8月12日 希望
ようやく、希望の光が見えてきたみたいだ。
私 「じゃあ、明日には?」
看護師「このままのペースでいけば大丈夫だと思うよ」
私 「よかった」
ワカさんは、満面の笑みで私の方を見た。ようやくこの日が来たのか。お父さんが入院した初日、2日目はこんな日がくるなんて想像しなかった。
看護師「でも、あなたもお盆なんだから、どこか行く予定あるんじゃないの?」
私 「友だち少ないんで大丈夫ですよ」
毎年、真紀とはどこか行っていたが、今年はそういう感じにはなれなかった。受験があるというのはあったけど、一番は那奈がいなくなったことが理由だった。めちゃくちゃ仲がいいというわけではなかったが、なんか気分がのれなかった。
看護師「じゃあ、勉強は?」
私 「それもあんまり興味ないです」
とてもじゃないけど、あのクラスの中で今から本気で勉強してもやれるところなんて限られている。よく言えば上のレベルが見えているから何もしたくないのだ。
看護師「何してんのよ、高校生活最後なのに」
私 「私にとって、高校生活とかそんなに大事じゃないですから」
ワカさんは少し驚いているようだった。
看護師「そうなの?」
私 「はい」
ワカさんは、点滴を確認しそろそろ部屋を後にしようとしていた。
看護師「なんか冷めてんね」
私 「元からこういう性格なんでね」
看護師「最後の高校生活、中途半端に過ごしたら後悔するよ?」
思わず、ワカさんの方を見つめてしまった。
看護師「みんなそう言うのよ」
視線を逸らし、父の方を見た。
看護師「高校生活なんて、いつまでも続くわけじゃないのよ。それくらいアナタだったらわかると思うけど?」
私 「それはわかりますよ」
いつの間にか、説教風になっていた。
看護師「最後に言っておくわ。後悔だけはしないでよ?」
まるで、自分が後悔したかのような言い方だった。
看護師「じゃあ、また明日」
私 「はい」
看護師「たぶん、明日には話せるようになるから自信もって」
そう伝えると、部屋を出ていった。ワカさんは、1日かなり仕事の量があるんだと思う。その中で、私のことを面倒みてくださることは、とてもありがたかった。こういのうが看護師の鏡とか言われるんだろうな。冷めている私の心は、どうでもいいことばかり考えていた。




