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第12話 閉鎖区画の隠し搬入口

隠し搬入口は、荷物より先に責任を逃がすために作られる。


 【逆算】を頼りに複製鍵の傷をたどると、閉鎖区画のさらに奥、旧保守員通路の先へ白い線が伸びた。そこには図面へ載っていないスライド扉がある。元は災害用の緊急搬入口だったが、十五年前に封鎖されたはずの場所だ。


「開いてる」


 鷹城が扉の下を照らす。外側には新しいタイヤ跡と、搬入チェックのない木箱の木片。私は木片へ触れた。白い線が一気に流れる。高価な回復薬、配信用機材、スポンサー用の展示盾。そして『表の搬入口を通すと検査が面倒だから』という誰かの笑い声。


「検査逃れです」


「しかも常習」


 扉の脇には、安全監査室でしか使わない仮封印テープの切れ端が落ちていた。ひよりか真鍋か、少なくとも監査室の誰かが直接関わっている。


 私は古い記録棚を思い出した。三年前、この緊急搬入口の再封鎖申請を出したのは私だ。理由は『閉鎖区画側の床荷重不足』。その申請は保留のまま、いつの間にかファイルごと行方不明になっていた。


「あのときからだったんだ」


「柏木?」


「私が止めたかったのに、止めきれなかった入口です」


 扉の向こうには、まだ暗い搬路が続いている。私が見逃したわけじゃない。握りつぶされたのだと、今なら分かる。


 だからこそ、今度は消される前に全部つなげる。


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