アロエ
以前投稿した『はながさく』の五年後を描いてみました。
なつは、お母さんになりました。
愛は、記憶が甦ったのでしょうか?
「ジュンジさぁん。味見してくださいな。」となつは、アロエゼリーをテレビの前のジュンジに持って来た。
「この間は、寒天で作ったけれどどちらがいいかしら?」と質問をした。
「この間の寒天は、もうないの?あれば、食べ比べたいから出してくれる?」
「あら、そうね。その方が良いわね。」とキッチンに戻って行った。
なつと愛が移住して間もなく五年になる。なつは、ジュンジと結婚して一歳半の娘との三人暮らしをしている。
以前、愛と暮らしていた家は、愛が一人暮らしをしているが、スイーツ工房になってなつは、毎日娘を連れて通っている。
今やスイーツ工房は、クッキーなど焼き菓子を作り、横浜まで出荷する程になった。
2つ見比べたジュンジは、まず、
「ゼリーの方が透明感あって夏らしいね。寒天って聞くと和菓子のイメージだけど、透明のアロエとオレンジの黄色で夏出されても違和感ないかな。食感は、ぼくは、ゼリーの方が好きだな。」と味わいながらコメントをくれた。なつの作るスイーツは、ほぼ全部味見しているし、コメントも丁寧だった。
「キッチンカーにも乗せるの?『アセロラ』は、どうするの?」と今度は、ジュンジからの質問が来た。
子供の頃の記憶があまり鮮明ではない愛の親戚が、横浜で『アセロラ』というスイーツのお店を経営している。そこへは、クッキーをはじめ多種多様の品を運んでいる。その運び役は、ドライバーの渡辺。
「移住民同士、頑張ろうな。毎日は、行かれないが、おれが引き受けるよ。」と始めてくれた。
店舗の『アセロラ』では、『花野村クッキー』と書かれて小さな話題になり、時々『品切れ』となる程だった。
なつは、娘を抱き上げながら、
「そうね。まずキッチンカーにお願いして扱ってもらおうかしらね。愛ちゃんもその方が、食べた人の感想すぐ聞こえるからと言うのよ。」
結局、翌月は、透明感のあるゼリーにアロエとぶどうを入れて涼しげなスイーツをキッチンカーに乗せた。セロハンの袋にスプーンも一緒にパッケージする事で煩わしさを減らした。そして今もコロッケサンドイッチが人気のキッチンカーだった。
隣街の子供会や自治会のイベントに出掛けたり、図書館の写真展にも出向いて行く。
今では、村役場職員の立派な職務となり、村の大きな収入源だった。
ある日、村をベビーカーを押しながらなつが歩いていると、
「なつさん。今度は、アロエスイーツだって?」と声をかけられた。
「うちの庭にモンスターのようになったアロエあるけんど、見てくれるかな。」と見せられたが、
「ごめんなさいね。アロエベラなら、いだくのですが。」と断わる事が増えた。
「アロエとアロエベラは、どう違うん?」
「アロエは、基本的に冬も外て平気ですが、アロエベラは、ダメなんです。寒さに弱いんですよ。また形も違うんです。タコさんが逆さまに足を広げた感じなんです。」というなつの説明で素早く理解する人は、少ない。
なつが改めてモンスターアロエを見ると下の方に可愛い小さな芽が、出ている。
「アロエは、『医者いらず』って言いますね。この小さい芽を取って、鉢に植えたら可愛い感じで育つんじゃないかしら。」と提案してみた。更に
「胃腸の調子を整えたり、便秘解消効果があるそうです。便秘解消したら、お顔のお肌もいい感じになりますよね。」
すると
「そうね。子が沢山あるから、植え替えて売りに出そうかしらね。」と思い付いたように言い出した。
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あなたは、「アロエベラ」を食べた事ありますか?




