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ノウノネ  作者: 淀川市
第一章
10/11

地下通路

 「うーん?あ。」

起きたら、まあそこは床だった。寝てる間にベットから落ちたらしく、体が痛い。

「そういえば、ノネさんの部屋で寝たんだっけ。」

よいしょっと起きあがろうとしたが首を寝違えていて起き上がれない。仕方なく、ノネさんに援助を求めることにした。

「ノネさん?起きてる?」

「あー。うん起きてるー。というか、名前はさん付けじゃなくていいよ。」

さん付けなくていいのか。

 どうやらノネさんもベットから落ちているらしく、ベットを挟んで声が聞こえる。

「ごめーん、落ちたー。よいしょっと。ノウおはよう。」

「おはよう。あのさ、寝違えた。」

「え?我ながら良いベットだと思うんだけど。寝違えるとかあるんだ。」

「久しぶりにベッドで寝たせいで逆にダメだったのかも。」

最近はほとんど床で寝てたしな。

「そんなことがあるのか。ふーん…。まああとで考えておくよ。さーてノウ。今日は忙しいよ〜。とりあえずソラに会いに行くからついてきて。」

首が痛いから起きられない、と言うとノネに体だけ起こされ、顔があさっての方向を向きながら立ち上がる。

顔の向きを固定していれば、痛みについてはどうってことなかったのでそのまま歩いた。

昨日行った部屋に行くのか、と思ったがそうではなく、着いたのは、地下の通路をぐるぐるとまわり階段を登ったり降りたりして十分程かけて歩いた先にある鉄扉だった。

昨日会ったリーダー、ソラさんの居る気配はしない。

「ここなの?」

「うん。昨日の部屋は各人員に与えられてる仮部屋みたいなもので、ソラの本来の部屋、つまりまあ、ボスの部屋みたいな感じの場所がここなんだよね。今、中でソラが執務…いや、遊んでるから入っても大丈夫。」

中に居る?人の気配が一ミリたりともしない。首が痛いから感じ取れないのだろうか?

ノネは扉の横にある四角い機械の前に立ち、それからその機械に表示された数字を超高速で押した。

すると、その機械の画面の部分に「CORRECT」と表示され鉄扉の鍵が開く音がした。

「よし、開いた。ノウ、お先にどうぞ。」

そう言ってノネは鉄扉に手を向ける。

言われたことはできるだけ従った方がいいことは知っているので何も思うことなく扉を開けようとした。

 ただ、そのとき少し、疑問に思ったことがあった。

何かというと、ノネが一度も鉄扉に触れていないことだ。別に鉄扉に触れていなくても何の問題もないのだが、ここに着いたときから今まで、扉に触れることを避ける行動ばかりしている。また、これは最初から分かっていたことなのだが、ノネがここに来るまでに通った道な中で、同じところを通った通路は6箇所以上もある。つまり、同じところをぐるぐると回り、遠回りしながらここまできたということだ。あの時はノネが迷っているだけかと思ったが、今になって考えるとやはりおかしい。あれほど親しみのありそうなソラの部屋への道をノネが間違うはずがないからだ。

何か、引っかかる。直感的に思ったのは試されている、という考えだ。自分が品定めされているとすると、もし間違ったことをしてしまったら、最悪の場合、家に帰される。

こうなると、徹底的に考えるしかない。

まず、なぜあれほどの遠回りをして歩いたのか。私は今まで記憶した道順を想像し、この部屋の位置を割り出してみた。場所は…さっきまで私たちが居たノウの部屋からまっすぐ進んで行き当たりを二度曲がった場所だ。歩いて二分の距離。覚えるのは簡単だろう。近すぎる。

それから、ノネが鉄扉に触れなかったことと、私が先に部屋に入ることを譲ったこと。これまでのノネの性格上、私に先に行かせることはしないと思う。

最後に、ソラさんの気配が全くしないこと。おそらく首が痛いことは関係ない。以前もお母さんに腕を切られて痛くても気配を感じることはできた。

「あ。」

咄嗟に思いついたことがあった。

…もし今試されているのだとしたら…。物は試しだな。

「ノネ、ちょっとノネの部屋に忘れものしちゃったみたいだから戻ってもいい?」

即席で考えた言い訳。我ながら良い言い訳だと思う。

「…いいよ!道に迷わないように私も付いて行くよ。」

ノネは少し考えるようなそぶりを見せてからそう言った。

「分かった。」

道は覚えているのでそのまま引き返し、無駄に遠回りしていたところを省いて進んでいく。案の定、二分で再びノネの部屋にたどり着くことができた。私はノネの部屋の前で立ち止まる。

「どうしたの?忘れ物取りに行くんじゃなかったの?」

今気がついたが、自分の予想が当たっていたこともあり、興奮していて、言い訳のことを忘れていたらしい。まあ後で結局バレるだろうし、早く本物の空さんの部屋に行こう。それが一番説得力のある行動だと思う。

私はそのままノネの部屋に背を向け歩いた。そして神経を研ぎ澄ましてソラさんの気配を探る。

「見つけた。」

私は気配のする方向へひたすらに歩いた。ノネは何も言わずに後ろを付いて来た。

その間、いくつかの部屋があり、ところどころに変な傷のようなものもあったが、ソラさんの気配は感じなかったので全て無視した。

右にいって、左にいって、直進。左にいって直進して右に。そんなことをしばらくしたのち、ソラさんの気配のする場所まで辿り着いた。





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