閲覧権限なし
とてつもなく膨大な量の観察記録。
これは、一体誰が何のために記録した物なのか。
15歳、成人したばかりの青年のおびただしいほどの、失敗の記録の山が指し示すものは何なのか。
ユナの視線が次の記録へ移る。
「……レイス」
「今すぐ照合して」
探索ユニットは即座に応答した。
「該当データなし」
分かりきった回答を無視して、ユナは記録を読み進める。
聞き覚えの無い名前だった。
本来であれば製造された機体はデータベースで照合できる。
もちろん例外はあるだろうが稀だ。
「あなたといい、このレイスといい...
未確認の機体が2体もいるなんて」
そして。
戦闘時間。
3分07秒。
目が止まる。
「……」
3分。
たったの3分。
量産型ストライカーならまだしも、ディフェンダー12機を相手にしていた人間が?
そんな超人的な人間が?
ユナは画面から目を離した。
静寂に包まれた空間に恐怖が満ちていく。
さっきまでこんなに暗かっただろうか?
今のは何の音だ?
滴る水の音がやけに大きく、そして、恐怖を煽ってくる。
淡々と並ぶ文字列の一つ一つが重くのしかかり、
気づけばスクロールする手を早めていた。
そして、
ユナは画面の最後に表示された文字に目が止まった。
【未送信ログ 1件】
「これは何だろう?」
思わず身を乗り出した。
「YES…っと」
即座に画面が反応する。
【権限を確認中】
【アクセス拒否】
【権限が不足しています】
「えぇーっ!?」
ユナは思わず声を上げた。
「そこが一番気になるところでしょ!」
少し調子が戻った気がした。
「なんでよぉ……」
肩を落とすユナ。
画面には無情な文字だけが残っていた。
【未送信ログ 1件】
【閲覧権限なし】
ユナはしばらく黙ったまま、目の前に表示された記録を見つめる。
ただの人間の記録とはとても思えない。
それなのに、日付は思ったより新しい。
「なんか私、とんでもないもの見つけちゃった気がする」
探索ユニットが返答する。
「オリジンへ持ち帰るべきです」
「だね」
ユナは苦笑した。
「絶対怒られるやつだけど...」
その時だった。
ガシャン!!
まるでM-47の身体から力が抜け落ちるように、地面に沈みこんだ。
「え?」
胸部のランプが消えている。
反応もない。
「ちょ、ちょっと!?」
ユナが慌てて駆け寄る。
しかし応答はない。
その直後。
探索ユニットが警告を発した。
「機体反応を検知。三体です」
ユナは思わず固まった。
「なんで!?」
ここは廃墟区画最深部。
誰かがいるはずなんてない。
探索ユニットは続ける。
「こちらも検知されています」
ユナの背筋に嫌な汗が流れた。
閲覧権限なし end...




