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誰が悪魔か  作者: 櫻川
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戦火の中で(3)

まだ途中

 リュシアを連れてヴァルドは魔族の天幕に到着する。

 天幕が並び、日は暮れている、もともと魔界は光が入りくいが、ここは人間側の領土との境に近いため、夕暮れ時がよく分かる。焚火と煙の臭いが立ち込め、鉄や血と獣の匂いが入り混じっている。興奮冷めやらむ魔族の兵士達は、ヴァルドの腕の中にいるリュシアをみて兵士達は鼻を引くつかせて、ぎろりとリュシアを見る。ヴァルドはリュシアを抱えたまま、バランスを崩さないように騎獣メンシスから降りる。メンシスも理解しており、降りやすい様に前かがみになる。メンシスはヴァルドの部下に連れられて別の場所に連れていかれる。ヴァルドは中央天幕にゆっくりと足取りを向ける。

「・・・人間だ。」「人間だぞ。」「人間の餓鬼だ。」と興味を持ち、いや、人として眺めているのではなく、魔族ではないという眼や、嫌悪し、睨みつけるもの。大勢の兵士が好奇の目で見てくる。リュシアを一気に不安に駆られて、息を止める。喉の奥から空気を漏らさぬように。

 _声を出したら食われる_

 リュシアは恐怖に駆り立てられる。涙がまた溢れてくる。唇まで垂れてきて口の中に塩辛い味が広がる。涙を止めようとしても目の前にる兵士たちは、人間とは違う。人の形を模している物や獣、化け物のような姿、トカゲのような形をしている者。リュシアにしてみれば、全部化け物に見えた。

 一人の豚の化け物がリュシアをみながら、涎を垂らしながら言い放つ。

「うまそうなガキだ。」

 リュシアはヒッと声がでて口を押える。

 他の兵士も下卑た笑い声が各所から聴こえてくる。

「生きているぞ。」「なぜ人間の小娘がここにいるのだろうか。」「暗黒騎士様の土産じゃねえか。」と囁く声も聞こえてくる。

 リュシアはヴァルドの首に思い切り抱き着き、目を瞑って耐える。小さい体は震え必死に恐怖に耐えている。ヴァルドは何も言わないが、しっかり抱きかかえて歩いている。

 一人の兵士、先程リュシアを見て美味そうだといった兵士が近づいてくる。。

「暗黒騎士様、そのガキどうすんですかねぇ。いらねぇなら。」と言ってリュシアに触れようとすると、ヴァルドは黒くて無骨な大剣を喉元に突き立てる。兵士の喉元から血が垂れて首筋に流れて落ちていく。

「触れるな。」と殺気だった声で言い放つ。

 低く、先ほどを部下を黙らせた時よりもさらに冷たい声だった。

「ホルリドュスの兵は教養を持たない奴らが多いな。品や知性の欠片もない。次その口を開いてみろ。くだらないことを言えないように、その喉をつぶしてやろうか。」

 兵は青ざめ、後ろに下がり、頭を地面にこすりつけて「申し訳ありません。」と謝罪した。ざわつく兵士達も一瞬で黙り、しんと静かになる。

 ヴァルドは大剣を戻し、何事もなかったように歩き出す。リュシアは守られていると感じた。周りの魔族の言葉や全てが怖かったが、自分を抱いているこの人物は自分を晒すことはしなかったと。

 本陣近くのヴァルドの部下や兵士達の天幕では先ほどとは違く、皆、落ち着いてはいるが、ヴァルドが人間の娘を抱えていることに幾分かの動揺は見えた。しかし。皆すぐに自分の仕事に戻っている。何も気にしていないように、命令をこなしていた。

 本陣の最奥でフィデスが先に状況報告をしている姿をみつけ、天幕の前で近衛たちが並んでヴァルドを一瞥する。フィデスがヴァルドの前に片膝をつき、頭を下げて話を始める。

「ダルメス様に村の被害や状況報告は先に簡単に済ませております。」

 ヴァルドはフィデスをみて「ご苦労。」という。続けて「転送魔術≪テレポート≫を使用してミラと肩リースを呼べ」と言う。フィデスは「なぜでしょうか。」尋ねると、「リュシアの世話係だ。」と言う。

 フィデスはヴァルドを見て承知いたしました。と一瞬にしてその場からいなくなる。

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