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十体

第146話 十体

最後の集落。

僕たちが到着した時。

まだ、人が残っていた。

「いた!」

家。

五軒ほど。

小さい。

畑。

井戸。

その中央に十数人。

老人。

女性。

子供。

荷物を持ってる人もいる。

でも。

誰も動けてない。

遠く。

空。

赤。

黒。

白。

三つの魔力がぶつかるたび。

地面。

震える。

「世界連合軍です!」

僕が叫ぶ。

全員。

こっちを見る。

「ここから避難します!」

一人の男性。

前へ。

「天使が来たって……」

「来てます」

ざわつく。

「でも大丈夫です」

僕。

空を見る。

アン。

ベラ。

戦ってる。

「今、抑えてます」

カイルが周囲を確認する。

「歩けない奴いるか!?」

「一人!」

家。

指す。

「足が悪くて……」

「俺行く」

カイル。

走る。

エリシア。

残ってる人たちを見る。

「怪我をしている方は?」

「い、いません」

「体調が悪い方は?」

誰も。

手。

上げない。

エリシア。

頷く。

「では、まとまって移動します」

僕。

《心眼》。

広げる。

集落。

全部。

見る。

家の中。

納屋。

畑。

周辺。

「……」

生命反応。

確認。

「カイルが行った家以外はいない」

「分かりました」

エリシア。

避難方向。

指す。

「アルカディアの防御隊が南側に拠点を作っています。そこまで移動します」

住民たち。

動き始める。

その時。

カイル。

家。

出てくる。

背中。

老人。

「連れてきた!」

「よし」

これで。

全員。

「行こう」

僕が先頭へ出ようとした。

その瞬間。

魔道通信。

鳴った。

『ソル』

「……シノブ?」

声。

低い。

いつもと同じ。

でも。

違う。

僅かに。

緊張。

混じってる。

「どうしたの?」

一拍。

『空が割れた』

「……え?」

僕。

止まる。

カイル。

こっち。

見る。

エリシアも。

『戦場北東』

シノブ。

続ける。

『上空に裂け目を確認』

「裂け目……」

前にも。

見た。

天使。

現れる時。

空。

裂ける。

僕。

顔。

上げる。

「どこ?」

『お前たちの位置から』

一拍。

『北』

見る。

空。

普通。

いや。

違う。

一本。

白い線。

「……」

広がる。

ゆっくり。

空。

裂ける。

「嘘……」

カイル。

老人を降ろし、近くの男性へ預ける。

槍。

抜く。

エリシア。

住民たちの前。

出る。

「全員、動かないでください」

白い裂け目。

広がる。

一メートル。

十。

さらに。

中。

光。

見える。

『シノブ』

僕。

通信。

「何かいる?」

返事。

少し。

遅れる。

『確認中』

一拍。

『……いる』

嫌。

『複数』

「何体?」

沈黙。

『十』

「……」

カイル。

聞こえてる。

「十?」

エリシア。

細剣。

抜く。

住民。

ざわつく。

僕。

空。

見る。

白い影。

一つ。

裂け目。

出る。

翼。

二つ目。

三。

四。

止まらない。

五。

六。

七。

八。

九。

そして。

十。

「……本当に十体」

今まで。

三体同時。

それでも。

初めてだった。

今回は。

十。

しかも。

《心眼》。

触れる。

「……違う」

カイル。

「何が?」

「前の天使より」

魔力。

一体ずつ。

見る。

カシエル。

全然。

届かない。

でも。

今まで戦った雑兵より。

明らかに。

濃い。

強い。

「強い」

エリシア。

「十体全てですか?」

「うん」

一拍。

「多分」

見る。

「雑兵とカシエルの間」

カイル。

槍。

握る。

「中間ってことか」

「そんな感じ」

『こちらでも確認した』

シノブ。

『十体全て、先ほどまで確認していた雑兵個体より魔力反応が大きい』

「やっぱり」

空。

十体。

並ぶ。

そして。

一斉。

下を見る。

「……」

僕たち。

見てる。

いや。

集落。

見てる。

「まずい」

僕。

住民。

見る。

逃げ切れない。

防御拠点まで。

距離。

ある。

十体。

先に。

来る。

「エリシア」

「はい」

「住民を」

言いかける。

エリシア。

首。

振る。

「一人では間に合いません」

「でも」

「戦いながら避難させます」

カイル。

笑う。

「決まりだな」

「……」

十体。

降りてくる。

ゆっくり。

白い翼。

広げて。

まっすぐ。

僕たちの前。

地面。

一体。

着地。

次。

二体。

三体。

次々。

十体。

全部。

降りる。

集落。

入口。

僕たち。

その間。

距離。

五十メートルくらい。

近い。

住民。

後ろ。

「……」

天使たち。

喋らない。

カシエルみたいな。

意思。

感じない。

