもの星。

でも。

終わらない。

さらに。

星。

現れる。

一つ。

二つ。

三つ。

次々。

身体へ。

纏う。

黄金。

強くなる。

カイル。

目。

見開く。

「お前……」

エリシア。

「第二段階」

「うん」

《星装》。

第二段階。

大量の星。

全身。

纏う。

身体。

軽い。

力。

溢れる。

でも。

まだ。

使う。

「ソルさん?」

僕。

右手。

前。

出す。

星。

一つ。

遠く。

浮かぶ。

次。

その先。

もう一つ。

さらに。

もう一つ。

一直線。

戦場へ。

黄金の星。

配置。

していく。

「……まさか」

カイル。

気づく。

「星渡?」

「うん」

「ここから?」

「うん」

「距離あるぞ」

「だから」

一拍。

「いっぱい置く」

「そういう問題か?」

「多分」

エリシア。

額。

押さえる。

「やっぱり変なこと考えてました」

「でもいけると思う」

「その言葉」

一拍。

「前にベラトリクス様に怒られていませんでしたか?」

「……」

言われた。

初めて使う星装。

初めて実戦で使う《無拍》。

最大出力。

いけるかなって。

怒られた。

「今回は初めてじゃない」

「組み合わせが初めてです」

「……」

正論。

でも。

今。

必要。

僕。

《明星》。

抜かない。

逆。

鞘。

確認。

腰。

落とす。

カイル。

表情。

変わる。

「それも使うのか」

「うん」

シリウス。

居合。

《無拍》。

相手へ。

一拍すら。

与えない。

《心眼》。

カシエル。

見る。

呼吸。

重心。

魔力。

翼。

アン。

ベラ。

二人の位置。

全部。

必要なものだけ。

拾う。

さらに。

《流転》。

準備。

脚。

腰。

胴。

肩。

腕。

そして。

《明星》。

一本。

繋ぐ。

星渡。

速度。

第二段階。

身体強化。

全部。

最後。

一撃。

乗せる。

「……」

僕。

構える。

遠く。

カシエル。

まだ。

僕。

見てない。

アン。

《紅月》。

カシエル。

受ける。

ベラ。

黒炎。

背後。

カシエル。

翼。

弾く。

アン。

下がる。

ベラ。

まだ近い。

『十二メートル』

シノブ。

声。

「まだ」

『アンタレス様、十四』

ベラ。

カシエルへ。

踏み込む。

「まだ」

黒炎。

白い槍。

衝突。

ベラ。

後退。

『ベラトリクス様、九』

「まだ」

十。

十一。

カシエル。

白い魔力。

爆発。

二人。

左右。

飛ぶ。

『アンタレス様、十三』

一拍。

『ベラトリクス様、十二』

シノブ。

息。

止める。

そして。

『ソル』

僕。

右脚。

力。

入れる。

『今だ』

「――うん」

星。

踏む。

瞬間。

景色。

消えた。

一つ目。

反射。

二つ目。

三つ。

四つ。

速い。

まだ。

速くなる。

黄金。

一直線。

僕の身体。

星から星へ。

渡る。

《心眼》。

切らない。

アン。

左。

ベラ。

右。

二人。

離れてる。

カシエル。

中央。

気づいてない。

五。

六。

七。

身体。

加速。

さらに。

《流転》。

右脚。

腰。

胴。

肩。

右腕。

《明星》。

星。

集める。

鞘。

震える。

最後。

星。

カシエル。

直線。

「……!」

カシエル。

顔。

動いた。

気づいた。

遅い。

最後の星。

踏む。

僕。

飛ぶ。

目の前。

カシエル。

首。

狙う。

《明星》。

抜く。

一拍。

与えない。

「――《無拍》」

カシエル。

目。

見開く。

身体。

沈む。

白い翼。

一枚。

首。

前。

差し込まれる。

刃。

通る。

白。

舞う。

「……!」

僕。

カシエル。

横。

通過。

地面。

着地。

足。

滑る。

数十メートル。

止まる。

静か。

なる。

僕。

振り返る。

「……」

首。

ある。

避けられた。

違う。

足元。

何か。

落ちる。

大きい。

白。

翼。

カシエルの翼。

一枚。

根元から。

斬れてる。

「……翼」

アン。

目。

見開く。

ベラ。

固まってる。

『……』

カシエル。

動かない。

ゆっくり。

失った翼。

見る。

次。

僕。

見る。

『今のは』

一拍。

『我の首を狙ったか』

「うん」

『……』

「避けられたけど」

カシエル。

沈黙。

そして。

『違う』

「え?」

『避けたのではない』

残った翼。

僅かに。

動く。

『捨てた』

「……」

『翼を捨てねば』

カシエル。

初めて。

僕だけを見る。

『首が落ちていた』

空気。

変わる。

さっきまで。

カシエルの視線。

中心。

アン。

ベラ。

二人の魔王。

でも。

今。

違う。

僕。

見てる。

『名は』

「……ソル」

『ソル』

一拍。

『覚えた』

後ろ。

ベラ。

ようやく。

口。

開く。

『お主』

「何?」

『また』

嫌な予感。

『最大出力でやったな?』

「……」

アン。

僕を見る。

「ソル」

「はい」

「今の」

一拍。

「初めて組み合わせました?」

「……」

カイルとエリシア。

まだ。

遠く。

なのに。

二人の顔。

浮かんだ。

逃げたい。

でも。

カシエル。

目の前。

逃げられない。

「……はい」

『ソル!!』

「でも翼斬れたよ!?」

『そういう問題ではない!!』

アン。

額。

押さえる。

「後で話しましょう」

「……はい」

カシエル。

僕たち。

見る。

『……理解できぬ』

「何が?」

『何故』

失った翼。

見る。

次。

僕。

見る。

『我の翼を斬った者が』

一拍。

『味方に叱られている』

「僕も分からない」

『お主は分かれ!!』

ベラの声。

戦場。

響いた。


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