8月13日 意識
"大丈夫?"。お父さんの意識は朦朧としているようだったが、私の声は聞こえているみたいだ。お父さんには、まだ状況がつかめていない。そりゃあ、そうだろう。8月7日に倒れてから、約6日が経とうとしていた。私は、なんとか普通を装うつもりだが、なかなか普通を装えない。なんだろうな、今まであまり感じたことのない気持ちだった。
お父さん「大丈夫だ」
私 「よかった」
最大の力を振り絞りながら答えたようだった。
お父さん「お父さんは、長く眠っていたようだな。ハハハハハ」
もっと気にしているかと思ったら、全然気にしていないようだった。
私 「ちゃんと覚えてるの?」
お父さん「それなりにな」
それなりにって、、、、、、、。娘としては、少し気になる発言だった。もし、本当に思い出せないなら仕事復帰なんてもう無理だろう。
私 「それなりにってなによ」
お父さん「まだ、全部は思いだせないんだよ」
私 「そっかぁ」
やっぱり厳しいのかな?
お父さん「そんな顔するなよ」
私 「わかってるよ」
平然を装ったけどやっぱり無理だった。
お父さん「ちゃんとご飯食べてるか?」
私 「食べてるよ」
お父さん「お金足りなかったら言えよ」
私 「貯金あるから大丈夫だよ」
話しているうちに、だんだん声が出なくなっていく。
お父さん「話し過ぎたかな?」
私 「ホントに大丈夫?」
お父さん「大丈夫だよ。気にし過ぎだよ」
私 「ならいいけど」
まだ、お父さんには難しいのかもしれないな。
私 「もう早く寝なよ」
お父さん「さっきまでずっと寝てたんだ。そんなすぐ寝れるかよ」
私 「そうなの?」
やっぱり私がここにいると、無理にでも元気に振る舞おうとするんじゃないかと思った。今日は、少し話せたし、私はそれで満足だった。
私 「じゃあ、私帰るね」
お父さん「そうか、わかった」
私 「うん。また、明日来るよ」
お父さん「無理して来なくてもいいぞ」
そう言われると、、、、、、、。余計来ないと。なんかそういう風に思ってしまう。もうお盆休みに入っているのか以前と比較すると、お見舞いの数も増えているような気がしたのだった。お父さんの顔を見ながら、私は帰る準備をし始めた。