でも。

雑兵とも。

違う。

一体。

前。

出る。

僕たち。

観察。

してる。

「シノブ」

『聞いている』

「ベラたちには?」

『既に報告した』

「アンは?」

『戦闘中だ。応答はない』

「ベラは?」

『こちらもカシエルと交戦中』

「……」

つまり。

すぐには。

来れない。

カイル。

僕を見る。

「三人だな」

「後ろに住民もいる」

「だから」

槍。

構える。

「ここで止める」

エリシア。

僕の横。

並ぶ。

「ソルさん」

「うん」

「《星律》」

「最初から?」

「相手は十体です」

一拍。

「出し惜しみする理由がありますか?」

「……ないね」

僕。

息。

吐く。

《心眼》。

開く。

でも。

十体全部。

細かく見ない。

前。

三体。

左右。

二体ずつ。

後方。

三体。

位置。

だけ。

カイル。

エリシア。

二人。

しっかり。

見る。

星。

浮かぶ。

カイル。

エリシア。

付与。

「――《星律》」

黄金。

二人。

纏う。

カイル。

右脚。

星。

エリシア。

右腕。

星。

「最初は守る」

僕。

言う。

「住民が避難を始めるまで、ここを通さない」

「了解」

「はい」

エリシア。

住民。

振り返る。

「今から少しずつ南へ移動してください!走らなくて大丈夫です!固まって!」

住民。

動く。

一歩。

また。

一歩。

天使。

それを見る。

一体。

翼。

広げる。

来る。

「右!」

カイル。

飛ぶ。

星。

右脚。

集中。

天使。

一瞬。

反応。

遅れる。

カイル。

槍。

振る。

――ガァン!!

「っ!?」

受けた。

腕。

白い魔力。

槍。

止める。

カイル。

目。

見開く。

「硬っ!」

天使。

反撃。

カイル。

身体。

捻る。

避ける。

そこ。

二体目。

横。

「カイル!」

星。

左脚。

移す。

カイル。

一気。

離れる。

白い光。

地面。

抉る。

「助かった!」

「次来る!」

三体。

同時。

前。

出る。

エリシア。

《聖壁》。

展開。

――ドン!!

白い攻撃。

三つ。

ぶつかる。

「っ……!」

《聖壁》。

揺れる。

でも。

割れない。

「ソルさん!」

「右腕!」

星。

集中。

《聖壁》。

強くなる。

三体。

押し返す。

僕。

その横。

抜ける。

《彗星》。

右脚。

一気。

一体。

懐。

《明星》。

抜く。

斬る。

天使。

翼。

前。

防御。

刃。

止まる。

「……!」

雑兵なら。

もっと。

入った。

「やっぱ強い!」

天使。

翼。

開く。

僕。

後ろ。

飛ぶ。

直後。

白い魔力。

爆発。

着地。

「ソル!」

「大丈夫!」

カイル。

槍。

構え直す。

「一体ずつでも前より上か」

「うん」

エリシア。

《聖壁》。

解除。

「十体」

「言わないで」

「事実です」

「分かってる」

空。

残り。

七体。

動く。

降りる。

地上。

十体。

完全。

並ぶ。

「……」

これ。

三人で。

全部。

相手?

その時。

通信。

『ソル』

シノブ。

「何?」

『こちらから二名を住民誘導へ回す』

「でも追跡は?」

『残りで続行する』

「分かった」

『我々は天使と交戦しない』

「うん」

『お前たちが止めろ』

カイル。

笑う。

「簡単に言うな」

シノブ。

少し。

間。

『頼んだ』

通信。

切れる。

「……」

カイル。

僕を見る。

「頼まれたぞ」

「聞いてた」

「どうする?」

「どうするって」

僕。

十体。

見る。

後ろ。

住民。

少しずつ。

離れてる。

まだ。

全員。

逃げ切るまで。

時間。

必要。

エリシア。

僕の隣。

「倒す必要はありません」

「え?」

「今の目的は住民の避難です」

一拍。

「全員を倒そうとしないでください」

「……」

また。

だ。

訓練。

やったばっかり。

敵を倒すこと。

それだけが。

勝ちじゃない。

「分かった」

僕。

《明星》。

構える。

「避難が終わるまで」

カイル。

槍。

前。

「十体」

エリシア。

細剣。

構える。

「止めます」

星。

動く。

右。

左。

必要な場所。

必要な瞬間。

十体。

全部。

見ない。

僕たち。

三人。

そして。

守るべき人。

それだけ。

一体。

天使。

動く。

次。

二体。

さらに。

三体。

一斉。

来る。

「カイル!」

「おう!!」

右脚。

星。

「エリシア!」

「はい!」

右腕。

星。

僕。

《彗星》。

三人。

前。

出る。

十体の天使。

対。

《夜空の恒星》。

初めて。

三人だけで。

本物の災厄を。

止める戦いが始まった。


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