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第19話 もう身代わりの監査官じゃない

身代わりにされる線は、ここで終わりにする。


 翌朝、庁舎の会議室で緊急審問が開かれた。行政監査室、救助隊、防災局、スポンサー企業、蒼塔フロンティア。そして真鍋とひより。


 私は順に証拠を出した。改ざん札、複製鍵、虚偽の安全証明、隠し搬入口の映像、公開検証会の崩落予兆、そしてひよりの証言記録。


「第五搬路は、見学と搬入を優先するために危険を承知で開放されました。導線変更は現場判断ではなく、監査室上位者の指示です」


 真鍋が立ち上がる。


「憶測だ」


「ならこれは?」


 灯里がスクリーンへ映したのは、会見前夜の入館履歴と、真鍋自身が第五搬路で制御盤を確認する監視映像だった。鷹城が追い打ちをかける。


「救助隊は、二件続けて柏木の修正導線で生還者を出した。現場結果も揃ってる」


 蒼塔フロンティアの担当者が青ざめ、防災局の部長が顔を伏せた。逃げ場はもうない。


 真鍋は最後に私を睨んだ。


「お前一人が正しいわけじゃない」


「ええ」


 私は答える。


「だから私は、誰が見ても同じ出口へ着く線を引いてきました」


 会議室は静まり返った。あの人はそこで、ようやく負けた顔をした。


 私はもう、誰かの都合で失敗を背負うだけの監査官じゃない。


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